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鞭撻
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べんたつ
ふりがな文庫
“
鞭撻
(
べんたつ
)” の例文
翌
(
あく
)
る日一日、平次はガラッ八を
鞭撻
(
べんたつ
)
して、吉田一学の屋敷と、一学の娘
百枝
(
ももえ
)
の嫁入り先、金助町の園山若狭の屋敷を探らせました。
銭形平次捕物控:051 迷子札
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
実に
慚愧
(
ざんき
)
に堪へぬ悪徳であつたと、自分の精神に覚醒の
鞭撻
(
べんたつ
)
を与へて呉れたのは、この奇人の歪める口から迸しつた第一声である。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
工事監督や人夫の
鞭撻
(
べんたつ
)
にあたってはいるが、いかにせん使役する人夫は、不満不服のかたまりといってもよい占領地下の敵国民である。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
邦強く敵無くんば、
将
(
まさ
)
に長策を
揮
(
ふる
)
うて四方を
鞭撻
(
べんたつ
)
せんとす、則ち人をして
己
(
おのれ
)
に備うるに
遑
(
いとま
)
あらざらしむ、何ぞ区々防禦のみを言わんや。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
兄の言葉は、代助の耳を
掠
(
かす
)
めて外へ
零
(
こぼ
)
れた。彼はただ全身に苦痛を感じた。けれども兄の前に良心の
鞭撻
(
べんたつ
)
を
蒙
(
こうむ
)
る程動揺してはいなかった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
願
(
ねがわ
)
くは何か
峻烈
(
しゅんれつ
)
なる刺激を与え、
鞭撻
(
べんたつ
)
激励して彼等を努力せしめたならば、日本の生産力もまた必ず多大の増加を見る事は疑いを
容
(
い
)
れまい。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
且つ絶間なく私を
鞭撻
(
べんたつ
)
してこの仕事を仕上げさせてくれたマアガレット・ダブリュー・ブルックス嬢に対して、私は限りなき感謝の念を感じる。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
また
松陰
(
しょういん
)
先生にしても誰にでもこの筆法をもって
鞭撻
(
べんたつ
)
されたとも思われぬ。日ごろ先生が公に見るところあり、この機に乗じて一
針
(
しん
)
を加えたにすぎぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
親父
(
おやじ
)
には絶えず
怒
(
おこ
)
られて
叱責
(
しっせき
)
され、
親戚
(
しんせき
)
の年上者からは監督され、教師には
鞭撻
(
べんたつ
)
され、精神的にも行動的にも、自由というものが全く許されてなかった。
老年と人生
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
かえって福沢諭吉先生の開明的な思想に
鞭撻
(
べんたつ
)
されて欧化に憧れ、非常な勢いで西洋を模倣し、家の柱などはドリックに
削
(
けず
)
り、ベッドに寝る、バタを食べ
亡び行く江戸趣味
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
名聞
(
みょうもん
)
を求めず。栄達を願わず。米塩をかえりみずして、ただ自分自身の芸道の切瑳琢磨と、子弟の
鞭撻
(
べんたつ
)
に精進した……という、ただそれだけの人物であった。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
またその試験というのが人工的に
無闇
(
むやみ
)
に程度を高く
捻
(
ね
)
じり上げたもので、それに手の届くように
鞭撻
(
べんたつ
)
された受験者はやっと数時間だけは持ちこたえていても
アインシュタインの教育観
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
確かにこの問答が
怠惰
(
たいだ
)
なるチベット人、
蒙昧
(
もうまい
)
なチベット人を
鞭撻
(
べんたつ
)
して幾分仏教の真理に進ませるので、半開人に似合わず案外論理的思想に富んで居るという事も
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
性
(
しょう
)
の悪き牛、乳を
搾
(
しぼ
)
らるる時人を
蹴
(
け
)
ることあり。人これを怒つて大に
鞭撻
(
べんたつ
)
を加へたる上、足を
縛
(
しば
)
り付け、無理に乳を搾らむとすれば、その牛、乳を出さぬものなり。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
そして其の間それを傍観してゐる磯村の
堪
(
た
)
へ忍ばねばならなかつた苦痛は、むしろそれ以上であつた。何事にも
不検束
(
ふしだら
)
な彼にも、監視と
鞭撻
(
べんたつ
)
の余儀ないことが痛感された。
花が咲く
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
そこで男は精一ぱい心を今の一
刹那
(
せつな
)
