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髪毛
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かみのけ
ふりがな文庫
“
髪毛
(
かみのけ
)” の例文
旧字:
髮毛
……でも、そんな話を初めて聞いた時には、
妾
(
わたし
)
もうビックリしちゃって
髪毛
(
かみのけ
)
をシッカリと掴みながらブルブル
慄
(
ふる
)
えて聞いていたようよ。
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
髪毛
(
かみのけ
)
の薄い小母さんの顔を見ていると、私はこのままこの家を出てしまいたい程くやしくなってくる。これが出掛けの戦争だ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
衣服は規定によって、柿色に水玉を染め抜いた物を着せるが、
髪毛
(
かみのけ
)
はそのままだし、亭主のある女はかねをつけてもよい。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
弁護士は飲んでいた。Kはレーニの手を握り、レーニはしばしば、Kの
髪毛
(
かみのけ
)
をやさしくなでるようなことをやってのけた。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
先生は気持よくさう云つて、長い頭の
髪毛
(
かみのけ
)
をグシヤ/\とかき上げると、今度はみんなの方へ向いて、かう云ひました。
仔猫の裁判
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
▼ もっと見る
髪毛
(
かみのけ
)
が、湿度によって伸縮するのを、御存じ……。あれを、落し金の動きに応用して、秘密の装置を鍵孔の中につくった人があるの。そうでしょう。
方子と末起
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
今までは
些
(
ちっ
)
とも眼に
注
(
つ
)
かなかったが、綱は人間の
髪毛
(
かみのけ
)
に
因
(
よっ
)
て固く編まれたもので、
所謂
(
いわゆる
)
「
毛綱
(
けづな
)
」の
類
(
たぐい
)
であった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
数歩
(
すほ
)
を行けば、宮が命を沈めしその
淵
(
ふち
)
と見るべき処も、彼が
釈
(
と
)
けたる帯を
曳
(
ひ
)
きしその
巌
(
いはほ
)
も、歴然として皆在らざるは無し! 貫一が
髪毛
(
かみのけ
)
は
針
(
はり
)
の如く
竪
(
た
)
ちて
戦
(
そよ
)
げり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「行こうじゃないか。見に行こうじゃないか。どんなだろう。きっと古い木だね。」私は冬によくやる
木片
(
もくへん
)
を焼いて
髪毛
(
かみのけ
)
に
擦
(
こす
)
るとごみを吸い取ることを考えながら云いました。
鳥をとるやなぎ
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
あの
禿
(
はげ
)
あがったような貧相らしい
頸
(
えり
)
から、いつも耳までかかっている
尨犬
(
むくいぬ
)
のような
髪毛
(
かみのけ
)
や赤い目、
鈍
(
のろ
)
くさい口の
利方
(
ききかた
)
や、卑しげな奴隷根性などが、一緒に育って来た男であるだけに
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
土堤を降りた向側は山大に松倉、鋳物工場らしく、ハンマーの音が高らかに響き、エンジンが陽気に
嘯
(
うそぶ
)
く。松金の赤煉瓦だけが死骸の様に沈まり返っていた。
髪毛
(
かみのけ
)
一すじ程の煙りも吹き上げない。
鋳物工場
(新字新仮名)
/
戸田豊子
(著)
紙包みより彼の三筋の
髪毛
(
かみのけ
)
を取出しつ
細語
(
さゝや
)
く程の低き声にて
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
髪毛
(
かみのけ
)
が
毬
(
まり
)
のようにくぐまった無気味なものである。
水草
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
亡くなったものの
髪毛
(
かみのけ
)
なんぞ。……
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
長いお前の
髪毛
(
かみのけ
)
は
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
その
中
(
うち
)
でも取りわけて恐ろしかったのは、
蓬々
(
ぼうぼう
)
と乱れかかった
髪毛
(
かみのけ
)
の中から、真白くクワッと見開いていた両眼であったという。
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……元服して間もないと思われる額に、
濡
(
ぬ
)
れた
髪毛
(
かみのけ
)
が二筋三筋ふりかかっている。かたくひき結んだ唇が
微
(
かす
)
かに震えた。
春いくたび
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
