生長せいちょう)” の例文
さて最初さいしょ地上ちじょううまでた一人ひとり幼児おさなご——無論むろんそれはちからよわく、智慧ちえもとぼしく、そのままで無事ぶじ生長せいちょうはずはございませぬ。
こんなに評判ひょうばんになったのも、おれ幾年いくねんものあいだ、こんなにさびしいけわしいところに我慢がまんをして生長せいちょうしたからのことだ。おれ姿すがたてくれい。
葉と幹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
私は負けたのを知りながら、どうも子供は生長せいちょうするまで、母親のものらしく思えた。父親はそれを監視しているだけのものか。そうも考えられた。
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
自分はもと山多き地方に生長せいちょうしたので、河といえばずいぶん大きな河でもその水は透明であるのを見慣れたせいか、初めは武蔵野の流れ、多摩川をのぞいては
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
といって二十日も一月も晴天が続くと川の水が減少して鮎のせまくなりますのに硅藻があま生長せいちょうすぎこわくなりますから鮎はやっぱり餌に飢て味が悪くなります。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
あのときの赤ん坊が、両親ふたおやの断末魔の血を啜って、どんな女に生長せいちょうしたか、よく顔を拝ませてやれ
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
貴方あなたは一生涯しょうがいだれにも苛責かしゃくされたことはく、健康けんこうなることうしごとく、厳父げんぷ保護ほごもと生長せいちょうし、それで学問がくもんさせられ、それからしてわりのよいやく取付とりつき、二十年以上ねんいじょうあいだも、暖炉だんろいてあり
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
こうして、おじいさんのひととおりでないほねおりによって、常夏とこなつは、ますますみごとに生長せいちょうをいたしました。
花と人間の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
『これはもときょううまれじゃが、』と老人ろうじんは一こうました面持おももちで『ごくおさな時分じぶん父母ふぼわかれ、そしてこちらの世界せかいてからかくまで生長せいちょうしたものじゃ……。』
あるとき、おじいさんは、どこからか、ちいさな常夏とこなつをもらってきました。それをはちえてみずをやり、また、毎日まいにちあたりにして生長せいちょうするのをたのしみに丹精たんせいをいたしました。
花と人間の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もちろん最初さいしょ父母ふぼれいことははれい熱心ねっしんなお手伝てつだいもありますが、だんだん生長せいちょうするとともに、ますます守護霊しゅごれいはたらきがくわわり、最後しまいには父母ふぼからはなれて立派りっぱに一ぽんちのとなってしまいます。
おじいさんは、すいかを八百屋やおやおろして、自分じぶんはまたしずかな平和へいわむら空車からぐるまいてかえってゆきました。これから、つぎつぎと生長せいちょうするはたけ野菜物やさいものをいれてやらなければなりません。
初夏の不思議 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なぜならどんな植物しょくぶつ太陽たいようひかりなか生長せいちょうしたから、そして、ひかりめぐまれ、やわらかなあたたかなつちそだてられながら、どうして、生長せいちょうしないかということは、その理由りゆうがわからなかったからでした。
さまざまな生い立ち (新字新仮名) / 小川未明(著)