拷問の話ごうもんのはなし
天保五、午年の四月十二日に播州無宿の吉五郎が江戸の町方の手に捕われて、伝馬町の牢屋へ送られた。かれは通称を定蔵といって、先年大阪で入墨の上に重敲きの仕置をうけた者で、窃盗の常習犯人である。 大阪で仕置をうけてから、かれは同じく無宿の入墨者利 …