“手古摺:てこず” の例文
“手古摺:てこず”を含む作品の著者(上位)作品数
野村胡堂13
夢野久作5
吉川英治4
小出楢重3
中島敦2
“手古摺:てこず”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 音楽 > 劇音楽100.0%
歴史 > 伝記 > 日本8.3%
社会科学 > 風俗習慣・民俗学・民族学 > 伝説・民話[昔話]6.7%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
「しかし、よっぽど手酷てひどく暴れたんだな。あの好色すけべえ野郎が、こんなにまで手古摺てこずったところを見ると……」
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「止すが宜い、八兄哥。その娘の口を開かせるよりは、田圃の地藏樣を口説くどく方が樂だぜ。俺はもう散々手古摺てこずつたんだ」
相手が大物だし、つかみようのない幸村という人物なので、手古摺てこずっているといううわさもかねがね聞くところだし、
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
駱駝の荷を揚げ卸し谷を渡す間に眠ってやろうとの算段で、沙上に転び廻りて荷をくつがえしすこぶる人を手古摺てこずらせたとある。
どうも気に食わぬ女を抱いたものだと思ったら、帰り途にさえこんなに手古摺てこずるわいと彼は愚痴ぐちるのだった。
天馬 (新字新仮名) / 金史良(著)
同研究室は、普通の民間探偵とは違い、其筋そのすじでも手古摺てこずるほどの難事件でなければ、決して手を染めようとはしなかった。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
お大は姉と違つて、ちひさい時分から苦勞性の女であつたが、糸道いとみちにかけては餘程鈍い方で、姉も毎日手古摺てこずつて居た。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
流石さすがの名法医学者若林鏡太郎博士も、この事件には少々手古摺てこずったと見えて、その調査書類の中に、こんな歎息を洩している。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
どうしてもこの富士をはっきり焼きつけてれとねじ込んで、開業した許りの写真屋を手古摺てこずらせたりした。
初旅の大菩薩連嶺 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
武藤泰子さんから来信、妙に抱き込んだような調子で、段々私が好きになって来た、手古摺てこずるほど行くかもしれない、などと云って来る。
誰が何んといっても我意を張り通すような有様で随分手古摺てこずらされたような塩梅あんばいでありました。
「いや、御苦労さま。君達も疲れたろうが、僕もこの事件には全く手古摺てこずったよ、というのは、弁護士の佐伯田博士の処へまた鳩が来たんだ」
鳩つかひ (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
仏国のデオンごとき男子女装して常に外交や国事探偵に預かり、死尸しかばねを検するまで男女いずれと別らず、大いに諸邦を手古摺てこずらせた。
ガラツ八の勇猛さでも、この雌豹めへうのやうな美しい駻婦かんぷにはかなり手古摺てこずつたやうです。
七生までも手向いをしやがる、慾に目のねえのもこわいが、慾のねえ奴にも手古摺てこずるもんですなあ
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
机竜之助の音無しの太刀先たちさきに向っては、いずれの剣客も手古摺てこずらぬはない、竜之助はこれによって負けたことは一度もないのであります。
そうして町なかにある仁丹の看板をみつけては一人でそれをして「お父うちゃん」と言ってばかりいるので、母たちも随分手古摺てこずったらしい。
花を持てる女 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
S島がナポレオンの存在に困るからとて、T島にやったのでは、同じような無気力者の寄合に違いないT島でもやはりこの少年に手古摺てこずるに違いない。
我儘わがままを云って親を手古摺てこずらせていたころの方が、どう考えても正直だったのだ。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「学問があって大豪で、それで海賊というのだから、随分ととらえるには手古摺てこずったものだ」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
八五郎は耳のあたりから首筋へかけてツルリと撫で廻しました。餘つ程手古摺てこずつた樣子です。
八百屋やおやの女房が自転車に乗って走ったらはでな仕事となるし、百号を手古摺てこずってナイフで破ったといえばはでな事をしたと感心してもいいのである。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
酒の勢いを駆って、小次郎を手古摺てこずらし、さんざん鬱憤をはらしてつぶれてしまった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いくら女の方が早く大人になるとはいえ、二ツ違いの兄さんなら粋なのだけれど、二ツ違いの生徒では、手古摺てこずらされるのは当り前だったかも知れませんね。
お蝶夫人 (新字新仮名) / 三浦環(著)
一年ほど前から、風のごとく去来する怪盗が、江戸中の岡っ引を手古摺てこずらせておりました。