に集中しようと思った。過去をも未来をも、少しも思うまいと男は意志に最後の
鞭撻
(
べんたつ
)
を加えた。
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
今だけでも幸福を感じていたい。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
この診察は人の勇気を
鞭撻
(
べんたつ
)
するものである。そして、本書の悲痛な一編の劇にはさんだいかめしい幕間物たるこれらの数ページを、我々はこの鞭撻の力説によって終えたいと思う。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
かつこの自伝の断片は明治二十二年ごろの手記であるが、自ら「当時の余の心状は卑劣なりしなり」と明らさまに書く処に二葉亭の一生
鞭撻
(
べんたつ
)
してやまなかった心の
艱
(
なや
)
みが見えておる。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
クリストフは愛情のあまり、彼をきびしく
鞭撻
(
べんたつ
)
してやったが、その
甲斐
(
かい
)
もなかった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
中江
篤介
(
とくすけ
)
氏は社会的に平民主義を論じ、星、大井の諸氏は法律論を唱へ、此回顧的退歩的の潮流に抗し民心を激励
鞭撻
(
べんたつ
)
して此切所に踏み
止
(
とゞま
)
り、更に進歩的の方角に之を指導せんとせり。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
宮地嘉六氏と内藤辰雄氏の
鞭撻
(
べんたつ
)
のお蔭で、かなり力の入れどころも知ったように思ったが、八月号の「新興文学」誌上で、宮島新三郎氏から、内面描写が足り無いという評を受けてからは
骨を削りつつ歩む:――文壇苦行記――
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
こうして彼は私を
鞭撻
(
べんたつ
)
してくれたのだ。そして今また今度の会へもぜひ私を出席さして、その席上でいろいろな雑誌や新聞の関係者に紹介してくれて、生活の
便宜
(
べんぎ
)
を計ってやると言っていたのだ。
遁走
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
今日、ストリンドベリイの「青巻」を読み了えた。最後の言葉「苦しみ働け、常に苦しみつつ常に希望を抱け、永久の定住を望むな、此の世は巡礼である」——がひどく予を
鞭撻
(
べんたつ
)
しまた慰めて呉れた。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
教育家自身の迂濶と怠慢とを
鞭撻
(
べんたつ
)
せらるるように希望致します。
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
読者諸氏の
鞭撻
(
べんたつ
)
によって大成を他日に期したいと思う。
『グリム童話集』序
(新字新仮名)
/
金田鬼一
(著)
自分を
鞭撻
(
べんたつ
)
するように、こころに大書した。
元禄十三年
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
するやうに、
鞭撻
(
べんたつ
)
の労を執つてくれ給へ。
着物
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
修業のためには
甘
(
あま
)
んじて
苛辣
(
からつ
)
な
鞭撻
(
べんたつ
)
を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
看よ看よいかにかの露国がその人民を
鞭撻
(
べんたつ
)
し、その
膏血
(
こうけつ
)
を絞るも、限りあるの財本はもって限りなきの経費に
充
(
あ
)
つるあたわず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
完全の域に進まなければならんと云う内部の刺激やら外部の
鞭撻
(
べんたつ
)
があるから、模倣という意味は離れますまいが、その代り生活全体としては
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ努めて、真雄の人物と作刀を、重臣たちの間へ推賞したり又、真雄自身へは倦まざる精進を、
鞭撻
(
べんたつ
)
して来ただけだった。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次はガラツ八を
鞭撻
(
べんたつ
)
して、吉田一學の屋敷と、一學の娘
百枝
(
もゝえ
)
の嫁入り先、金助町の園山
若狹
(
わかさ
)
の屋敷を探らせました。
銭形平次捕物控:051 迷子札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
なぜなら民衆は、彼等を甘やかすことによって
益々
(
ますます
)
堕落し、
鞭撻
(
べんたつ
)
することによって向上してくるからだ。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
無邪気なる悪行を懲らすにもこれを教へ諭すの法に由らずしてかへつて打擲し
鞭撻
(
べんたつ
)
する者あり。
病牀譫語
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
芸術家としての
譬
(
たと
)
