人間界にんげんかい)” の例文
自然界しぜんかい法則ほうそくがあれば、人間界にんげんかいにも法則ほうそくがある。どのほしても、ほこらしげに、またやすらけくかがやくのは、天体てんたい法則ほうそくまもるからだ。
アパートで聞いた話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
人間界にんげんかいではないものを……と、たついま亭主ていしゆなれたやうなこゑをして、やさしい女房にようばうなみだぐむ。おもひがけない、可懷なつかしさにむねせまつたらう。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御性質ごせいしつ相違そうい次第次第しだいしだいつよまってき、すえ人間界にんげんかいほうでは、豐玉姫系とよたまひめけい玉依姫系たまよりひめけいとの区別くべつなりはっきりつくようになってります。
このはこの中にはいっているのは、竜宮りゅうぐうのふしぎな護符ごふです。これをっていれば、天地てんちのことも人間界にんげんかいのことものこらず目にるようにることができます。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
かゝるかたきが、植物界しょくぶつかいにも、人間界にんげんかいにも、つねぢんどって相鬪あひたゝかふ……仁心じんしん害心がいしんとが……しかうしてしいかたつときは、たちま毒蟲どくむし取附とりつかれて、その植物しょくぶつ枯果かれはつる。
「いやいや、いかに人間界にんげんかい化現けげんしている身とはいえ、勢至菩薩せいしぼさつなわつきなどになされては、あとの仏罰ぶつばつがおそろしかろう。あの婦人はわれわれ五人へ渡したまえ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いきとし生る物子を愛せざるはなし燒野やけの雉子きゞすよるつる皆子を思ふが故に其身のあやふきをもかへりみずいはんや萬物のれいたる人間界にんげんかいに於てをや然るに情け無くも吉兵衞は妻の死去せしより身代を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
答『人間界にんげんかい儀式ぎしきとはちがうが、矢張やは夫婦めおとになるときにはまった礼儀れいぎがあり、そしてうえ竜神様りゅうじんさまからのお指図さしずける……。』
拙僧せっそう西方さいほうの国より大心衆生たいしんしゅじょう人間界にんげんかい化現けげんした釈迦しゃか弟子でし文殊菩薩もんじゅぼさつという男。——またうしろにいるのは、勢至菩薩せいしぼさつ弥勒菩薩みろくぼさつ虚空蔵菩薩こくうぞうぼさつ大日菩薩だいにちぼさつの人々であるが……
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
して、百年ひやくねん以来いらい天守てんしゆあるあやしいものゝさらはれて、いまらるゝとほりの苦艱くげんける……なにとぞおもむきを、温泉をんせんいま逗留とうりうするをつとつたへて、寸時すんじはや人間界にんげんかいたすけられたい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『さァ人間界にんげんかい年数ねんすうなおしたら何年位なんねんぐらいになろうかな……。』と老竜神ろうりゅうじんはにこにこしながら『すくな見積みつもっても三万年位まんねんぐらいにはなるであろうかな。』
序曲、百八の星、人間界にんげんかいに宿命すること
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)