たつ)” の例文
新字:
たつかみなりのようなものとえた。あれをころしでもしたら、このほういのちはあるまい。おまへたちはよくたつらずにた。ういやつどもぢや」
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
「そんなわけはない。貝始めの式はすみ、はや大将方も、たつくちの勝負馬場の方に移っておる。見い、あのどよめき声がそれだ」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曲者はいづれ、守隨の家に仇をするため、たつくち評定所へ秤座はかりざ御朱印紛失の旨を訴へ出るだらう。——其處が此方のつけ目だ。
あとにて書生の語る所によれば、其日そのひ雨の降りしきれる時、世に云ふたつまきなるものありて、そのへびの如き細き長き物の天上するを見たりきといふ。
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
亀が浮くと、たつくちの火消屋敷の太鼓を打つことになっていました。その太鼓の音に驚いて、大亀は沈んでしまうといいます。しかし、その亀を見た者はないようです。
江戸の化物 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この会場は和田倉門外たつの口の或る旧藩邸の跡の古建物を用いられ、三室位打ち抜いた長方形の内間に、白木綿を掛けた粗末な板の卓が並べられて、椅子も粗末な籐椅子であった。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
まゆしろ船頭せんどうぐにまかせ、蒔繪まきゑ調度てうどに、待乳山まつちやまかげめて、三日月みかづきせたる風情ふぜい敷波しきなみはないろたつみやこごとし。ひとさけくるへるをりから、ふとちすましたるつゞみゆる。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かくてはたつのまどわしに
都喜姫 (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
えらや、飛ぶはねたつ
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
たつの宮荒れなば荒れね
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
明らかに吐出はきだす流れるたつの口さて又諸國よりの訴訟そしよう人共士農工商しのうこうしやう出家しゆつけ沙門しやもん醫者いしや山伏やまぶしの諸民に至るまで皆々相詰罷在まかりあれば程なく本多長門守領分りやうぶん遠州榛原郡はいばらごほり水呑村九助一件這入はひりませいと呼込よびこみになり一同ハツと答へ願人相手方其外村役人共付そひ白洲へ繰込くりこむ九助は領主より引渡ひきわたしのまゝいまだ足枷あしほだ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「早速たつくちの評定所へいらっしゃいませ、御老中にこの旨を申上げて、夜の明けぬ間に討手うってを差向けられるよう——」
大伴おほとも大納言だいなごんにはたつくびについてゐる五色ごしきたま石上いそのかみ中納言ちゆうなごんにはつばめのもつてゐる子安貝こやすがひひとつといふのであります。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
「まア聞け。ともかく御厨みくりやノ伝次に駒を曳かせ、人見新助に弓持たせて、たつくち木戸の奉行ノ簿に、試合の申し出でをせんとまいッてみると、果たして、道誉が先に待っておった」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今、たつはうち撓み
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
いきほひたつの行くごとく
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「早速たつくちの評定所へいらつしやいませ、御老中に此旨を申上げて、夜の明けぬ間に討手を差向けられるやう——」
四番よばんめの大伴おほとも大納言だいなごんは、家來けらいどもをあつめて嚴命げんめいくだし、かならたつくびたまつていといつて、邸内やしきうちにあるきぬ綿わたぜにのありたけをして路用ろようにさせました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
そっくりたつくち評定所まわしに附した。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
姫神、たつのみ車を
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
たつを刻みし宮柱みやばしら
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
町方で探索の手が届かなければ、その旨を御奉行から、大目付へ申し達し、たつくち評定所へ、改めて御家老なり御用人なりを、出頭して頂くすべもございます
買ひ受けたことになつて居るから、恐れながらとたつくちへ訴へ出たところで、お上は取上げてくれません
「その佐太郎が、たつくちの金森屋敷を退轉してから三日目、——といふと丁度昨日のことだ。佐太郎の使と言つて、金森家重役に莫大ばくだいの金子を差出した者がある」
宇佐美の家を取潰すため——あの御墨附をよごして、たつの口の目安箱に放り込んで置けば、間違ひもなく宇佐美家は取潰し、主人の殿樣は腹を切らされるんですつてね
あっしを殺せば、門口かどぐちに様子を見ている子分の者が十六人、一手は園山様の勇三郎様に駆け付け、一手はたつくち御評定所に飛込み、御目付へ訴えることになっているぞ。
町方が筋違いなら、たつくちの評定所へでも、若年寄の御邸へでも駆け込んでやりますよ。兵庫の野郎に腹を切らせて、あの邸にペンペン草を生やさなきゃア、胸が治まらねえ
明日はその絵図面をたつくちに持参、公儀のお許しを願い出ようという時、棟梁の藤兵衛は、自分の引いた絵図面の中に気に入らないところがあるから、ほんのしばらく拝見したい——と
「それはもう、たつくちへ訴状として差出しました」