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所作
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しょさ
ふりがな文庫
“
所作
(
しょさ
)” の例文
「お房は表の方から、腰抜け彌八は裏の方から、両花道を
所作
(
しょさ
)
りながら出て来たわけだが、二人共誰にも逢わなかったと言うんです」
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
海は静かにその小石を受け取りました。兄さんは
手応
(
てごたえ
)
のない努力に、
憤
(
いきどお
)
りを起す人のように、二度も三度も同じ
所作
(
しょさ
)
を繰返しました。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「やりますが、自然の
所作
(
しょさ
)
は知りませんよ。生き生きと物すべて生きたいように生きている。乞食法師の知るところにあらずです」
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
文句がやや
混入
(
まじい
)
っているためだろうか、言葉に力を入れすぎて
所作
(
しょさ
)
の方が軽く取扱われ、もっとも熱中する遊戯にはかえって
黙演
(
もくえん
)
が多い。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
親方はこれだけの
所作
(
しょさ
)
で深く感動した。そしてよけい心配になってきた。ジョリクールが病気だということはあきらかであった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
▼ もっと見る
傾城買の
所作
(
しょさ
)
は日本無双と云われた
御身様
(
おみさま
)
じゃが、道ならぬ恋のいきかたは、又格別の御思案がござりましょうなハハハハ
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
こうなったら、お前たちはいっそう
所作
(
しょさ
)
ふるまいに気をつけて、上品にしなくちゃいけませんよ。みんなが由緒ある家の子だと気がつくようにね。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
芝居や狂言はいつも同じ
所作
(
しょさ
)
を演じたのでは面白くない。絶えず新奇な筋を仕組み、俳優を変え、目先を変えて、やってみたい気にもなるであろう。
日本に於けるクリップン事件
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
不案内な私の
所作
(
しょさ
)
がもどかしいといった風に、私の
側
(
そば
)
に寄って来て、かれこれと並べ方を教えたり、商売についての注意を与えてくれたりなどした。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
どうして自分はこの妹に対して優しくする事ができないのだろうとは思いつつも、葉子は愛子の
所作
(
しょさ
)
を見ると一々気にさわらないではいられないのだ。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
どだいそんな、傑作意識が、ケチくさいというんだ。小説を読んで襟を正すなんて、狂人の
所作
(
しょさ
)
である。そんなら、いっそ、
羽織
(
はおり
)
袴
(
はかま
)
でせにゃなるまい。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
我が国でも、
甘栗
(
あまぐり
)
太郎の店頭にはノンキナトウサンの人造人間が、このような
所作
(
しょさ
)
をして甘栗の宣伝をしていた。
人造物語
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして、私を気易くしたのは、この娘が自分で自分の美しさを意識して
所作
(
しょさ
)
する二重なものを持たないらしい気配いである。そのことは一目で女には判る。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
きょうの百物語の催しなんぞでからが、いかにも思い切って奇抜な、時代の風尚にも、社会の状態にも
頓着
(
とんじゃく
)
しない、大胆な
所作
(
しょさ
)
だと云わなくてはなるまい。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「いろいろな
所作
(
しょさ
)
をして見せるが、苦しんでいるところなぞ、見せてもらわなくても結構だよ。なんの霊だか知らないが、おだやかに話ができないものなのか」
雲の小径
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
楠本氏はえらい人だというのに、こんな芝居めいた
所作
(
しょさ
)
をするのが、あんぽんたんには、代議政治を委任される代議士というものが、妙なものとして印象された。
旧聞日本橋:21 議事堂炎上
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
しかるにメリサンドが長い髪を窓外のペレアスに投げかける
所作
(
しょさ
)
には「いき」なところは少しもない。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
うろうろしているところは、どうしても正気の人間の
所作
(
しょさ
)
じゃありませんぜ。ねえ、そうでしょう
半七捕物帳:23 鬼娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お藤は、
所作
(
しょさ
)
そのままの手でぴたりとおさえておいて、
凄味
(
すごみ
)
に冷え入る
剣幕
(
けんまく
)
をおさよへあびせた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
此だけは工夫した女優の
所作
(
しょさ
)
で、手には
白金
(
プラチナ
)
が
匕首
(
あいくち
)
の如く輝いて、
凄艶
(
せいえん
)
比類なき
風情
(
ふぜい
)
であつた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「伝吉は
朋輩
(
ほうばい
)
どもには仇あることを云わず、仇あることを知りしものには
自
(
みずか
)
らも仇の名など知らざるように
装
(
よそお
)
いしとなり。
深志
(
しんし
)
あるものの
所作
(
しょさ
)
なるべし。」が、歳月は
徒
(
いたず
)
らに去り
伝吉の敵打ち
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
久助君はまだ、人間がフットボールにあたって死ぬところを見たことはないが、もしそういうことがあるならば、きっと兵太郎君がするとおりの
所作
(
しょさ
)
をして死ぬだろうと思っていた。
川
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
彼の男は承知して、
衣
(
うわぎ
)
をぬいで
笥
(
はこ
)
の上にかけ、物を怨むような
所作
(
しょさ
)
をしていった。
偸桃
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
かつ「梅かをる朝」とばかりにてはさるむづかしき鼻の
所作
(
しょさ
)
を現はし居らぬなり。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
袖
(
そで
)
を放させて出ようとするのを、典侍はまたもう一度追って来て「橋柱」(思ひながらに中や絶えなん)と言いかける
所作
(
しょさ
)
までも、お
召
(
めし
)
かえが済んだ帝が
襖子
(
からかみ
)
からのぞいておしまいになった。
源氏物語:07 紅葉賀
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
先生や先生の一家一門の
所作
(
しょさ
)
は、万人の
具
(
