葡萄牙ポルトガル)” の例文
しかるに今よりおよそ三百七十年前、初めて葡萄牙ポルトガル及び西班牙スペインと交通するに至って、欧州文明が多少輸入されることとなったのである。
まだその他に商業上の利害の反目からフランシスコ・ザヹリオ以来日本の貿易と布教とを一手に占めてゐた葡萄牙ポルトガル人をおとしいれようとして
我我は盗賊、殺戮、姦淫等に於ても、決して「黄金の島」を探しに来た西班牙スペイン人、葡萄牙ポルトガル人、和蘭オランダ人、英吉利イギリス人等に劣らなかつた。
侏儒の言葉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「故国」の訳に波羅葦増雲パライソウとあるは、文禄慶長年間、葡萄牙ポルトガル語より転じて一時、わが日本語化したる基督教法に所謂いはゆる天国の意なり。訳者
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
葡萄牙ポルトガルの田舎のエストリルという海岸にいた頃だった。ちょうどホテルの私達の部屋が、海へ向ってヴェランダにひらいていた。
しかしてこの精神は遂に発して南洋との貿易となり、山原やんばる船ははるかにスマトラの東岸まで航行して葡萄牙ポルトガルの冒険家ピントを驚かしたのである。
琉球史の趨勢 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
食卓はチンダルという墺太利オーストリア公使館の書記官と、マカオの名家だというフェルナンデスという若い葡萄牙ポルトガル人の四人の組合せになっていた。
予言 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
しかしそのいわゆる飛竜頭の名の起りも不明、これを葡萄牙ポルトガル語というのもでたらめらしい。東京でガンモドキというのは商品名であろうか。
食料名彙 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
私はもともと葡萄牙ポルトガル人ではなかったが当時ベンゲラの町に滞在中であって、バングボロ湖の水源地方測量を終えて帰ったばかりのところであり
令嬢エミーラの日記 (新字新仮名) / 橘外男(著)
渡辺さんは長崎カステラを葡萄牙ポルトガルの語源まで引用して推奨すいしょうした。何処へ行っても堂々たる大人が食物の評論に力瘤を入れるのは可笑おかしい現象だ。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
あのアメリカ人は傍のあの紳士を前葡萄牙ポルトガルマヌエル陛下と知らずに、あんなあけすけな態度で女の話をしかけて居る。
ドーヴィル物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
泉州境せんしゅうさかいで親しくなった葡萄牙ポルトガル人スデロを呼び寄せ、高田御殿の中に祭壇を設けて、欧羅巴ヨーロッパ中世ちゅうせいに流行った悪魔サタンを祭神とする呪法を行ったのでした。
天下の管領の軍隊だから葡萄牙ポルトガル人よりも先に何百挺何千挺の鉄砲を輸入しても妨げないが、野武士や追剥までが鉄砲をポンポン撃つのは余り無鉄砲過ぎる。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
葡萄牙ポルトガルに行き、ソレカラ地中海に這入はいって、元の通りの順路をて帰て来たその間の年月はおよそ一箇年、すなわち文久二年一杯、推詰おしつまってから日本に帰て来ました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
濠州ごうしゅう、あふりか、支那しな、日本への関門。そうです。十六世紀に、葡萄牙ポルトガル人がここの海岸へ城塁を築きました。それを、あとから和蘭オランダの征服者が改造しました。
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
日本語について十分の観察をして当時の標準的音韻を葡萄牙ポルトガル式のローマ字綴で写したものであるから、信憑しんぴょうするに足り、且つ各音の性質も大概明らかであって
国語音韻の変遷 (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
今や海濤かいとうを踏んで隣家の如く互いに往来したる、西南群島もしくは葡萄牙ポルトガル西班牙スペイン英吉利イギリス等は、星界よりも遠く、日に相交渉するは、その咫尺しせき相接する隣藩のみ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
