近々ちか/″\)” の例文
其の間は仕方がないから、水街道へ参って宿屋へ泊り、大生郷の宇治の里へ参って泊りなどして、惣右衞門が留守だと近々ちか/″\しけ込みます。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今朝は近々ちか/″\と指點し得るだけ空氣が明るいので、眼を男體山から左方へ移すと、連山が肩をつらね手を接して爭ひ立ち並び圍んでゐる中に
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
たちまわたしそば近々ちか/″\よこぎつて、左右さいうゆき白泡しらあわを、ざつと蹴立けたてて、あたか水雷艇すゐらいてい荒浪あらなみるがごと猛然まうぜんとしてすゝみます。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
まへらずかれも唯今たつたいまうちのとつさんが龍華寺りうげじ御新造ごしんぞはなしてたをいたのだが、のぶさんは近々ちか/″\何處どこかのぼうさん學校がくがう這入はいるのだとさ、こゝも仕舞しまへばねへや
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
処が此間大坂の我家わがやから、もー学校の始まるのも近々ちか/″\になつたのだから早く帰れと云ふて手紙が来たので仕方がなく帰る事にした で、今朝けさ立つと云ふ処であつたのが、馴染なぢみになつためい
夜汽車 (新字旧仮名) / 尾崎放哉(著)
願ひて見るべしと夫より平兵衞はたくへ歸り吉之助初瀬留にむか偖々さて/\喜八は憫然あはれにも是々の事により最早もはや近々ちか/″\御所刑おしおきなるべし偖々是非もなき事なりと語りしかば吉之助大いに驚き扨は喜八事我が爲の出來心にてぬすに入り既に御所刑にならんとかすれば我が手で殺すも同じ事なり同人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
工學士こうがくしは、井桁ゐげたんだ材木ざいもくしたなるはしへ、窮屈きうくつこしけたが、口元くちもと近々ちか/″\つた卷煙草まきたばこえて、その若々わか/\しい横顏よこがほ帽子ばうし鍔廣つばびろうらとをらした。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
金「おやおいでなさいうなって近々ちか/″\お出でになるに、うお前さんの様に窮屈で悪固わるがたくっては困る」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
成程なるほど近々ちか/″\ると、しろちひさなはなの、うつすりと色着いろづいたのがひとひとツ、うつくし乳首ちゝくびのやうなかたちえた。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
惣次郎も近々ちか/″\来るうちに、不図した縁で此のお隅と深くなりました事で、今迄堅い人が急にうかれ出すと是は又格別でございまして、此の頃は家をそとに致す様な事が度々でございますから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わたしうみそらた。かゞやごときは日本海につぽんかいなみであらう。鞍掛山くらかけやま太白山たいはくざんは、いれずみ左右さいうゑがいて、來日くるひヶ峰みねみどりなす額髮ひたひがみ近々ちか/″\と、おもほてりのするまで、じり/\と情熱じやうねつ呼吸いきかよはす。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これはたとえの通り人情で、好きなものは一遍顔を見た者には、知らぬ人でも勝たせたいと思うのが人間のじょうでげしょう、して旦那とは兄弟分でこうやって近々ちか/″\拝顔を得ますから、場所中は
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
てたが、近々ちか/″\見合みあはせた、うらゝかひとみたてにもれとか。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)