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むないた
ふりがな文庫
“
胸板
(
むないた
)” の例文
セセラ笑って、ひっ返した
早足
(
はやあし
)
の
燕作
(
えんさく
)
、
歯
(
は
)
がみをする竹童の
胸板
(
むないた
)
に足をふんがけて、つかんでいる
般若丸
(
はんにゃまる
)
を力まかせに引ったくった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あの
仰
(
あお
)
むけている
首筋
(
くびすじ
)
を
射
(
い
)
てやろうか。だいぶ
厚
(
あつ
)
い
鎧
(
よろい
)
を
着
(
き
)
ているが、あの上から
胸板
(
むないた
)
を
射
(
い
)
とおすぐらいさしてむずかしくもなさそうだ。」
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
ぬるぬると
脂
(
あぶら
)
の湧いた
掌
(
てのひら
)
を、髪の毛へなすり着けたり、
胸板
(
むないた
)
で押し
拭
(
ぬぐ
)
ったりしながら、己はとろんとした眼つきで、
彼方此方
(
あっちこっち
)
を見廻して居た。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
水が
胸板
(
むないた
)
へ当ったのを、ほんとうに実弾射撃で胸をうち抜かれたと思って、グンニャリしてしまったものもありました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と思う間もなく正面から大きい身体がぶつかって来て私はもうすこしで
胸板
(
むないた
)
をうちこわされるところであった。敵だ!
空中墳墓
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
津の茅原はそのとき
胸板
(
むないた
)
のところに、があっと重いものを打ちあてられ、
前屈
(
まえかが
)
みにからだを真二つに
歪
(
ま
)
げてしまった。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
やがて清盛は、
赤地錦
(
あかじにしき
)
の
直垂
(
ひたたれ
)
に、
黒糸縅
(
くろいとおどし
)
の腹巻、
白金物
(
しろかなもの
)
打った
胸板
(
むないた
)
を着け、愛用の
小長刀
(
こなぎなた
)
をかいばさんだ物々しい
装立
(
いでた
)
ちで、側近の貞能を呼びつけた。
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
ロミオ すりゃ、
其
(
その
)
名前
(
なまへ
)
に
胸板
(
むないた
)
を
射拔
(
いぬ
)
かれたやうに
思
(
おも
)
うて、
其
(
その
)
名前
(
なまへ
)
の
持主
(
もちぬし
)
が
大事
(
だいじ
)
の
近親
(
うから
)
を
殺
(
ころ
)
したゆゑ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
やをら起たんと為るところを、蒲田が力に
胸板
(
むないた
)
を
衝
(
つか
)
れて、
一耐
(
ひとたまり
)
もせず
仰様
(
のけさま
)
に
打僵
(
うちこ
)
けたり。蒲田はこの
隙
(
ひま
)
に彼の
手鞄
(
てかばん
)
を奪ひて、中なる書類を
手信
(
てまかせ
)
に
掴出
(
つかみだ
)
せば、狂気の如く
駈寄
(
かけよ
)
る貫一
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
然し其時の闘は如何にも
突嗟
(
とっさ
)
に急激に敵が
斫入
(
きりい
)
ったので、氏郷自身まで
鎗
(
やり
)
を取って戦うに至ったが、事済んで営に帰ってから身内をばあらためて見ると、
鎧
(
よろい
)
の
胸板
(
むないた
)
掛算
(
けさん
)
に
太刀疵
(
たちきず
)
鎗疵
(
やりきず
)
が四ヶ処
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
豹のような水夫は、ピストルを、僕の
胸板
(
むないた
)
に
突
(
つき
)
つけたまま
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
とさけびながら、
胸板
(
むないた
)
をつづけさまに
二太刀
(
ふたたち
)
さして
