笑聲わらひごゑ)” の例文
新字:笑声
御米およね近來きんらいきんはどういたつけね」とたづねた。細君さいくんべつあきれた樣子やうすもなく、わかをんな特有とくいうなけたゝましい笑聲わらひごゑてず
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それで内ぢゆう揃つて、奮鬪的生活をしてゐたのだ。その時は希望の光が家に滿ちてゐて、親子兄弟が顏を合せれば笑聲わらひごゑが起つたものだ。
半日 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
其の人聲の中には少しの遠慮もない甲高かんだかな女の笑聲わらひごゑも聞えて、いかにも自由に、樂しく、心置きなく見えながら、其れで居て些かのかしましい亂雜をもきたさない。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
踊子をどりこれをにしてあわたゞしく木陰こかげかくれる。其處そこにはかならおの/\くちからはつする笑聲わらひごゑかれるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あさ半日はんにちをアトリエにこもつたをつとには二人ふたり子供こども快活くわいくわつ笑聲わらひごゑててゐた長女ちやうぢよ夏繪なつゑと四つになる長男ちやうなん敏樹としきと、子供こどもきのをつと氣持きもちよく仕事しごとはこんだあとでひどく上機嫌じやうきげんだつた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
此時も背後うしろ笑聲わらひごゑが聞えた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
宗助そうすけすわつて五ふんたないうちに、先刻さつき笑聲わらひごゑは、このへんをとこ坂井さかゐ家族かぞくとのあひだはされた問答もんだふからことつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
二人ふたり同時どうじりよ一目ひとめた。それから二人ふたりかほ見合みあはせてはらそこからげてるやうな笑聲わらひごゑしたかとおもふと、一しよにがつて、くりやしてげた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
と、あがりざま、をつとたか笑聲わらひごゑとともに不意ふい無意識むいしきにそんなことつぶやいた。そして、兩方りやうはう夏繪なつゑ敏樹としき自分じぶんからだはうめるやうにしながら、にはあひだをアトリエのはうあるした。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
一同みんなどつと笑聲わらひごゑはつした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
けれども二人ふたり生活せいくわつ裏側うらがはは、この記憶きおくのためにさむしくけられて、容易よういげさうにはえなかつた。ときとしては、彼我ひが笑聲わらひごゑとほしてさへ、御互おたがひむねに、この裏側うらがは薄暗うすぐらうつこともあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)