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色彩
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いろどり
ふりがな文庫
“
色彩
(
いろどり
)” の例文
お三輪はまた、めずらしい酒の
瓶
(
びん
)
が
色彩
(
いろどり
)
として置いてあるような
飾棚
(
かざりだな
)
の前へも行って見た。そこにも広瀬さんの心はよく働いていた。
食堂
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
まことにおつるは、
色彩
(
いろどり
)
のとぼしい忠相の生涯における一
紅点
(
こうてん
)
であったろう。たとえ、いかに小さくそして
色褪
(
いろあ
)
せていても。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
さういふ時はその時なりに、侘しさや苦しさや無意味さも亦それ相応の
色彩
(
いろどり
)
を持ち、人の心に泌むものであつた。
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
吾は此方に蒲公英、
母子草
(
はゝこぐさ
)
、
金鳳花
(
きんぼうげ
)
、
金仙花
(
きんせんくわ
)
、福壽草など栽ゑんは
色彩
(
いろどり
)
如何に。見よ、光よ。
色彩
(
いろどり
)
美
(
よ
)
からずや。
花枕
(旧字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
まるで、赤ペンキを、一面に、なすりつけたような恐ろしい
色彩
(
いろどり
)
だったが、暗黒の中の出来事とて、それに気のつく者が無かったのは、不幸中の
幸
(
さいわい
)
だった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
障子
(
しょうじ
)
、
欄間
(
らんま
)
、
床柱
(
とこばしら
)
などは
黒塗
(
くろぬり
)
り、
又
(
また
)
縁
(
えん
)
の
欄干
(
てすり
)
、
庇
(
ひさし
)
、その
他
(
た
)
造作
(
ぞうさく
)
の一
部
(
ぶ
)
は
丹塗
(
にぬ
)
り、と
言
(
い
)
った
具合
(
ぐあい
)
に、とてもその
色彩
(
いろどり
)
が
複雑
(
ふくざつ
)
で、そして
濃艶
(
のうえん
)
なのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
黙って部屋の外へ目じらせすると、お綱は笠で髪をかばいながら、ツウと寄って素早くその中へ身を
潜
(
ひそ
)
めた。
色彩
(
いろどり
)
をまぜた
反物
(
たんもの
)
がひと抱えに入ったように。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのあらゆる人体諸臓器の形をボール紙で造らえて
色彩
(
いろどり
)
をつけたものだという話など聞き夜を更かしました。
伯林の降誕祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
實際
(
じつさい
)
、
彼
(
かれ
)
は
驛員
(
えきゐん
)
の
呼
(
よ
)
び
聲
(
ごゑ
)
に、
疾
(
と
)
く
此
(
こ
)
の
停車場
(
ステイシヨン
)
の
名
(
な
)
は
聞
(
き
)
いて
心得
(
こゝろえ
)
たので。
空
(
そら
)
も
山
(
やま
)
も、
餘
(
あま
)
りの
色彩
(
いろどり
)
に、
我
(
われ
)
は
果
(
はた
)
して
何處
(
いづこ
)
にありや、と
自
(
みづか
)
ら
疑
(
うたが
)
つて
尋
(
たづ
)
ねたのであつた。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
久しく忘れてゐた身じまひのあとのすが/\しい気分が、軽い
自惚
(
うぬぼ
)
れまでひき起して、帯や半襟やの
色彩
(
いろどり
)
がいくらか複雑に粧はれたのを、鏡の中に満足さうに見た。
散歩
(新字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
昭和三年には、昭和三年らしい
色彩
(
いろどり
)
がある筈だ。それをスケツチして見ようといふのが、この一篇の目的だが、何しろ書斎の虫のことだから、碌な観察は出来かねる。
名古屋スケッチ
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
また慎しやかに微笑を湛えて接待する妻の七重の姿も、その場に明るい楽しい
色彩
(
いろどり
)
を添えていた。
薯粥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
時は過ぎてゆく、而して凡てが何時となく伝奇的な美しい幻想の
色彩
(
いろどり
)
の中に掻き消されて了ふ……
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
劇場の表飾りもまけずに趣好をこらし、
庵
(
いおり
)
看板をならべ、アーク燈を橋のたもとに
点
(
つ
)
けたので、日本橋区内には、今までになかった
色彩
(
いろどり
)
をそえたのだった。それが人気にあった。
旧聞日本橋:19 明治座今昔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
昼間の太陽の
眩
(
まぶ
)
しげに輝いているうちには、いろいろの物音や、
賑
(
にぎ
)
やかな声や、人々の姿や、動いている影や
色彩
(
