つッ)” の例文
助「フム、その講釈の通りなら百両は廉いものだが、火事の時竹長持たけながもちの棒でもつッかけられたら此の辺の合せ目がミシリといきそうだ」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
先祖以来、田螺たにしつッつくにきたえた口も、さて、がっくりと参ったわ。おかげで舌の根がゆるんだ。しゃくだがよ、振放して素飛すっとばいたまでの事だ。
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
不味い下宿屋の飯を喰っていても牛肉屋のなべつッつくようなさもしい所為まねは紳士の体面上すまじきもののような顔をしていた。
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
やあ、僕の理想は多角形で光沢があるの、やあ、僕の神経はきりの様にとンがって来たから、是で一つ神秘の門をつッいて見るつもりだのと、其様そんな事ばかり言う。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
一人は三尺帯につッかけ草履の仕事師の息子、一人はかわ色金巾がなきんの羽織に紫の兵子帯へこおびといふ坊様仕立じたて、思ふ事はうらはらに、話しは常に喰ひ違ひがちなれど
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
フロックは白い手巾ハンケチを出して、用もない顔をいた。そうして、しきりに屠蘇とそを飲んだ。ほかの連中も大いにぜんのものをつッついている。ところへ虚子きょしが車で来た。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
結城木綿の二枚布衣ぬのこに西川縞の羽織を着て、盲縞の腹掛股引に白足袋という拵えで新しい麻裏草履をつッかけ、何所どこで奢って来たか笹折さゝおり
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
……あの階子は取外しが出来るだでね、お孝が自分でドンと突いて、向うの壁へ階子をばつッぱずしたもんですだ。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
左右からつッついたりなにかいたします。左様そうされるとされるほど嬉しいもので、つッとちまして裲襠しかけつまをとるところを、うしろからいしきをたゝきます。
ところで、生捉いけどって籠に入れると、一時ひとときたないうちに、すぐに薩摩芋さつまいもつッついたり、柿を吸ったりする、目白鳥めじろのように早く人馴れをするのではない。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
豆腐も駄菓子もつッくるみに売っている、天井につるした蕃椒とうがらしの方が、よりは真赤まっかに目に立つてッた、しなびた店で、ほだ同然のにしんに、山家片鄙へんぴはおきまりの石斑魚いわな煮浸にびたし
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
手酌てじゃくで初める所を、清次はそっと煙管きせる吸口すいくち柱際はしらぎわの壁の破れをつッつくと、穴が大きくなったから。
人の合中あいなかつッつくひどい奴ですから、今夜はあの医者を何処どっかへやって、貴方あなた独りこゝに泊っていて下さいな、そうすれば内の人を寝かして置いて、貴方の所へ来て
「チョッ、何たらこッてえ、せめて軍鶏しゃもでも居りゃ、そんな時ゃあ阿魔あま咽喉笛のどぶえつッつくのに、」
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其のお國は年はかぬが意地の悪いともしょうの悪い奴で、夫婦の合中あいなかつッついて仕様がないから、十一のとし江戸の屋敷奉公にやった先は、水道端の三宅という旗下でな
と云って、ぶるぶるとふるえる手を、しっかと取った。が、冷いので、あなやとおどろき、膝をつッかけ、せないだくと、答えがないので、あわてて、引起して、横抱きに膝へいだいた。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
伊「わたくしには云えません、何ういたしまして、わたしが叔母さんをつッころばしたんですからな」
お前、そういえば先刻さっき、ああいって来たもんだから、今にその人が見えるだろうと、火鉢の火なんぞ、つッついていると、何なの、しばらくすると、今のねえさんが、ばたばた来たの。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうつッかゝって来られちゃア困るぜ、吉原にも成田の講中こうじゅうが極ってゝ、しょう五九月には参詣にくのに、お前達も成田街道で御飯おまんまア喰ってる人間じゃアねえか、わっしは吉原の幇間ほうかん
顔も体も水から上ったようにびッしょり汗になりながら、投遣なげやりにつッかかる。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お前さんが来て小刀こがたなでもきりでも構わぬからずぶ/\つッついて一角を殺すがいどうじゃ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「突くよ、突くよ。芸妓げいしゃ屋の乞食なんかつッついてね飛ばさあ。」
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
婦人おんなは投げるようにいって草履ぞうりつッかけて土間へついと出る。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私は膝をつッつく腕に、ちっとは実があると思うんですが。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「憎らしい、松葉でつッついて遣りましょう。」
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あとから、込上げて、つッぱじけて
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蝶吉はちょっと膝をつッついて
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)