“鞭撻:べんたつ” の例文
“鞭撻:べんたつ”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治11
夏目漱石5
野村胡堂3
夢野久作3
正岡子規2
“鞭撻:べんたつ”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 能楽 狂言10.0%
文学 > フランス文学 > 小説 物語3.8%
文学 > 文学 > 文学理論 作法2.0%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
人これを怒つて大に鞭撻べんたつを加へたる上、足をしばり付け、無理に乳を搾らむとすれば、その牛、乳を出さぬものなり。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
ただ努めて、真雄の人物と作刀を、重臣たちの間へ推賞したり又、真雄自身へは倦まざる精進を、鞭撻べんたつして来ただけだった。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
米塩をかえりみずして、ただ自分自身の芸道の切瑳琢磨と、子弟の鞭撻べんたつに精進した……という、ただそれだけの人物であった。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
なぜなら民衆は、彼等を甘やかすことによって益々ますます堕落し、鞭撻べんたつすることによって向上してくるからだ。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
そういう考えにオリヴィエは圧倒されていた。クリストフは愛情のあまり、彼をきびしく鞭撻べんたつしてやったが、その甲斐かいもなかった。
彼が将来の外患を予測して、沈酔の社会を鞭撻べんたつせんとす、その怨府えんぷとなるまたべならずや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
完全の域に進まなければならんと云う内部の刺激やら外部の鞭撻べんたつがあるから、模倣という意味は離れますまいが、その代り生活全体としては
文芸と道徳 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大井の諸氏は法律論を唱へ、此回顧的退歩的の潮流に抗し民心を激励鞭撻べんたつして此切所に踏みとゞま
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
看よ看よいかにかの露国がその人民を鞭撻べんたつし、その膏血こうけつを絞るも、限りあるの財本はもって限りなきの経費につるあたわず。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
清い高い「熱」によって、私がどんなにまで鞭撻べんたつされ、勇気付けられ、指導されたか……という事は
江戸へ出ては、文晁ぶんちょう鞭撻べんたつされ、崋山に刺戟しげきされ、春木南湖の門をたたき、靄厓あいがいただすという風だった。
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いわないはずである。この若者ばらにたいしては、相当、つね日頃から官兵衛は、苦言や鞭撻べんたつを加えている。ときどき、仲間へ入って来て、
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、朝に夕に、部下の者を、鞭撻べんたつしてやまないのである。三与力の行動に、やや鈍さでも見ると、
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無邪気なる悪行を懲らすにもこれを教へ諭すの法に由らずしてかへつて打擲し鞭撻べんたつする者あり。
病牀譫語 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
翌る日一日。平次はガラツ八を鞭撻べんたつして、吉田一學の屋敷と、一學の娘百枝もゝえの嫁入り先、金助町の園山若狹わかさの屋敷を探らせました。
最後の言葉「苦しみ働け、常に苦しみつつ常に希望を抱け、永久の定住を望むな、此の世は巡礼である」——がひどく予を鞭撻べんたつしまた慰めて呉れた。
また松陰しょういん先生にしても誰にでもこの筆法をもって鞭撻べんたつされたとも思われぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
軽蔑けいべつする以上の愍情びんじょうがわいて、腕ずくでも、この男を鞭撻べんたつし、発奮させて、有為ゆういな武士に仕立ててやらねばならぬと思った。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『すると、彼に苦言を与えた東郷五郎左衛門は、熊楠にとっては、鞭撻べんたつの恩人だな』
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ、これが新聞のうえに掲載中は、不才のわたくしを鞭撻べんたつしてくれた読者諸氏の望外な熱情と声援には、その過大にむしろわたくしはおそれたほどだった。