いろどり
)
で、悲しいこと、苦しいこともまぎれているが、夜になってから
夜の喜び
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
身にはいろいろの
色彩
(
いろどり
)
のある美服を着けていたが、いずれも後ろ手にくくり上げられて恐るおそるに
頭
(
かしら
)
を垂れてひざまずくと、石上の男はかれらを一人ずつ自分の前に召し出して
中国怪奇小説集:17 閲微草堂筆記(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
夕陽の
色彩
(
いろどり
)
が西の空に滲むだ頃でした。私達は鮫の事は誰れにも語りませんでした。——無断で遠乗などに出たといふ廉で、私達は学校へ帰つてから一週間の停学に処せられました。
初夏
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
そこに吾が大和民族の新しい文化の中心の「におい」があり、
色彩
(
いろどり
)
がある。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
号外売りの鈴の音は一時間といわずに全国に新しいくわしい報をもたらして行く。どこの家でもその話がくり返される、その激しかった戦いのさまがいろいろに
色彩
(
いろどり
)
をつけて語り合わされる。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
これまでに味わったことのない
新漬
(
しんづ
)
けや、かなり複雑な味の煮物などがいつも
餉台
(
ちゃぶだい
)
のうえに絶えなかった。長いあいだ情味に
渇
(
かわ
)
いた生活を続けて来た笹村には、それがその日その日の
色彩
(
いろどり
)
でもあった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
赤い
林檎
(
りんご
)
が、
象牙珠
(
ぞうげだま
)
のように光っていた。ある樹木は早くも、晩秋の
燦爛
(
さんらん
)
たる衣をまとっていた。火の色、果実の色、熟した
瓜
(
うり
)
や、オレンジや、シトロンや、美味な料理や、焼肉などの、種々の
色彩
(
いろどり
)
。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ハムサンドヰッチを
色彩
(
いろどり
)
のある
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
突如
(
とつじょ
)
、はでな
色彩
(
いろどり
)
が格子さきにひらめいたかと思うと、山の手のお姫様ふうの若いひとが、吹きこむ雨とともに髪を振り乱して三尺の
土間
(
どま
)
に立った。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その質素な
色彩
(
いろどり
)
といかにも余念なく餌をくれている人物の
容子
(
ようす
)
とは、田舎にあった小泉の家に
適
(
ふさ
)
わしいものである。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
安土の夜を行くには、
松明
(
たいまつ
)
も
提灯
(
ちょうちん
)
も要らなかった。歳暮のせいか、町の灯は
種々
(
さまざま
)
な
色彩
(
いろどり
)
をもち、家々の灯は赤く道を染めて、春を待つ
騒
(
ざわ
)
めきを
靄々
(
あいあい
)
と煙らせていた。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
不思議な
色彩
(
いろどり
)
に粉飾された靄のやうな一つの心が、急に叩かれたやうに躍り出すのであつた。
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
技手役の照吉が写し出す日章旗のへんぽんたる光景が華麗な
色彩
(
いろどり
)
を浮べた。
サクラの花びら
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
所々
(
ところどころ
)
に
美
(
うつく
)
しい
色彩
(
いろどり
)
の
貝殻
(
かいがら
)
や
香
(
にお
)
いの
強
(
つよ
)
い
海藻
(
かいそう
)
やらが
散
(
ちら
)
ばっているのです。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
女気のない部屋はどこにも赤い
色彩
(
いろどり
)
を失って、雪夜ひとしおの寒さが栄三郎の骨にしみる。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
いちど、書院に姿をおいたが、こう言ってまた
対
(
たい
)
ノ
屋
(
や
)
の奥へ遠くかくれてしまった。きのうまではなかった部屋の
色彩
(
いろどり
)
や物の香が、美しいあるじを持って、春の日影までを新たにしていた。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
床の間に飾った
孔雀
(
くじゃく
)
の羽の
色彩
(
いろどり
)
は
殊
(
こと
)
に彼の心を
歓
(
よろこ
)
ばせた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“色彩”の意味
《名詞》
色彩(しきさい)
物事の傾向や特色。
(出典:Wiktionary)
色
常用漢字
小2
部首:⾊
6画
彩
常用漢字
中学
部首:⼺
11画
“色彩”で始まる語句
色彩家
色彩間苅豆
色彩法
色彩派
色彩的
色彩論
色彩人形
色彩信号
色彩畫家
色彩畫派的