肝要かんえう)” の例文
こと青年輩せいねんはい身心しん/\發育はついく時代じだいにあるものには、いまよりこのはふ實行じつかうして體力たいりよく培養ばいやうし、將來しやうらい大成たいせいはかことじつ肝要かんえうならずや。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
若夫婦にまかせ番頭ちう八にはいとまつかはし小手前にして家内かない取廻とりまはしきが肝要かんえうなりして御兩人ごりやうにんは氣樂に御隱居ごいんきよあらまた宜敷事も有べしと事を分て段々だん/\遠廻とほまはしにおつね異見いけん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つる千年せんねんかめ萬年まんねん人間にんげん常住じやうぢういつも月夜つきよこめめしならんをねがかりにも無常むじやうくわんずるなかれとは大福だいふく長者ちやうじやるべきひと肝心かんじん肝要かんえうかなめいしかたつてうごかぬところなりとか
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
未開社會みかいしやくわいに於ては器具きぐの上にも分業ぶんげうおこらざるを常とす。一個の打製石斧だせいせきふもコロボックルの爲には建築、造船、獸獵、爭鬪に際して、きわめて肝要かんえうなる役目を勤めしなるべし。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
第一だいゝち肝要かんえうなはくちくかな、御身おみさくこゑすか、ものをふかな。』
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
戀とは言はず、情とも謂はず、ふや柳因りういんわかるゝや絮果ぢよくわ、いづれ迷は同じ流轉るてん世事せじ、今は言ふべきことありとも覺えず。只〻此上は夜毎よごと松風まつかぜ御魂みたますまされて、未來みらい解脱げだつこそ肝要かんえうなれ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
判斷はんだんなして此上信心しんじん肝要かんえうなりと申しけるにお專も大いに心配しんぱいなし然らば明日より鹽斷しほだちなり斷食だんじきなりして信心を致しお前の身に凶事きようじなきやうに致さんと夫婦は來方こしかた行末ゆくすゑ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まつはるこほり朝日あさひかげおのづからけわたるをりならでは何事なにごと甲斐かひありともおぼえずれも/\異見いけんふなこゝろはなしをなぐさめて面白おもしろをおもしろしとおもはするのが肝要かんえうぞとわれ先立さきだちて機嫌きげん
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
夫等の事は一切省畧して、只肝要かんえうなる一事のみを記すべし。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
呼戻よびもどし下されたしそれのみ願ひ上まする夫についても呉々くれ/″\も御辛抱こそ肝要かんえうなれと猶もたゆまぬ忠義の久八六右衞門も一伍一什いちぶしじふを聞居たりしか久八に向ひ其方が五十兩の大金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)