雀躍こをどり)” の例文
此咄を洩聞いて雀躍こをどりしたは御園草四郎君だ。此男も大学出身の学士で今は大学院で研究してゐる。当人の咄では官費留学生の候補者ださうだ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
うれしくツて/\、雀躍こをどりをするやうなあしどりで、「やつちあまかつたい。おう、まかつた、まかつた、わつしよい/\。」
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
仙太の手から打球板ラッケットを奪ひ取らうとした少年なぞは、手をつて、雀躍こをどりして、喜んだ。思はず校長も声を揚げて、文平の勝利を祝ふといふ風であつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「實に巧い、モ一つ、モ一つ。」と雀躍こをどりする樣にして云つた小松君の語が、三四人の反響を得て、市子は再立つ。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
このうまりしが大將たいしやう説明はなせば、雀躍こをどりしてよろこび、ぼく成長おほきくならば素晴すばらしき大將たいしやうり、ぞくなどはなんでもなくち、そして此樣このやう書物ほんかれるひとりて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ばかり明日の釣りに負けまじと思はば汝も新に良き竿を求めよかしと云へば、雀躍こをどりして立出で行きしが、時経て帰り来りしを見れば、おもしろからぬ色をなせり。
鼠頭魚釣り (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
一人ひとり左鬢さびんに、かすかなきづしろ鉢卷はちまきわたくし雀躍こをどりしながら、ともながむる黎明れいめい印度洋インドやう波上はじやうわたすゞしいかぜは、一陣いちじんまた一陣いちじんふききたつて、いましも、海蛇丸かいだまる粉韲ふんさいしたる電光艇でんくわうてい
「リードの孃さまたちはとてもこれほどけやしない!」と彼女は雀躍こをどりして云つた。
打披うちひろげたりし油紙を取りて直行の目先へ突付くれば、何を包みし移香うつりがにや、胸悪き一種の腥気せいきありておびただしく鼻をちぬ。直行はなほも逆はでむ無くおもてそむけたるを、狂女は目をみはりつつ雀躍こをどりして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かこかなしむさま如何いかにも不便ふびんと思ふよりたちまちくるふ心のこまやゝ引止ひきとめん樣もなく然樣さうなら今宵こよひはしりと彼の久八の異見いけんわすれ何れ返事はあうての上と言ば吉六しめたりと雀躍こをどりなして立歸りぬそれより千太郎はたな都合つがふ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大学士はまるで雀躍こをどりして
楢ノ木大学士の野宿 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「実に巧い、モ一つ、モ一つ。」と雀躍こをどりする様にして云つた小松君のことばが、三四人の反響を得て、市子はまた立つ。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
其處そこへ、門内もんない植込うゑこみ木隱こがくれに、小女こをんながちよろ/\とはしつてて、だまつてまぜをして、へいについて此方こなたへ、とつた仕方しかたで、さきつから、ござんなれとかたゆすつて、あし上下うへした雀躍こをどりしてみちびかれる
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何か密々ひそ/\話し合つて笑つた事、菊池君が盃を持つて立つて來て、西山から聲をかけられた時、怎やら私達の所に坐りたさうに見えた事、雀躍こをどりする樣に身體を搖がして
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
雀躍こをどりする様に身体を揺がして、踊をモ一つと所望した小松君の横顔、……それから、市子の顔を明瞭はつきり描いて見たいと云ふ様な気がして、折角努めて見たが、怎してか浮んで来ない。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『俺も、俺も。』と新坊は氣早に立ち上つて雀躍こをどりする。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
おらも、俺も。』と新坊は気早に立ち上つて雀躍こをどりする。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)