けい)” の例文
後に“雲梯うんていけい”とよばれたものである。各所に巨大な井楼せいろうを組んで、崖へ梯子はしごを架けわたし、谷を踏まずに迫ろうとするのらしい。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
京都は——恰もそこの藝子げいこ舞子まひこのやうに——偏へに他郷人の爲めにまちけいを爲してゐるやうに見えるが、大阪は、また其一見不愛想な商人の如く
京阪聞見録 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
およ施為しい命令謀図言義を論ぜず、其の人情に遠きことはなはだしきものは、意は善なるも、理は正しきも、けいあたるも、けんは徹するも、必らず弊にし凶を招くものなり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
異事いじともけいおなじうするをはかり、異人いじんともおこなひおなじうするをめば、すなはもつこれかざつて・そこなかれ。ともしつおなじうするらば、すなはあきらかにしつきをかざれ。
もらひしが惡金あくきん身に付ずとのことわざの如く其金はみな博奕ばくちに取られて仕舞しまひ今は寢酒ねざけだにも呑事のむことならず此頃はなほ打續うちつゞ不仕合ふしあはせにて一錢の資本もとでにも差支さしつかへしかば胸に手を置て考へしが忽ちに一けい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
三分のけいはや成れば
天地有情 (旧字旧仮名) / 土井晩翠(著)
偽撃転殺ぎげきてんさつけいです。——つまり西門に防戦の力をそそがせておいて、突然巽の門をやぶり、一殺に、宛城を葬らんとする支度です」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
方孝孺の門人林嘉猷りんかゆうはかりごとをもって燕王父子をしてあい疑わしめんとす。けい行われずしてむ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
(六九)貴人きじんけいて、みづかもつこうさんとほつするを、説者ぜいしやあづかりればすなはあやふし。(七〇)かれあらはだすところことり、すなはみづかもつ也故たこすに、説者ぜいしやあづかりればすなはあやふし。
逃亡かけおち致されよ我も辯解いひわけなければ是より宿へ歸るべし三十六けい走るにしかじ我が宿やど牛込うしごめ改代町かいたいまち芋屋いもや六兵衞と云者いふものなり用事有らば云越いひこし給へと兩人云合いひあはせ早々に支度したくして七助は牛込お梅は平兵衞方へ迯歸にげかへりしなりされば委細のわけ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
すでに藤吉郎と結んでいて、軍事的に加勢はできないが、裏面からおたすけしようという黙契もっけいのもとになされた反間はんかんけいだったのである。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
されば燕王まことに狂したりとおもう者もあり、朝廷もややこれを信ぜんとするに至りけるが、葛誠かつせいひそかに昺と貴とに告げて、燕王の狂は、一時の急をゆるくして、後日のけいに便にせんまでのいつわりに過ぎず
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「——大事ない、領ざかいまでは、じいの恩智左近が郎党どもを用いて、“まぎれのけい”を伏せておる。また、よそながら、二人の落ちのびる道を守っていよう」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孔明こうめい天下てんか三分さんぶんけいもだめでした。天下二分は、もっと、烈しい対立の相を呈しましょう。なぜといえば、二者の一挙一動はことごとくその対者を決定している。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると、この反間はんかんけいは、まもなく、その効を、後宮のうちにみせだしていた。
「妙計と信じたことも、敵の応変によっては、みずからの死地ともなる。余りけいって、策士策に溺るなどのことがないように、おのおの、自在身を持って神出鬼没といきましょうや」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
苦肉くにくけい、もし、ほどこすとすれば、それ以外に手はないと考えられます」
三日あれば、川中島衆も、ことごとく徳川勢のうしろまで、ばいをふくんで、つめ寄りましょう。われらも、それぞれ身を変じ、奇兵をひっさげて、彼方此方の要路にひそみ、充分、埋伏まいふくけい
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど、いかに正成の“断橋だんきょうけい”が、よくその功を奏したとしても
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
万一、旗をかくして、埋伏まいふくけいもやあると、入念に見ましたが、守将高山右近長房以下ことごとく、一刻半ほど前に、田上山(羽柴秀長の陣地)のふもと辺りまで、遠く退却いたしたようにござりまする
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「待て。それゆえ、そうさせぬ政略として、そこが申し進めてきた今日の一案ではないか。——察するに、その献言は、親房の元案であるとみえるの。……そうだろう、そこの申す若さと、遠大なけいの内容とは、矛盾むじゅんすぎる」
両虎りょうこ競食きょうしょくけい
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)