もつ)” の例文
消印の模糊たるがために、わたくしは発信者の居処をだに知ることが出来ない。葉書は単に鉛筆をもつて頼氏の略系を写し出したものである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
つひ隊長たいちやうにんりてもつとなへ、其次そのつぎもつ隊長たいちやうす。ここおいこれす。婦人ふじん(九)左右前後跪起さいうぜんごききみな(一〇)規矩繩墨きくじようぼくあたり、あへこゑいだすものし。
遼邈之地とほくはるかなるくになほ未だ王沢うつくしびうるほはず、遂にむらに君有り、あれひとこのかみ有り、各自おの/\さかひを分ちて、もつて相凌躒しのぎきしろふ。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
かへつて(四八)浮淫ふいんげて・これ(四九)功實こうじつうへくはふるをうれへ、以爲おもへらく、(五〇)儒者じゆしやぶんもつはふみだし、しかうして(五一)侠者けふしやもつきんをかす。
孔子こうしいはく、(二〇)伯夷はくい叔齊しゆくせい舊惡きうあくおもはず、うらここもつまれなり。じんもとめてじんたり。またなにをかうらみん』と。(二一)伯夷はくいかなしむ、(二二)軼詩いつしるにあやしむし。
昭矦せうこうもつしやうし、うち政教せいけうをさめ、ほか諸矦しよこうおうずること十五ねん申子しんしをはるまで、くにをさまりへいつよく、かんをかものかりき。申子しんしがくは、(四二)黄老くわうらうもとづき、(四三)刑名けいめいしゆとせり。
しかれども(二五)しよしよくつらね、ことじやうるゐし、もつ(二六)じゆぼく剽剥へうはくす。當世たうせい(二七)宿學しゆくがくいへど(二八)みづか解免かいめんすることあたはざるなり 其言そのげん(二九)洸洋自恣くわうやうじしもつおのれかなふ。