今道心中馬ちゆうま甚斎が先日こなひだ京都の武徳殿で大暴れに暴れて、居合せた巡査八人を手古摺てこずらせた事は、八日の本紙夕刊に詳しく出て居た通りだ。
一年ほど前から、風の如く去來する怪盜が、江戸中の岡ツ引を手古摺てこずらせて居りました。
「ウム、いかに連れ去ろうとしても、あの、左膳の落ちた穴のまわりにへばりついておって、どうしても離れようとせんのだ。だいぶ手古摺てこずっておったようだが」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
せんだっての晩手古摺てこずらされた酒場バーの光景を思い出さざるを得なくなった彼は、まゆをひそめると共に、相手を利用するのは今だという事に気がついた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
髪結いの手にかけると髪毛かみのけが余って手古摺てこずるのでヤハリ自分で結うらしい
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その後に甚五郎に会った時に、彼はお安に手古摺てこずった話をすると、甚五郎は笑った。
恨みの蠑螺 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
けれどもこういう場合に、大丈夫だと思ってつい笑談じょうだんに押すと、押したこっちがかえって手古摺てこずらせられるくらいの事は、彼に困難な想像ではなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
行田も酒井も「あれでは困る。」と云つて、その古い芝居に馴らされてしまつたそうして頭腦のない録子に手古摺てこずつてゐたけれ共、録子はそんな事には平氣であつた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
私はこの近代的な興行に共鳴してなかなか動かず父を手古摺てこずらせたものである。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
入口にねばつて、女房のお靜を手古摺てこずらせてゐる中年男があつたのです。
併し自動車の前を包んで衝突させた鉄の被覆おおいは、子分の捕縛と共にその家で見付かりましたが、その他の事はなんとしても白状しません。散々手古摺てこずらせた揚句、
身代りの花嫁 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
世界の文明国の人類が、一つ一つ、甚だしい必要に迫られ頭脳から絞り出された部分品が山積し、改められ、手古摺てこずらされ、構成されつつ延び上ったところの大彫刻である。
妾というのならばどうしてもいやだと、口入れを散々手古摺てこずらした。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
お客様を前にしたコンサートでさえこういうわがままなのですから、お客様の居ないところ、プライベートの生活は大変なわがままでまわりの人はずいぶん手古摺てこずらされたものです。
お蝶夫人 (新字新仮名) / 三浦環(著)
実に手古摺てこずらされたということをブランデス自身が書いている。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
終日看守を手古摺てこずらせた揚句あげく、やっと目的を達すると
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
電燈会社は、此杉林を横断おうだんして更に電線を引きたがって居るが、松友の財産家が一万円出すと云う会社の提議ていぎねつけて応ぜぬので、手古摺てこずって居るそうである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
仲に立った人や宮世話人を手古摺てこずらせた事が毎度であった。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
「どうも親分、こんな手古摺てこずッたことはございません。何のかのと駄々をこねるんで、大の男が一汗かいてしまいましたよ。これが自分の女ならば、どうにだッて荒療治をしちまいますが」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ことに、暴れ者で、代々の守備隊長を手古摺てこずらせていた黄中尉を、伍長の彼が、まるで犬かなんぞのように射殺したという話は、孫伍長を有名にすると同時に、新任の隊長を恐れさせた。
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
「へエ、この石井三右衞門一家の騷動は、ひどく手古摺てこずらせましたが、やうやく目鼻が付きました。順序を立てて申上げると明神裏でお町を殺したのは、あれは世之次郎では御座いません」
「それをガツガツと食べ終りますと、手真似てまねをして、もっとくれいと強請せがみましたから、いかん、と首を振ってみせたら、さまざまなあだをいたして、いやはや手古摺てこずりました」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ヘエ、この石井三右衛門一家の騒動は、ひどく手古摺てこずらせましたが、ようやく目鼻が付きました。順序を立てて申上げると明神裏でお町を殺したのは、あれは世之次郎ではございません」
刑事もこれには大分手古摺てこずったとっているがね。
一枚の切符 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
