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疵口
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きずぐち
ふりがな文庫
“
疵口
(
きずぐち
)” の例文
御経
(
おきやう
)
に
節
(
ふし
)
をつけて
外道踊
(
げだうをどり
)
をやつたであらう
一寸
(
ちよツと
)
清心丹
(
せいしんたん
)
でも
噛砕
(
かみくだ
)
いて
疵口
(
きずぐち
)
へつけたら
何
(
ど
)
うだと、
大分
(
だいぶ
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
事
(
こと
)
に
気
(
き
)
がついて
来
(
き
)
たわ。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
例の
疵口
(
きずぐち
)
も日に増し目立たないほどに
癒
(
い
)
え、最近に木曾福島の植松家から懇望のある新しい縁談に耳を傾けるほどになったとある。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
庖丁
(
ほうちょう
)
やナイフで手を
截
(
き
)
った時塩を塗っておく代りにお砂糖の固まりを押付けて
疵口
(
きずぐち
)
へよく浸み込ませておけば
膿
(
う
)
むような事はありません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
その上に
疵口
(
きずぐち
)
が光悦あるいはのんこう作に於てしばしば見られるように、喰い違って段をなしているなどは、ますます以て面白いのである。
古器観道楽
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
その
疵口
(
きずぐち
)
をおさえた手からも血がしたたりおちて、さも無念げに城代屋敷のほうを指していることは、このまえとなんのかわりもありません。
亡霊怪猫屋敷
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
モウ一度深く胸の
疵口
(
きずぐち
)
に刺し込んだまま出て行かれたりしているところは、百パーセントに夢中遊行者特有の残忍性をあらわしておられるのです。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
急速にひろがる二人の距離、明るいその海面の広さを、そのまま、遠ざかる帆の速さで彼女の胸を裂き、ひろがる一つの
疵口
(
きずぐち
)
のように感じながら。……
朝のヨット
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
消毒の係りはただちに
疵口
(
きずぐち
)
をふさぎ、そのほか口鼻
肛門
(
こうもん
)
等いっさい体液の
漏泄
(
ろうせつ
)
を防ぐ
手数
(
てすう
)
をとる。三人の牧夫はつぎつぎ引き出して適当の位置にすえる。
去年
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
どうして、苦しんでいるもの、
疵口
(
きずぐち
)
を
嘴
(
くちばし
)
で押さえているもの、じっと立っておられないものなどがあるのだろう。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
吸い付いたが最後、容易に離れまいとするのを無理に引きちぎって投げ捨てると、三角に裂けた
疵口
(
きずぐち
)
から
真紅
(
まっか
)
な血が止め度もなしにぽとぽとと流れて出ます。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ひゅうひゅうと云うのは、切られた気管の
疵口
(
きずぐち
)
から呼吸をする音であった。お蝶の
傍
(
そば
)
には、佐野さんが自分の
頸
(
くび
)
を深く
剜
(
えぐ
)
った、
白鞘
(
しらさや
)
の短刀の
柄
(
つか
)
を握って死んでいた。
心中
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と気丈な殿様なれば
袂
(
たもと
)
にて
疵口
(
きずぐち
)
を
確
(
しっ
)
かと押えてはいるものゝ、
血
(
のり
)
は
溢
(
あふ
)
れてぼたり/\と流れ出す。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それから私は左の手でその噛まれた右の足の
疵口
(
きずぐち
)
を押えてジーッとして居ると、
其薬
(
これ
)
が犬に噛まれた時の一番良い薬であると言って、ある老婆は薬を施してくれたから
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
切り裂かれた
疵口
(
きずぐち
)
からは怨めしそうに
臓腑
(
ぞうふ
)
が
這
(
は
)
い出して、その上には敵の余類か、
金
(
こがね
)
づくり、
薄金
(
うすがね
)
の
鎧
(
よろい
)
をつけた
蝿
(
はえ
)
将軍が陣取ッている。はや乾いた眼の玉の池の中には
蛆
(
うじ
)
大将が
勢揃
(
せいぞろ
)
え。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
そして、十五夜の晩以来、お雪の家の中に隠されていた
疵口
(
きずぐち
)
のないこの
町人体
(
ちょうにんてい
)
の男の死体は、
本石町
(
ほんごくちょう
)
で
金座用達
(
きんざようたし
