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悲歎
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ひたん
ふりがな文庫
“
悲歎
(
ひたん
)” の例文
また能に於ける「悲しむ人」は、形体の上で涙や
悲歎
(
ひたん
)
を見せるのでなく、意味としての気分の上で、悲哀の心境を現わすのである。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
お濱も
悲歎
(
ひたん
)
にくれてばかり居て何にも知らず、その上修驗者
道尊坊
(
だうそんばう
)
が來て、夜中まで祈祷を續けて居たので、隣の物音も聞かなかつたと言ふのです。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
また
二人
(
ふたり
)
が
内祝言
(
ないしうげん
)
の
日
(
ひ
)
はチッバルトどのゝ
大厄日
(
だいやくじつ
)
、
非業
(
ひごふ
)
の
最期
(
さいご
)
が
因
(
もと
)
となって
新婿
(
にいむこ
)
どのには
當市
(
たうし
)
お
構
(
かま
)
ひの
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
となり、ヂュリエットどのゝ
悲歎
(
ひたん
)
の
種
(
たね
)
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
ちよつと
潜
(
ひそ
)
かに
上洛
(
じょうらく
)
されたやうな
噂
(
うわさ
)
もありましたので、それを種に人をお担ぎになつたのでございませう。鶴姫様の御
悲歎
(
ひたん
)
は申すまでもございません。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
心苦しい御
悲歎
(
ひたん
)
をもっともなことであると御同情をして見ながら、いろいろと、お慰めの言葉を尽くしていた。
源氏物語:41 御法
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
▼ もっと見る
母親の夫人の
悲歎
(
ひたん
)
は
傍
(
はた
)
の見る目も憐れなくらいであったところへ、
搗
(
か
)
てて加えて父のZ伯爵から
世界怪談名作集:10 廃宅
(新字新仮名)
/
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン
(著)
さし
貫
(
つらぬ
)
き見るに見られぬ
形状
(
ありさま
)
なれば平吉は
動
(
どう
)
とばかりに
倒
(
たふ
)
れ
伏
(
ふし
)
死骸
(
しがい
)
に取付
狂氣
(
きやうき
)
の如く天に叫び地に
轉
(
まろ
)
び
悲歎
(
ひたん
)
に
昏
(
くれ
)
て居たりしが
良
(
やゝ
)
ありて氣を取直し涙を
拭
(
ぬぐ
)
ひ
倩々
(
つく/″\
)
と父の
面
(
おもて
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
父母の
悲歎
(
ひたん
)
大方ならず、母は我が児の
不憫
(
ふびん
)
さに天を
恨
(
うら
)
み人を
憎
(
にく
)
みて一時
狂
(
きょう
)
せるがごとくなりき。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その証拠にお前に見せる物がある。この手紙の一束を見てくれい。(忙がしげに
抽斗
(
ひきだし
)
を開け、一束の手紙を取り
出
(
いだ
)
す。)恋の
誓言
(
せいごん
)
、恋の
悲歎
(
ひたん
)
、何もかもこの中に書いてはある。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
私
(
わたくし
)
どもは
別
(
べつ
)
に
平生
(
へいぜい
)
厚
(
あつ
)
い
仏教
(
ぶっきょう
)
の
信者
(
しんじゃ
)
というのでもなかったのでございますが、
可愛
(
かわい
)
い
小供
(
こども
)
を
亡
(
うしな
)
った
悲歎
(
ひたん
)
のあまり、
阿弥陀様
(
あみださま
)
にお
縋
(
すが
)
りして、あの
娘
(
こ
)
が
早
(
はや
)
く
極楽浄土
(
ごくらくじょうど
)
に
行
(
ゆ
)
けるようにと
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
この手紙を読み終って、あたしは
悲歎
(
ひたん
)
に暮れた。なんという
非道
(
ひど
)
いことをする悪漢だろう。銀行の金を盗み、番人を殺した上に、松永の美しい顔面を
惨
(
むご
)
たらしく破壊して逃げるとは!
