だん)” の例文
旧字:
だんじて、僕はいう。君の姉さんの病気はきっと僕がなおして見せる。そのかわり、昨日僕がいったことは、一時忘れていてくれたまえ。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さんざんな議論も出たが、彼のくちからさいごのだんがそうくだると、とたんにみな黙って、どの顔にも悲壮な色がみなぎった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だんじて非なりと信ずるゆえに、たとえ当年とうねんの男伊達だての意気を思慕しぼするとはいえ、こんにちの男一匹は長兵衛そのままを写してなりとは思わぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
既に今頃は岩瀬から真壁近在に来ている訳ですなあ?(加多が返事をしないので)……行われずんばだんあるのみと言っていたが、別に火も見えないし。
天狗外伝 斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
しかし無論むろんかれ自身じしんなんつみもなきこと、また将来しょうらいにおいても殺人さつじん窃盗せっとう放火ほうかなどの犯罪はんざいだんじてせぬとはっているが、またひとりつくづくとこうもおもうたのであった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そのとき、まだくちのこつていたどく水中すいちゅうへしたたりおちたために、金魚きんぎょんだのだとおもわれる。しかし、問題もんだいはこの毒殺死体どくさつしたいだつた。だんじてまきぞえをくつた金魚きんぎょではない。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
俺達わしたち受持うけもっている以上いじょう、そちたちだんじてそんな見苦みぐるしい真似まねわさせられぬ。これからそちたちはどこまでもあいってくれ。が、そちたちはどこまでもきよ関係かんけいをつづけてくれ……。
で、芳子はほとん喧嘩けんかをするまでに争ったが、矢張だんとしてかぬ。先生をたよりにして出京したのではあるが、そう聞けば、なるほど御尤ごもっともである。監督上都合の悪いというのもよく解りました。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
一行が準備じゆんびせらるる十日間の食糧しよくれう到底とうてい其目的そのもくてきを達せず、ことに五升ばかりの米をふをめいぜられて此深山しんざん険崖けんがい攀躋はんさいする如きは、拙者のあたはざる所なりと、だんじて随行をこばむ、衆相かへりみて愕然がくぜんたり
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
総じて、殺害の訴えには明らかな犯行の動機と現場の物件、死体の傷痕しょうこん、犯人の足跡、その他の傍証ぼうしょう、五ツの要目がなければだんは下せぬものだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
既にいまごろは岩瀬から真壁近在に来ている訳ですなあ? (加多が返事をしないので)……行われずんばだんあるのみと言っていたが、別に火も見えないし。
斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
だんじてわたしは見たのだ。わたしのエックス線には狂いはないのだ。おまえは、棒でつぎ足した……」
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「おろかなことを。政治まつりごとだんをくだすものが、おんなげんなどにくらんでよいものか。……いや、さような繰り言はけ。……尊氏は、どうしているか」
なんというふしぎなものを見たことであろうか。夢か? だんじて夢ではない。
「うかとだんくだせぬのは分りきっているが、何せい、こう延々のびのびでは、ここがたまらぬよ、仲時もほとほと疲れた」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……いずれにせよ、突っ返してもまた、再三申し入れしてくるだろう。だんは、そのときにしても遅くない
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一山のだんにより、さっそく首座しゅそ(僧職)がその旨を、智深にいいわたす。智深は、ふくれつらだった。たとえ、化主けす浴主よくすの末僧でも、なにか僧職の端にはと期待していたらしい。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、小気味の悪い含み笑いをもちながら、再三にわたって知事へ逮捕たいほだんを迫った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
検証役けんしょうやく鐘巻一火かねまきいっかは、公平こうへいに、最後さいごだんをくだして、蔦之助や小文治たちにいった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おお、上部八風斎かんべはっぷうさいのことですか、そのは、拙者せっしゃからも再三若君のお耳へいれたが、だんじて会わんという御意ぎょいのほか、一こうお取上げにならぬしまつ。事情をいうて追いかえされたがよろしかろう」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だんに異様なひびきがした。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だん
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)