宮本武蔵:01 序、はしがき (新字新仮名) / 吉川英治(著)
肉を鞭撻べんたつすれば霊の光輝が増すように感ずる場合さえあったのかも知れません。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何事にも不検束ふしだらな彼にも、監視と鞭撻べんたつの余儀ないことが痛感された。
花が咲く (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
彼の顔いろを知ると、隠居は、自分の鞭撻べんたつが、彼を奮起させたものと思いこみ、
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ねがわくは何か峻烈しゅんれつなる刺激を与え、鞭撻べんたつ激励して彼等を努力せしめたならば、日本の生産力もまた必ず多大の増加を見る事は疑いをれまい。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
熱心は成効の度に応じて鼓舞こぶせられるものであるから、吾が髯の前途有望なりと見てとって主人は朝な夕な、手がすいておれば必ずひげに向って鞭撻べんたつを加える。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この戒心は刻一刻吾人を鞭撻べんたつして吾人の偉大性を発揚せしめつゝあり。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
藤田もとより無謀の攘夷家にあらず、彼は攘夷の決心を以て、二百五十年来腐敗したる人心を鞭撻べんたつし、一旦国家を逆境におとし、以てその復活を計らんと欲したり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
けれども兄の前に良心の鞭撻べんたつこうむる程動揺してはいなかった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
たとえば英語の教師が英語に熱心なるのあまり学生を鞭撻べんたつして、地理数学の研修に利用すべき当然の時間をいてまでも難句集を暗誦あんしょうさせるようなものである。
作物の批評 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかしただ書棚の中に並んでいる書物の名をガラス戸越しにながめるだけでも自分には決して無意味ではなかった、ただそれだけで一種の興奮を感じ刺激と鞭撻べんたつを感ずるのであった。
丸善と三越 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
かつこの自伝の断片は明治二十二年ごろの手記であるが、自ら「当時の余の心状は卑劣なりしなり」と明らさまに書く処に二葉亭の一生鞭撻べんたつしてやまなかった心のなやみが見えておる。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
むしろ拍子の当りが確か過ぎるのを只圓翁が嫌って、今一層向上させるべく鞭撻べんたつしていたのを後人が、自分の力の足りなさから、自己流に解釈して、芸道を堕落させたものに相違ないのである。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
この診察は人の勇気を鞭撻べんたつするものである。
こうして彼は私を鞭撻べんたつしてくれたのだ。
遁走 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
正面に、武神、流祖、ふた柱をまつって、神酒みきをあげる。式となって、昇格の免状だの、賞状などが渡され、師範からなお鞭撻べんたつの訓話があって、終わると、夕方は早めに散会という順序であった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
南町奉行朝倉石見守いはみのかみは、與力筆頭笹野新三郎を呼び付けて鞭撻べんたつすると、笹野新三郎は利助や平次をせき立てる有樣、かう事件が深刻になつては、手柄爭ひどころの沙汰さたではありません。
南町奉行朝倉石見守あさくらいわみのかみは、与力筆頭笹野新三郎を呼び付けて鞭撻べんたつすると、笹野新三郎は利助や平次をせき立てる有様、こう事件が深刻になっては、手柄争いどころの沙汰ではありません。
奉行の吉田六郎太夫も、千原九右衛門も、ほとんど、不眠不休のすがたで、工事監督や人夫の鞭撻べんたつにあたってはいるが、いかにせん使役する人夫は、不満不服のかたまりといってもよい占領地下の敵国民である。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手違い、不便、吉良の手によって続けさまに、それらの障害が投げられるであろうことは承知の上で——と、美濃守は、ふたたび、弊風、それに、打破の二字を加えて、自分を鞭撻べんたつするように、こころに大書した。