三両清兵衛と名馬朝月
(新字新仮名)
/
安藤盛
(著)
そして、咲耶子を道の
尽
(
つ
)
きるところまで
追
(
お
)
いこんで、ここぞと、
気合
(
きあ
)
いをあわせて、二
槍
(
そう
)
一
緒
(
しょ
)
に彼女の
胸板
(
むないた
)
へ
突
(
つ
)
いていった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
瞬きもせずに
睨
(
にら
)
んでいたが、やがていかなる隙を見出しけん、
巌
(
いわお
)
も通れと突き出す槍先、和尚の
胸板
(
むないた
)
を
微塵
(
みじん
)
に砕いたと思いきや、和尚が軽く身を開いて
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いえ、
寧
(
むし
)
ろ僕は車外説をとります。
弾丸
(
たま
)
は車外から射ちこまれ、例の日本髪の婦人と僕との間をすりぬけて、正面に居た一宮かおるさんの
胸板
(
むないた
)
を
貫
(
つらぬ
)
いたのです。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と
思
(
おも
)
いまして、
敵
(
てき
)
がろくろく
近
(
ちか
)
づいて
来
(
こ
)
ないうちに、
弓
(
ゆみ
)
に
矢
(
や
)
をつがえて
敵
(
てき
)
の
先手
(
さきて
)
に
向
(
む
)
かって
射
(
い
)
かけますと、この
矢
(
や
)
が
前
(
まえ
)
に
立
(
た
)
って
進
(
すす
)
んで
来
(
き
)
た
伊藤
(
いとう
)
六の
胸板
(
むないた
)
をみごとに
射
(
い
)
ぬいて
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
取り落すにぞお花は直くと立上り樣吾助が
肩先
(
かたさき
)
五六寸
胸板
(
むないた
)
懸
(
かけ
)
て
斫込
(
きりこん
)
だり然れども吾助は
死
(
しに
)
もの狂ひ
手捕
(
てどり
)
にせんと大手を
廣
(
ひろ
)
げ追つ
捲
(
まく
)
りつ飛掛るをお花は
小太刀
(
こだち
)
を
打振々々
(
うちふり/\
)
右に
潜
(
くゞ
)
り左に拂ふを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と、小文治が乗りつけてみると、ひとりの
怪人
(
かいじん
)
、蔦之助を
組
(
く
)
みふせて
鋭利
(
えいり
)
な短刀をその
胸板
(
むないた
)
へ
突
(
つ
)
きとおそうとしている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この時、浪士の右の足が
撥
(
は
)
ねたかと思うと、米友の
胸板
(
むないた
)
めがけて、
肋
(
あばら
)
も砕けよと蹴りが一つ入ったものです。普通ならば、これだけで事は解決してしまうのですが
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
シモンは、しきりに
胸板
(
むないた
)
を
拳
(
こぶし
)
で叩いていたが、やや
鎮
(
しず
)
まったところで、やっと声を出した。
不沈軍艦の見本:――金博士シリーズ・10――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
爲
(
し
)
なと
力身
(
りきん
)
で見てもびく共せず二人の雲助
嘲笑
(
あざわら
)
ひイヤ強い旅人じや雲助は旅人に
肩
(
かた
)
を
貸
(
かさ
)
ねば世渡りがならず
酒手
(
さかて
)
欲
(
ほし
)
さに手を出して親にも打れぬ
胸板
(
むないた
)
を
折
(
をれ
)
るばかりに
突
(
つ
)
かれては今日から
駄賃
(
だちん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ああしかし
無惨
(
むざん
)
なことに、龍子の胸から下を
蔽
(
おお
)
った白い病衣のその
胸板
(
むないた
)
にあたる箇所には、蜂の巣のように孔があき、その底の方から静かに真紅な
血潮
(
ちしお
)
が湧きだしてくるのだった。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
胸
常用漢字
小6
部首:⾁
10画
板
常用漢字
小3
部首:⽊
8画
“胸”で始まる語句
胸
胸倉
胸襟
胸算用
胸毛
胸騒
胸乳
胸算
胸高
胸中