波蘭輪舞
(
マズルカ
)
のような¾拍子を踏みながら、クルクル
独楽
(
こま
)
みたいに旋廻を始めたが、
卓子
(
テーブル
)
の端にバッタリ両手を突くと、下った
髪毛
(
かみのけ
)
を
蓮葉
(
はすっぱ
)
に後の方へ跳ね上げて云った。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
女は彼の頭をかかえ頭越しに身をかがめて、彼の頸を
噛
(
か
)
み、接吻し、
髪毛
(
かみのけ
)
の中まで噛んだ。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
長さは幾丈あるか
鳥渡
(
ちょっと
)
は想像が付かぬ位で、黒い固い綱は狭い室内に
蟠蜒
(
とぐろ
)
を巻いて、
其端
(
そのはし
)
は蛇の鎌首のように突っ立った。これが総て人間の
髪毛
(
かみのけ
)
であるかと思うと、市郎は何となく薄気味悪く感じた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その少女は
艶々
(
つやつや
)
した
夥
(
おびただ
)
しい
髪毛
(
かみのけ
)
を、黒い、大きな
花弁
(
はなびら
)
のような、奇妙な恰好に結んだのを白いタオルで包んだ枕の上に
蓬々
(
ぼうぼう
)
と乱していた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
髪毛
(
かみのけ
)
はもう灰色であるが、眉は黒く、とびぬけて濃かった。肉の緊った骨の太い、ごつごつした躯つきで、武芸で鍛えた躯だということはひと眼でわかった。
似而非物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
さっきはこの男の前にちゃんと立っていたのだが、今は二人がささえねばならず、帽子は案内係がひろげた指の上にのせており、髪形は乱れ、
髪毛
(
かみのけ
)
は汗ばんだ額の上に垂れていた。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
しかし、伊右衛門は、まだ未練げに、
凝
(
じ
)
っと浮きを見詰めていると、やがて
髪毛
(
かみのけ
)
がかかり、次に引き上げた櫛の歯から、一筋二筋と、もつれ毛を取り去る、指のしなだれ、その蒼白さ。
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
大きな
花弁
(
はなびら
)
の形に
結
(
ゆ
)
い上げられた夥しい
髪毛
(
かみのけ
)
が、雲のように
濛々
(
もうもう
)
と重なり合っている……その
鬢
(
びん
)
の恰好から、生え際のホツレ具合までも
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
廊下に面して障子があり、三方は壁で、
行灯
(
あんどん
)
部屋といった感じだった。もちろん刀は取上げられているし、
髪毛
(
かみのけ
)
も乱れ、一夜みないうちに驚くほど
痩
(
や
)
せやつれていた。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
饐
(
す
)
えたような、
髪毛
(
かみのけ
)
の匂いがぷうんと鼻を衝く。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
と叫びながら紫の
髪毛
(
かみのけ
)
をふり乱し、
紅玉
(
ルビー
)
を雨のようにふり散らして、物をも云わず窓から逃げ出そうとしましたが、
最早
(
もはや
)
遅う御座いました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
そうした表情が黒い
髪毛
(
かみのけ
)
を額に粘り付かせたまま、コメカミをヒクヒクと波打たせつつ、黒装束の中から見下している……。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
髪毛
(
かみのけ
)
や
髯
(
ひげ
)
に
白髪
(
しらが
)
が交っていますからね。ハハハハハ。しかし私は、今から三ヶ月前迄は間違いなく二十代に見えたのです。
死後の恋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
やがて上の蒲団を容赦なく引き
除
(
の
)
けると、
髪毛
(
かみのけ
)
を
濛
(
もう
)
と空中に渦巻かせて、
寝床
(
ベッド
)
の中に倒れ込むようにメスを振りおろした。
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
夕雲のように紫色に渦巻いた長い
髪毛
(
かみのけ
)
。長い眉と長い
睫毛
(
まつげ
)
。花のような唇。その眼や口を静かに閉じて、鼻息も聞こえぬ位静かに眠っている姿。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
あとは
髪毛
(
かみのけ
)
と血の
和
(
あ
)
え
物
(
もの
)
みたようになったのが、線路の
一側
(
ひとかわ
)
を十間ばかりの間に、ダラダラと引き散らされて来ている。
空を飛ぶパラソル
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
弓道場の蔭の防火壁の横から外へ出て、裏門際の共同便所で
髪毛
(
かみのけ
)