元禄十三年 (新字新仮名) / 林不忘(著)
確かにこの問答が怠惰たいだなるチベット人、蒙昧もうまいなチベット人を鞭撻べんたつして幾分仏教の真理に進ませるので、半開人に似合わず案外論理的思想に富んで居るという事も、こういう事から起って来て居るのです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「劉備からおはなしは聞きました。失礼ですが、お見うけ申すからに頼もしい偉丈夫。どうか、柔弱なわたしの一子を、これから叱咤しったして下さい。おたがいに鞭撻べんたつし合って、大事をなしとげて下さい」と、いった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鞭撻べんたつした。
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
所詮しょせん、天堂などの敵でないとみえる。頼み甲斐のない一角のらせがまいるたびに、阿波殿の御気分がいらいらとしよう。よし、ひとつこの有村から、わざと罵詈ばりを加えた返書をやって、かれを鞭撻べんたつしてくれねばならぬ」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは勿論その養父たる家元の鞭撻べんたつ指導の御蔭に相違ないのであるが、その時には、前に述べた芸の恩というものが、自分のめた苦心によってその養子の骨の髄にまで徹していると同時に、その養子は相伝された型を、養父家元の真似でなく
能とは何か (新字新仮名) / 夢野久作(著)
たとへ一転瞬の間と雖ども、かくの如きさもしい事を、この日本一の代用教員たる自分の胸に感じたのは、実に慚愧ざんきに堪へぬ悪徳であつたと、自分の精神に覚醒の鞭撻べんたつを与へて呉れたのは、この奇人の歪める口から迸しつた第一声である。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
宮地嘉六氏と内藤辰雄氏の鞭撻べんたつのお蔭で、かなり力の入れどころも知ったように思ったが、八月号の「新興文学」誌上で、宮島新三郎氏から、内面描写が足り無いという評を受けてからは、私は自分の力がスプリングのようにね上がったように思った。
枝葉の事を弥聒やかましくいわれるよりは、いまわしい離婚沙汰などをいださぬように今の教育を根本から改めて、おのずから夫婦相和して行かれる完全な人格を作る事を心掛け、教育家自身の迂濶と怠慢とを鞭撻べんたつせらるるように希望致します。
離婚について (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
「君は何故この前の着物を着ないのだい。それぢや又逆戻りをした訳ぢやないか。しかし黄びらも似合はなくはないよ。——諸君この男も一度は着換へをして出て来た事を思ひ出してやり給へ。さうして今後も着換へをするやうに、鞭撻べんたつの労を執つてくれ給へ。」
着物 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
私の若い時代は江戸趣味どころか、かえって福沢諭吉先生の開明的な思想に鞭撻べんたつされて欧化に憧れ、非常な勢いで西洋を模倣し、家の柱などはドリックにけずり、ベッドに寝る、バタを食べ、頭髪までも赤くちぢらしたいと願ったほどの心酔ぶりだった。
亡び行く江戸趣味 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
学生時代には不断の試験地獄に苦しめられ、慢性的の神経衰弱にかかっていたし、親父おやじには絶えずおこられて叱責しっせきされ、親戚しんせきの年上者からは監督され、教師には鞭撻べんたつされ、精神的にも行動的にも、自由というものが全く許されてなかった。
老年と人生 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
最後に、呪詛じゅその価充分なる私の手記を読んでタイプライタアで打ち、同時に粗糙そぞうなるを流暢に、曖昧あいまいなるを平易にし、且つ絶間なく私を鞭撻べんたつしてこの仕事を仕上げさせてくれたマアガレット・ダブリュー・ブルックス嬢に対して、私は限りなき感謝の念を感じる。
修業のためにはあまんじて苛辣からつ鞭撻べんたつを受けよう怒罵どば打擲ちょうちゃくも辞する所にあらずという覚悟かくごの上で来たのであったがそれでも長くしのんだ者は少く大抵は辛抱しんぼう出来ずにしまった素人しろうとなどはひと月と続かなかった。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
生徒も先生も不断にこの強制的に定められた晴れの日の準備にあくせくしていなければならない。またその試験というのが人工的に無闇むやみに程度を高くじり上げたもので、それに手の届くように鞭撻べんたつされた受験者はやっと数時間だけは持ちこたえていても、後ではすっかり忘れて再び取りかえす事はない。
アインシュタインの教育観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)