俘囚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
義母は愛着のこもった手つきで、
見憶
(
みおぼ
)
えのある着物の裾をひるがえして眺めている。彼には妻の母親が
悲歎
(
ひたん
)
のなかにも静かな諦感をもって、娘の死を素直に受けとめている姿が
羨
(
うらやま
)
しかった。
死のなかの風景
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
自分の
悲歎
(
ひたん
)
や心境を単に無技巧に押しつけようとしても、読者はついてくるものでない。何事も言葉に表わされた以上一応は理解しうる。併し読者をして身をもって感ぜしめねば不可である。
意慾的創作文章の形式と方法
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
悲歎
(
ひたん
)
の数分間が過ぎて、やっと気を取直した二郎が云った。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ちょっと
潜
(
ひそ
)
かに
上洛
(
じょうらく
)
されたような
噂
(
うわさ
)
もありましたので、それを種に人をお担ぎになったのでございましょう。鶴姫様の御
悲歎
(
ひたん
)
は申すまでもございません。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
御髪
(
みぐし
)
をお
剃
(
そ
)
り捨てになった御兄の院を御覧になった時、すべての世界が暗くなったように思召されて、
悲歎
(
ひたん
)
のとめようもない。ためらうことなくすぐにお言葉が出た。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ば
玉之助
(
たまのすけ
)
と
號
(
なづ
)
け
掌中
(
たなそこ
)
の玉と
慈
(
いつく
)
しみ
養
(
そだ
)
てける
然
(
しかる
)
に妻は産後の
肥立
(
ひだち
)
惡
(
あし
)
く
荏苒
(
ぶら/\
)
と
煩
(
わづら
)
ひしが秋の末に至りては追々
疲勞
(
ひらう
)
し
終
(
つひ
)
に
泉下
(
せんか
)
の客とはなりけり嘉傳次の
悲歎
(
ひたん
)
は更なり
幼
(
をさな
)
きものを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ハッと気がついて
周囲
(
まわり
)
をキョロキョロと見廻すと、これはどうしたというのでしょう。
傍
(
かたわ
)
らに立って、こちらへ優しく笑額を向けているのは、あの
悲歎
(
ひたん
)
の
主
(
ぬし
)
、谷村博士の老夫人だったのです。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
領主
暫時
(
しばらく
)
叫喚
(
けうくわん
)
の
口
(
くち
)
を
閉
(
と
)
ぢよ、
先
(
ま
)
づ
此
(
この
)
疑惑
(
ぎわく
)
を
明
(
あきら
)
かにして
其
(
その
)
源流
(
げんりう
)
を
取調
(
とりしら
)
べん。
然
(
しか
)
る
後
(
のち
)
、われ
將
(
は
)
た
卿等
(
おんみら
)
の
悲歎
(
なげき
)
を
率
(
ひき
)
ゐて、
敵
(
かたき
)
の
命
(
いのち
)
をも
取遣
(
とりつか
)
はさん。
先
(
ま
)
づそれまでは
悲歎
(
ひたん
)
を
忍
(
しの
)
んで、
此
(
この
)
不祥事
(
ふしゃうじ
)
の
吟味
(
ぎんみ
)
を
主
(
しゅ
)
とせい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
打守りしみ/\
悲歎
(
ひたん
)
の有樣なれば寶澤は婆に向ひ私し程世に不仕合の者はなきに
夫
(
それ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
衛門督の死で大臣と夫人はまして言いようもない、
悲歎
(
ひたん
)
に沈んでいた。
源氏物語:36 柏木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
河村は
悲歎
(
ひたん
)
と
憤慨
(
ふんがい
)
とを、両眼からはふり落ちる涙に
托
(
たく
)
して、
嗚咽
(
おえつ
)
した。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“悲歎”の意味
《名詞》
悲しみ、嘆くこと。
(出典:Wiktionary)
悲
常用漢字
小3
部首:⼼
12画
歎
漢検準1級
部首:⽋
15画
“悲”で始まる語句
悲
悲哀
悲惨
悲鳴
悲愴
悲痛
悲壮
悲愁
悲劇
悲嘆