と顔を念入りに直して、コッソリと自宅へ帰りました。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……青白く痩せこけて……
髪毛
(
かみのけ
)
をクシャクシャに掻き乱して……
無精髪
(
ぶしょうがみ
)
を
蓬々
(
ぼうぼう
)
と
生
(
は
)
やして……憂鬱な黒い
瞳
(
め
)
を伏せた……受難のキリストじみた……。
怪夢
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それから
瞬
(
まばたき
)
一つせずに、頭をソロソロと左右に傾けて、白いずくめの寝具と、
解
(
と
)
かし流されたまま、枕の左右に乱れかかっている自分の
髪毛
(
かみのけ
)
を見た。
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
いつの間に取り上げたものか、私の松葉杖の片ッ方が、副院長のクシャクシャになった
髪毛
(
かみのけ
)
の上に振り
翳
(
かざ
)
されている。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
瘠
(
や
)
せこけて青ざめた、眼ばかり光る顔に、黒い
髪毛
(
かみのけ
)
をバラバラと垂らした女で、手には一冊の字も絵も何も書いて無い、白紙の書物を拡げて読んでいる。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
半面を
蔽
(
おお
)
うた
髪毛
(
かみのけ
)
の蔭から白いホコリの溜った硝子戸の割れ目を凝視したまま、奇妙にヒッソリと澄んでいた。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
青白い糸のような
身体
(
からだ
)
に、
髪毛
(
かみのけ
)
をバラバラとふり乱して、眼の玉を真白に
剥
(
む
)
き出して、歯をギリギリと噛んで、まるで
般若
(
はんにゃ
)
のようにスゴイ顔つきであったが
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そいつが四尺近くもあろうかと思われる長い髪を色々な日本髪に結うのじゃそうなが、髪結いの手にかけると
髪毛
(
かみのけ
)
が余って
手古摺
(
てこず
)
るのでヤハリ自分で結うらしい
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……どこかに女の
髪毛
(
かみのけ
)
がくっついていた場合(御自分のかも知れないと思われた時でも念のため)……
奥様探偵術
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
髪毛
(
かみのけ
)
も同様に、
仮髪
(
かつら
)
かと思われるくらい豊かに青々としているのを、
眥
(
めじり
)
が釣り上がるほど引き詰めて、長い襟足の附け根のところに大きく無造作に渦巻かせていた。
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
首をもうすこしで死ぬとこまで
絞
(
し
)
められたり、縛って宙釣りにされたり、
髪毛
(
かみのけ
)
だけで吊るされたりして、とても我慢出来ない位、苦しかったり痛かったりしたのよ。
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
また姑のオナリ婆さんは
俯伏
(
うつぶ
)
せになって、枕を抱えて寝ていたらしく、後頭部を縦に割付けられていたが、これは
髪毛
(
かみのけ
)
があるので血が真黒に固まり付いている上に
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そのモジャモジャと乱れ重なった
髪毛
(
かみのけ
)
の下を、ドキドキしながら見守っていた。しかし、そうじゃないらしい事が間もなくわかったので、妾はガッカリしてしまった。
ココナットの実
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
田圃
(
たんぼ
)
道でスレ違いさまにお
辞儀
(
じぎ
)
をして行く村の娘の
髪毛
(
かみのけ
)
の臭気を
嗅
(
か
)
いでも、彼は烈しいインスピレーションみたようなものに打たれて眼がクラクラとする位であった。
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
肩から胸へかけて薄い寒さを感じつつ、濡れた
髪毛
(
かみのけ
)
を撫で上げ撫で上げやっとの事で眼を見開いた。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
写真機と手提袋を深い雨
樋
(
どい
)
の中へ落し込んだ私は、手早く
髪毛
(
かみのけ
)
を解いて、長く
蓬々
(
ほうほう
)
と垂らしました。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
身体
(
からだ
)
中が汗みどろになって、
髪毛
(
かみのけ
)
が顔中に粘り付いて、眼も口も開けられなくなってしまったの。
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
髪
常用漢字
中学
部首:⾽
14画
毛
常用漢字
小2
部首:⽑
4画
“髪”で始まる語句
髪
髪結
髪結床
髪剃
髪飾
髪容
髪針
髪形
髪油
髪盗み