えようのない、清い高い「熱」によって、私がどんなにまで
鞭撻
(
べんたつ
)
され、勇気付けられ、指導されたか……という事は、私自身にも想像が及ばないでいるのです。
江戸川乱歩氏に対する私の感想
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
この戒心は刻一刻吾人を
鞭撻
(
べんたつ
)
して吾人の偉大性を発揚せしめつゝあり。かくて吾人は今、新らしき舞台の変化を迎へて、最も真面目にこの内省の戒心に聞くべきの時期に遭遇せり。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
しかしただ書棚の中に並んでいる書物の名をガラス戸越しにながめるだけでも自分には決して無意味ではなかった、ただそれだけで一種の興奮を感じ刺激と
鞭撻
(
べんたつ
)
を感ずるのであった。
丸善と三越
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
この若者
輩
(
ばら
)
にたいしては、相当、つね日頃から官兵衛は、苦言や
鞭撻
(
べんたつ
)
を加えている。ときどき、仲間へ入って来て
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
熱心は成効の度に応じて
鼓舞
(
こぶ
)
せられるものであるから、吾が髯の前途有望なりと見てとって主人は朝な夕な、手がすいておれば必ず
髯
(
ひげ
)
に向って
鞭撻
(
べんたつ
)
を加える。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
藤田
固
(
もと
)
より無謀の攘夷家にあらず、彼は攘夷の決心を以て、二百五十年来腐敗したる人心を
鞭撻
(
べんたつ
)
し、一旦国家を逆境に
擠
(
おと
)
し、以てその復活を計らんと欲したり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
南町奉行朝倉
石見守
(
いはみのかみ
)
は、與力筆頭笹野新三郎を呼び付けて
鞭撻
(
べんたつ
)
すると、笹野新三郎は利助や平次をせき立てる有樣、かう事件が深刻になつては、手柄爭ひどころの
沙汰
(
さた
)
ではありません。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは勿論その養父たる家元の
鞭撻
(
べんたつ
)
指導の御蔭に相違ないのであるが、その時には、前に述べた芸の恩というものが、自分の
嘗
(
な
)
めた苦心によってその養子の骨の髄にまで徹していると同時に
能とは何か
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ただ、これが新聞のうえに掲載中は、不才のわたくしを
鞭撻
(
べんたつ
)
してくれた読者諸氏の望外な熱情と声援には、その過大にむしろわたくしは
惧
(
おそ
)
れたほどだった。
宮本武蔵:01 序、はしがき
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たとえば英語の教師が英語に熱心なるのあまり学生を
鞭撻
(
べんたつ
)
して、地理数学の研修に利用すべき当然の時間を
割
(
さ
)
いてまでも難句集を
暗誦
(
あんしょう
)
させるようなものである。
作物の批評
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼が将来の外患を予測して、沈酔の社会を
鞭撻
(
べんたつ
)
せんとす、その
怨府
(
えんぷ
)
となるまた
宜
(
う
)
べならずや。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
南町奉行
朝倉石見守
(
あさくらいわみのかみ
)
は、与力筆頭笹野新三郎を呼び付けて
鞭撻
(
べんたつ
)
すると、笹野新三郎は利助や平次をせき立てる有様、こう事件が深刻になっては、手柄争いどころの沙汰ではありません。
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
むしろ拍子の当りが確か過ぎるのを只圓翁が嫌って、今一層向上させるべく
鞭撻
(
べんたつ
)
していたのを後人が、自分の力の足りなさから、自己流に解釈して、芸道を堕落させたものに相違ないのである。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
江戸へ出ては、
文晁
(
ぶんちょう
)
に
鞭撻
(
べんたつ
)
され、崋山に
刺戟
(
しげき
)
され、春木南湖の門をたたき、
靄厓
(
あいがい
)
に
質
(
ただ
)
すという風だった。
田崎草雲とその子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
肉を
鞭撻
(
べんたつ
)
すれば霊の光輝が増すように感ずる場合さえあったのかも知れません。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
翁は決して自分一人を
鞭撻
(
べんたつ
)
していたのではあるまいと思われる。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
“鞭撻”の意味
《名詞》
鞭 撻(べんたつ)
懲罰のために相手を鞭で打つこと。
失態を咎め、叱ると同時に、励まして行動を促すこと。
(出典:Wiktionary)
鞭
漢検準1級
部首:⾰
18画
撻
漢検1級
部首:⼿
16画
“鞭”で始まる語句
鞭
鞭打
鞭韃
鞭声粛々
鞭声
鞭影
鞭策
鞭索
鞭毛
鞭責