“てこず”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
手古摺89.0%
手古擦4.1%
手甲摺1.4%
手固摺1.4%
手甲擦1.4%
散々手古摺1.4%
梃擦1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
流石さすがの名法医学者若林鏡太郎博士も、この事件には少々手古摺てこずったと見えて、その調査書類の中に、こんな歎息を洩している。いわく……
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
余の如く機械的の便利には夫程それほど重きを置く必要のない原稿ばかり書いているものですら、又買い損なったか、使い損なったため、万年筆には多少手古擦てこずっているものですら
余と万年筆 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「君のやうなおませは、学校の先生もさぞ手甲摺てこずつたことだらう。」
チビの魂 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「親父さんも手甲摺てこずつたものらしいのですね。」
チビの魂 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
酒の上の駄々だだ手固摺てこずらせではなく、お粂としてはほんとうにそう腹をきめたのでしょう、その後で、家からここへ移して来た、自分の着類、舞台の用具、衣裳一式
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小野田を手甲擦てこずらせていたと云う父親の言分から、内輪が大揉おおもめにもめて、到頭田舎へ帰って行くことになった父親に対する憎悪が、また胸に燃えたって来るのを覚えた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
散々手古摺てこずらした末、よく遊びに来るのは平野屋の若旦那と、投げ節の小三郎さん、それに御浪人の阿星右太五郎様——などと覚束おぼつかない指を折って見せるところまで、心持がほぐれて行きました。
どこからか女の子の泣き声を聞きつけると、私は二階から、「またやったな」と乗り出すほどこの次男のいたずらには梃擦てこずった。
睡蓮 (新字新仮名) / 横光利一(著)