葡萄牙ポルトガル人を先駆として東洋の印度インドや支那や日本に力を伸して来たが、今はすでに英国が葡萄牙ポルトガルしりぞけ、和蘭オランダを圧して、東洋貿易を独占しようとして、支那と交易し
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
船は次第に葡萄牙ポルトガル南端の沖合からも遠ざかりつつあった。往きのスエズ経由とも違い、このかえりの船旅は遠く南亜弗利加の果を廻り、赤道を二度も越さねば成らない。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
安中は西班牙スペインの Piaster や葡萄牙ポルトガルの Tostao を宇都宮に見せて問うてゐる。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
長崎の凧は昔葡萄牙ポルトガル和蘭オランダの船の旗を模したと見えて、今日でも信号旗のようなものが多い。
凧の話 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
欧洲人は維新以前にあつては僅に和蘭オランダ葡萄牙ポルトガル人が長崎出島ながさきでじまにてその土地の職人に製造せしめたる輸出向の陶器漆器を見るのほか日本の美術については全く知る所なかりしなり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
巾着切きんちゃくきりから、女白浪——長崎で役を勤めるようになってからは、紅毛碧眼こうもうへきがん和蘭オランダ葡萄牙ポルトガル人、顔色の青白い背の高い唐人から、呂宋ルソン人まで善悪正邪にかかわらず、およそありとあらゆる
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
葡萄牙ポルトガルと申す国の珍らしい酒が手にはいりましたので」と甲斐は慇懃いんぎんに答えた
葡萄牙ポルトガルの、一宣教師バテレンが献上したものを原図として、狩野派のお抱え画工がそれを美術化して、六曲一双に濃彩をもって描いたものなので、もとより地図というほど精密でもないし、また
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もう一度、以前、日比谷の興行で綺麗な鸚鵡おうむが引金を口で切って、黄薔薇きばらしべを射て当てて、花弁を円く輪に散らしたのを見て覚えている。——扱いは、たしか葡萄牙ポルトガル人であったと思う。
先生はわがくに歴史のうちで、葡萄牙ポルトガル人が十六世紀に始めて日本を発見して以来織田、豊臣、徳川三氏を経て島原の内乱に至るまでの間、いわゆる西欧交通の初期とも称してしかるべき時期をえらんで
なつかしい長崎か、香港ホンコンの入江か、葡萄牙ポルトガル?佛蘭西?
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
西班牙スペイン葡萄牙ポルトガル等が独りこれを行ったばかりでなく、英も仏も皆当時はそのひそみならって同様な非人道的なことを行っていたものであった。
永久平和の先決問題 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
わたしは忍術も使わなければ、悪魔も味方にはしていないのです。ただ阿媽港あまかわにいた時分、葡萄牙ポルトガルの船の医者に、究理の学問を教わりました。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
何と多くの葡萄牙ポルトガルの女が、チェッコ・スロヴァキアの女が、波蘭土ポーランドの女が、ぶるがりあの女が、揃いもそろって仏蘭西生れ
ビスカはこの一隊のうちでは一番に年嵩としかさの土人でもあり、多少の英語、葡萄牙ポルトガル語にも通じ、みんなの信頼も克ち得ていれば、土人と白人との間にたって
令嬢エミーラの日記 (新字新仮名) / 橘外男(著)
和蘭人オランダじん葡萄牙ポルトガル人から、雑貨薬種を仕入れては日本へ持帰り、それを金に代えるかたわら、船着き場で少年少女を誘拐かどわかし、それを支那から、南洋へ連れて行っては
ソレカラ仏蘭西を出発して葡萄牙ポルトガルのリスボンに寄港し、使節の公用をすまして又船に乗り、地中海に入り、印度インド洋に出て、海上無事、日本にかえって見れば攘夷論の真盛りだ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
