横腹よこばら)” の例文
ニーナが、私の横腹よこばらをついた。私は、フリッツ大尉の、いかめしい軍服姿に、すっかり気をうばわれてしまった。
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
たちまち、ざつとなつて、ポンプでくがごとく、泥水どろみづ両方りやうはうほとばしると、ばしやんと衣裳鞄いしやうかばんねかゝつた。運転手台うんてんしゆだい横腹よこばらつなけてんだのである。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
貨車かしゃ横腹よこばらにある大きな板戸いたどの、すきまをもれていましがた上がったと思われる月がさしこんできたのであった。自分は、なんというわけもなくいさみたった。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
するとこのわかとりつばさ横腹よこばらってみましたが、それはまったくしっかりしていて、かれそらたかのぼりはじめました。そしてこのつばさはどんどんかれまえまえへとすすめてくれます。
山男は達二を小脇こわきにかかえました。達二は、素早すばやく刀をかえして、山男の横腹よこばらをズブリとしました。山男はばたばたまわって、白いあわ沢山たくさんいて、んでしまいました。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「続いて、果敢かかんなる日本潜水艦隊が肉薄にくはくして、数十本の魚雷を本艦の横腹よこばら目がけて猛然と発射するときは……」
今度こんどくらまない。背後うしろはうえるから、振返ふりかへつて背後うしろると、むすめ何故なぜか、途中みちしやがんでてうごかない。さうして横腹よこばらかゝへながら、もうしておくれ/\とつてる。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ガンと、横腹よこばらを、鉄梯子てつばしごに打ちつけたがそのとき、幸運にも右脚が、ヒョイと梯子に引懸った。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
おそらく妙齡としごろむすめ横腹よこばらかゝへながらあるいたのも多度たんとはあるまいし、また帳場ちやうばつてあるいた女房かみさん澤山たんとはあるまい。うしても光景くわうけいが、吉原よしはら大門おほもんなか仕事しごとなんです。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だから敬二は、窓硝子の怪音と東京ビルの横腹よこばらを照らす火光とが同じ力の元からでていることを知った。さあ、こうなるとその火光がどうして見えるんだか、早く知りたくなった。
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それから両方りようはうかたから、せな横腹よこばらいしき、さら/\みづをかけてはさすつてくれる。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
親仁おやぢおほい苛立いらだつて、たゝいたり、つたり、うま胴体どうたいについて二三ぐる/\とはつたがすこしもあるかぬ。かたでぶツつかるやうにして横腹よこばらたいをあてたときやうや前足まへあしげたばかりまたあし突張つツぱく。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)