あれが妖怪狐狸の類ならば、こんな下手へたな化け方はしないでしょうが、そこが人間の情けなさから頗る深酷に手古摺てこずっているのでありました。私は婆さんが側へ来ると何か異様の毒気を感じるのでした。
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
最初は本所から、浅草下谷したやを荒らし、土地の御用聞をすっかり手古摺てこずらせておりましたが、警戒が厳重で手も足も出なくなると、今度は河岸を変えて平次の縄張なる神田へ黒い手を伸して来たのでした。
寺社奉行を手古摺てこずらせたものですよ
半七捕物帳:25 狐と僧 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
初めは何といっても首を振ってかなかったが、剛情我慢の二葉亭も病には勝てず、散々手古摺てこずらした挙句がよんどころなく納得したので、病気がやや平らになったを見計らって大阪商船の末永支配人が附添い
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
祖父を手古摺てこずらせた私の内気も、三年生になって級長を勤めるようになってからはそれほどでもなくなって、凧揚たこあげやとんぼ採りの仲間入りも一人前に出来るようになるばかりか、大川へ水泳ぎにさえ出かけるようになった。
桜林 (新字新仮名) / 小山清(著)
或時彼は湘南しょうなんの老父に此爺さんのうわさをしたら父は少し考えて、待てよ、其は昔関寛斎と云った男じゃないかしらん、長崎で脚疾の治療をしてもらったことがある、中々きかぬ気の男で、松本良順など手古摺てこずって居た、と云った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ヘルマンはしばらく我れにかえることが出来なかったが、やっとのことで起ち上がって次の間へ行ってみると、伝令下士はゆかの上に横たわって眠っていたので、さんざん手古摺てこずった挙げ句にようやく眼をさまさせて、表のドアの鍵をかけさせた。
散々泣き尽して、母親を手古摺てこずらせて来たお滝は、最早涙も涸れた様子ですが、声の無い歔欷なきじゃくりが、玉虫色に紅を含んだ、可愛らしい唇に痙攣けいれんを残して、それがまだ好色漢すきもの岩太郎の眼には、一段の魅力でもあったのです。
銭形平次捕物控:245 春宵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
堀久太郎は強いことは強いが、後に至って慶長の三年、越後の上杉景勝の国替のあとへ四十五万石(或は七十万石)の大封たいほうを受けて入ったが、上杉に陰で糸をかれて起った一揆いっきの為に大に手古摺てこずらされて困った不成績を示した男である。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
別に盜まれた金も無く、殺された者も無いばかりでなく、この事件のために災難を受けたものは、大川に抛り込まれた八五郎位のもので、何んの變哲へんてつもない事件なのですが、その底に妙に煮え切らないものがあつて、平次をすつかり手古摺てこずらせてしまつたのです。
私の妻は何々水練場とかへ通っていたというので多少の心得がある処から夏になると海へ行きたがるのだ、初めのうちはそれで随分手古摺てこずったものだが、いかに亭主は海を好かぬかという事を了解するに及んで、この節はあまり誘わなくなったので私は最も手近い水難から救われたのである。
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
昔からその明には、人一倍内気で弱々しげに見える癖に、いざとなるとなかなか剛情になり、自分のしたいと思う事は何でもしてしまおうとするような烈しい一面もあって、どうかするとそんな相手に彼女もときどき手古摺てこずらされた事のあったのを、彼女はその間何んという事もなしに思い出していた。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
僕は宗像君とは二三度会ったばかりだが、彼の一種の才能には、深く敬意を表している。恐ろしい男だ。だが、今度の事件は流石の彼も、少なからず手古摺てこずっているようだね。いつも犯人に先手をうたれて、後へ後へと廻っている。被害者は予め分っているのに、一人だって助けることは出来なかった。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
宇吉、赤沢夫人、女中の三人は、気も心も転倒したと見えて、最初のうちしどろもどろな陳述で係官を手古摺てこずらしたが、それでも段々落つくに従って、赤沢脳病院の現状からあのいまわしい雰囲気、院長のすさんだ日常、そして又三人の狂人の特長性癖等に就いて、曲りなりにも問わるるままに答えて行った。
三狂人 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
この臆病らしい小娘から、筋の通つた話を引出すのは、平次にしても容易ならぬ手數でしたが、でも、散々手古摺てこずらした末、よく遊びに來るのは平野屋の若旦那と、投げ節の小三郎さん、それに御浪人の阿星あぼし右太うた五郎樣——などと覺束ない指を折つて見せるところまで、心持がほぐれて行きました。
「おれは小さい時には顏に青筋が出てゝ、ひどい疳性で皆んなを手古摺てこずらせたさうだよ。炒粉いりこが思ふやうにゆだらないと云つて泣き入つたまゝ氣絶して、一時は助らないと思はれたさうだ。だから母親は何時になつてもおれの疳性ばかり氣にしてゐるんだらう。」良吉はふと頭の頂點てつぺん禿はげを指して
母と子 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)