)
をしている
両替
(
りょうがえ
)
の
佐渡屋和平
(
さどやわへい
)
、俗に佐渡平という商人にちがいないと申し立てた。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
取寄
(
とりよせ
)
兩人の前に差出せば次右衞門三五郎は改めて見に
笠
(
かさ
)
衣類
(
いるゐ
)
笈摺
(
おひずる
)
等一々
疵
(
きず
)
付
(
つけ
)
有共其
疵口
(
きずぐち
)
の不審さに
流石
(
さすが
)
は
公儀
(
こうぎ
)
の役人是は
盜賊
(
たうぞく
)
の
所爲
(
しわざ
)
ならず寶澤人に殺されし
體
(
てい
)
に自身に
疵付
(
きずつけ
)
し者ならんと
血
(
ち
)
に
染
(
そみ
)
たる所を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
牢屋の下男はすぐにその
疵口
(
きずぐち
)
に砂をふりかけて血止めをして、打役の者がまたもや打ちつづけるのである。
拷問の話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
先ず負傷して
疵口
(
きずぐち
)
へ応急の手当をするには塩かまたは上等の砂糖を沢山塗り付けると防腐の功があります。塩や砂糖はどんな処でも得られない事はありません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
向って右側に立っている水夫の鼻の横に出来ている
疵口
(
きずぐち
)
が、白くフヤケた一寸四方ばかりの口を開いている向うから、奥歯の金冠が二三本チラチラと光っていた。
幽霊と推進機
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ちょっと
清心丹
(
せいしんたん
)
でも
噛砕
(
かみくだ
)
いて
疵口
(
きずぐち
)
へつけたらどうだと、だいぶ世の中の事に気がついて来たわ。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あの細い
横町
(
よこちょう
)
の
方
(
ほう
)
に参り、庄三郎に突かれたなり右の手を持ち添えて、左から一文字にぐうッと掛けて切った、
此方
(
こっち
)
(左)の
疵口
(
きずぐち
)
から逆に右の方へ一つ
掻切
(
かっき
)
って置いて、気丈な新助
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……だが、その海こそが、いまは彼女の中の一つの巨大な
疵口
(
きずぐち
)
であり、そこに永遠の、無限の沈黙を見る少女の目は、もはやただ一つの問いかけなのでしかなかった。彼女はくりかえした。
朝のヨット
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
まるで
基督
(
キリスト
)
が復活してきた時に
磔柱
(
はりつけ
)
になった後の
疵口
(
きずぐち
)
へ手を突っ込ませてみせてくれなくちゃ、人違いだか何だかわかんねえと言い張った十二使徒の中のタマスみたいに、懐疑派の
御大
(
おんたい
)
ではある。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
眠れるか、少年はわずかにその
頭
(
かしら
)
を
掉
(
ふ
)
ったが、血は
留
(
とま
)
らず、
圧
(
おさ
)
えた懐紙は手にも
耐
(
たま
)
らず染まったので、花の上に棄てた。一点紅、お雪は口を着けてその
疵口
(
きずぐち
)
を吸ったのである。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
... 一週間過ぎれば
疵口
(
きずぐち
)
も
癒
(
い
)
えてしまって外の鶏と遊んでいてどれが去勢したのだか分らない位だ」小山「そういうものかね。やさしいようなむずかしいものだ」と
独
(
ひと
)
りで感心する。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
勿論、誰もその事実を知った者はないが、二つの死骸の
疵口
(
きずぐち
)
から考えると、実雅がまず兼輔を切り殺して、自分はその場から少し距れた川下へ行って自害したものらしく思われた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
重蔵は
不図
(
ふと
)
彼
(
か
)
の
𤢖
(
わろ
)
を思い出した。この殺人事件をして𤢖の
所為
(
しょい
)
であるかのように
粧
(
よそお
)
って、
他
(
ひと
)
の目を
晦
(
くら
)
まそうと考えた。彼は熊吉の屍体を抱き上げて、
咬殺
(
かみころ
)
した如くに
其
(
そ
)
の
疵口
(
きずぐち
)
を咬んだ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それを宅へ持ち込まれた時には私もただ
狼狽
(
ろうばい
)
するばかり、
疵口
(
きずぐち
)
へどういう
手当
(
てあて
)
をしていいものだかどうしていいか訳が分りません。医者を呼びに
遣
(
や
)
っても急には来てくれず、ホントニ
困
(
こ
)
まりましたよ。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
疵
漢検1級
部首:⽧
10画
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
“疵”で始まる語句
疵
疵痕
疵物
疵所
疵瑕
疵付
疵等
疵病
疵附
疵処