つぶさ
)
に
瞻
(
み
)
る所、批評の
的
(
まと
)
であります。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
かんなぎのような
所作
(
しょさ
)
もあり、そうかと思えば
神楽拍子
(
かぐらびょうし
)
のように崩れてしまうところもあって、なんとも名状のできない踊りだが、それでも、その変化の間に一つのリズムというものがあって
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と、その時、狼達が、不思議な
所作
(
しょさ
)
をやり出した。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私には
先刻
(
さっき
)
懐
(
ふところ
)
へ入れた郵便物の中を開けて見ようという目的があった。それは病人の枕元でも容易にできる
所作
(
しょさ
)
には違いなかった。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「八五郎の前だが——その話は面白くないよ。それッきり何処まで行っても恋患いの
所作
(
しょさ
)
なら、もう少し日が長くなってから聴こうじゃないか」
銭形平次捕物控:244 凧の糸目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「邸のうちへ、無断で、何事でござりますか。
女住居
(
おんなずまい
)
と思うて、無礼な
所作
(
しょさ
)
などあそばすと、ゆるしてはおかれませぬぞ」
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此の
台辞
(
せりふ
)
の間に、ふとんの上から足で私の体を揺すぶったり、或は上の夜具を一枚まくったりする
所作
(
しょさ
)
が入る。
The Affair of Two Watches
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
同じ年をとった人たちの
所作
(
しょさ
)
を真似るという中でも、ままごとのお手本はそう手近いところにはないようだ。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
薄月の光では細かい
所作
(
しょさ
)
を見届けることが出来なかったが、なににしても仔細ありげな様子だった。
うすゆき抄
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
放蕩児
(
ほうとうじ
)
が金を散じる時の
所作
(
しょさ
)
はまず大同小異である、
幇間
(
たいこもち
)
にきせる羽織が一枚か百枚の差である。
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ドンと落ちた穴の底は、
狂気
(
きちがい
)
の病院
入
(
いり
)
じゃ。この段替ればいの、狂乱の
所作
(
しょさ
)
じゃぞや。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
李の
唱
(
うた
)
う曲やその間へはいる
白
(
はく
)
につれて、いろいろ
所作
(
しょさ
)
をするようになると、見物もさすがに冷淡を装っていられなくなると見えて、追々まわりの人だかりの中から、
※子大
(
そうしだい
)
などと云う声が
仙人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
女の方の思わせぶりの
所作
(
しょさ
)
も、それで立ちすくみになったが、兵馬としては、驚いて
狼狽
(
ろうばい
)
するのみではいられません、直ちにこの怪しい奴を引捕えてみなければならぬ必要に迫られました。そこで
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
日常
瑣末
(
さまつ
)
の事件のうちに、よくこの特色を発揮する彼女の
所作
(
しょさ
)
を、津田は時々自分の眼先にちらつく
洋刀
(
ナイフ
)
の光のように眺める事があった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
戦国の豪傑たちは、他愛なく
喝采
(
かっさい
)
した。与一の姿も愛らしや。信長が
鼓構
(
つづみがま
)
えの
所作
(
しょさ
)
も
善
(
よ
)
い
哉
(
かな
)
。——満堂思わず手をたたく。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そんな事を言いながら、涙を拭いたり、兄の直助の身の廻りの世話をしたり、
所作
(
しょさ
)
沢山にしているのです。
銭形平次捕物控:141 二枚の小判
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この日一年中の害鳥害獣を追い払う
所作
(
しょさ
)
ありや否。
鴉
(
からす
)
土鼠
(
もぐら
)
以外に、この日駆逐せられるものは何々か。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
じぶんでかんがえ出しました
道化
(
どうけ
)
たまいでござりまして、「糸よりほそい腰をしむれば」と、
所作
(
しょさ
)
をしておめにかけますと、たいていのかたは腹をかゝえてわらわれますので
盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼の妻や子でさえも、彼のこの
所作
(
しょさ
)
を、やはり
荊棘
(
いばら
)
の冠をかぶらせるのと同様、クリストに対する
嘲弄
(
ちょうろう
)
だと解釈した。そして往来の人々が、いよいよ面白そうに笑い興じたのは、無理もない話である。
さまよえる猶太人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かのみどり子の
所作
(
しょさ
)
として
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これを他の言葉で云いますと、ある人が根本的にあるものを握っていて、千態万状の
所作
(
しょさ
)
にことごとくこのあるものを応用する。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かれはどこかの町で見かけた
旅芸人
(
たびげいにん
)
の
所作
(
しょさ
)
を思いうかべて、わざと、
興
(
きょう
)
をそえながら、
杖
(
つえ
)
でクルリと
円形
(
えんけい
)
の
線
(
せん
)
をえがいて
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
子供の
所作
(
しょさ
)
などはいつの世にも、軽々に看過されがちなものであったが、この中には前生活の痕跡が、まったく無意識に取り伝えられている例は一つや二つでない。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「娘の
所作
(
しょさ
)
なんか、俺に訊いたってわかるものか、袂を裏返したのは、
蚤
(
のみ
)
をさがす為で、爪を噛んだのは、
疳
(
かん
)
のせいで、眼をつぶったのは、眼に
埃
(
ほこり
)
が入った為とでもして置け」
銭形平次捕物控:239 群盗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
所作
(
しょさ
)
から起る
手数
(
てかず
)
だの
煩
(
わずら
)
わしさだの、こっちの好意を受け取る時、相手のやりかねない
仰山
(
ぎょうさん
)
な
挨拶
(
あいさつ
)
も
鮮
(
あざ
)
やかに描き出された。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“所作”の意味
《名詞》
所 作(しょさ)
からだの動かし方。身のこなし。
(出典:Wiktionary)
所
常用漢字
小3
部首:⼾
8画
作
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
“所作”で始まる語句
所作事
所作為