葡萄牙ポルトガルのピントー以来日本に渡来した外人は数限りも無いが、真に学者として恥かしからぬ造詣を蓄えて、学術研究の真摯まじめな目的を抱いて渡来し、大にしては世界の学界に貢献し
高麗こうらい大明だいみんはおろか、安南アンナン柬埔寨カンボジヤ婆羅納ブルネオ暹羅シャム高砂たかさご呂宋ルソン爪哇ジャバ満剌加マラッカはいうに及ばず、遠くは奥南蛮おくなんばんから喜望峰きぼうほうみさきをめぐり、大西洋へ出て、西班牙スペイン葡萄牙ポルトガル羅馬ローマ、どこへでも
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かねて欲しがっていた花十字架はなくるすの螺鈿のついた葡萄牙ポルトガルの香筥をやると約束し、道長には、沙金で百両、革袋に入れたまま膝の前へ投げてやり、それで馬でも買えと言い置いて川口の船屋敷へ戻ると
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
貿易風の吹く処、黒潮暖流の寄する処、物産に富む処、黄金の多き処、気候中和にして人物侠直きょうちょくなる処、その葡萄牙ポルトガル西班牙スペイン和蘭オランダ英吉利イギリス外舶がいはくが、期せずしてきたりたる、もとより怪しむに足らず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
葡萄牙ポルトガルなどは日本人より黒いが、それでも白人と同一の待遇を受けて、労働者でも金持でも、傲然と税関を通る。ところが、日本人は通さぬ。
平和事業の将来 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
そこで、この煙草は、誰の手で舶載されたかと云ふと、歴史家なら誰でも、葡萄牙ポルトガル人とか、西班牙スペイン人とか答へる。が、それは必ずしも唯一の答ではない。
煙草と悪魔 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
まるで古葡萄牙ポルトガルの民族詩人ルイス・カモウエンスがその海洋詩LUCIADUSのなかで好んで描写したような
この呪法を修した大司教スデロは、幕府の手から葡萄牙ポルトガル船に引渡され、峠宗寿軒は詮議中に自殺してしまいましたが、娘のお小夜はそれっきりどこへ行ったかわかりません。
次は露西亜ロシア語のわかる二等兵曹を呼び、西班牙スペイン語と葡萄牙ポルトガル語のわかる機関兵を選抜し、最後にはフレミッシュ語と和蘭オランダ語のわかるもの……しかしそのいずれの言葉も二人には通じなかった。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
きたる、我もまた往かざるを得ず。修交、通商、航海は、期せずして各大名の手によりて、おもなる商估しょうこの手によりて行われ、天文二十年には、我が邦人にして、葡萄牙ポルトガル国に到り客死かくししたるものあり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
これに比較すると、遠い外国から喜望岬を迂廻して来た葡萄牙ポルトガル船は、当時なおはなはだ構造の粗末なものではあったが、日本船の到底とうてい及ぶところではなかった。
4 悪魔の拳フィガ・ド・デアボ。これは有名な葡萄牙ポルトガルの国産品で、やはり迷信的な厄払いのひとつだ。振りこぶしの人さし指と中指のあいだから拇指おやゆびのあたまを覗かせたもので、形は小さい。
かの羅馬ローマ法皇が神の如き威厳を持した全盛時に於ては、自ら経緯度に依って地球面を区画し、南部は羅馬ローマ、西部は西班牙スペイン、東部は葡萄牙ポルトガルを以て支配すべく
永久平和の先決問題 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
それが、葡萄牙ポルトガルエストリル沖を過ぎる船によって、こうして無意識に刺激されたのだった。
かくて西向の文明は欧羅巴ヨーロッパの西端、西班牙スペイン葡萄牙ポルトガルより英吉利イギリスに達し、東漸の文明は我が日本にまで到達して、年所と共に発展の要素材料に殊異しゅいなるものを加え
日本の文明 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
伊太利イタリー西班牙スペイン葡萄牙ポルトガルなどの、南欧羅巴ヨーロッパ羅典ラテン系文明が、近世に到って一足遅れたのは、奴隷として輸入された黒人の血が、雑婚によって吸収されたためだと言う説があるくらいですから。
踊る地平線:10 長靴の春 (新字新仮名) / 谷譲次(著)