びっく)” の例文
なでて見るとおかしな手障てざわりだから財布の中へ手を入れて引出して見ると、封金ふうきんで百両有りましたからびっくりして橋のたもとまで追駆おっかけて参り
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
秀子はびっくりして余より離れ「貴方も矢張り権田さんの様な事を仰有る、保護して下さるは有難くとも私は其の様な約束は出来ません」
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
再びびっくりして二つの首級をハタと投出し唯茫然ぼうぜんとしてその場に佇立たたずんでしまうと、いつのに寄集って来たものか
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「旦那、旦那、たいそううなされてますが、おっそろしい声をだして、びっくりするじゃありませんか、もし旦那」
円朝の牡丹灯籠 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
改まってお祖母ばあさんにお辞儀しろと言われた事は滅多に無いので、死ぬと変な事をするものだ、と思って、おッかなびっくそばへ行くと、小屏風をさかさにした影に祖母が寝ていて
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
孫次郎はびっくりして、思わず一歩退った。
おもかげ抄 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
五「はい、只今婆アから承わりまして、誠にびっくりいたしましたが、おつれさまは御丹誠甲斐もない事で、お死去かくれになりましたと申す事で」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼はびっくり驚いて「オオ」と云い、其の顔を上げる拍子に、身体の中心を失って、階子段を踏み外し、真逆様まっさかさまに下へ落ちはせぬけれど殆ど落ちん有様で有った
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
びっくりして振返ると
おもかげ抄 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
瀧の戸は気になるから跡へ取って返して、床の上に円めて有った寝衣を振って見ると、ぱたりと落ちた百両の包み金、音羽もびっくりして
と懐剣ひきぬき自害の模様になるを、下郎はびっくりして止めると、そんならわらわの望み叶えてたもるか、さアそれは……叶わぬならば此の儘
二人はびっくり致しまして、あと退き、女はあわてゝ開き戸を締めて奥へく。の春部という若侍も同じく慌てゝお馬場口の方へげて行く。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と飛び退いて新吉の手へすがりつくと、新吉もびっくりしたが、蛇はまた元の様に、墓の周囲まわりを廻って草の茂りし間へ這入りました。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
びっくりしたというは、拙者がまだ平太郎と申し部屋住のおりの孝藏といさゝかの口論がもとゝなり、切捨てたるはかく云う飯島平左衞門であるぞ
裏長屋の者はびっくり致し、跣足はだしで逃げ出す者もあり、洗濯ばあさんは腰を抜かし、文字焼もんじやきじいさんはどぶへ転げ落るなどという騒ぎでございます。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
といい捨て刀を持ったなり伊之助と一緒にバラ/″\/″\と表の方へ駆け出しましたから、八橋周馬は驚き、山田藤六もびっくり致しました。
お筆は嬉し涙にくれて見送って居りましたがうちへ帰って包を明けて見ますと古金こきんで四五十両、お筆はびっくりして四辺あたりを見廻し
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
文治の胸元に刺さりました矢に手を掛け、引起そうと致しまする其の手をむんずとつかんで起き上りますと、島人はびっくりして
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
独語ひとりごとを云ってる処へ、ばた/\と廊下を駈けて来てがたーり障子を開けて入る者が有るから、見ると小兼ゆえびっくりして
男「はっ……あーびっくりした、はあーえら魂消たまげやした、あゝおっかねえ……何かぽく/\くれえ物が居ると思ったが、こけえらはむじなの出る処だから」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と喜代松が岸へ上りますと、先程から此の葮簀張のとこにノソリと立って居たのは金重の弟子の恭太郎という馬鹿な男で、と見て喜代松はびっくり致し
手を突いて私へ頼むから、私もびっくりしたんだよ、本当に感心な事だって、当家うちにもうやって沢山かゝえもあるが
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
大方粂之助も此の事を知らずに谷中に居るに違いない、お前が行ってう/\と知らせたら、粂之助も定めてびっくりするだろうと思うから、お願いだが
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
両人は此のていを見てハッとばかりにびっくり致しましたが、逃げることもならず、唯うろ/\して居る所へ、平左衞門は雪洞ぼんぼりをズッとさしつけ、声をいからし。
と云う女の声にびっくり致して、市四郎が仰向あおむいて見ますと、崖の上からバラ/″\/″\とくしこうがいが落ちて来ました。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ソッと抜足ぬきあしをして自分の居間へ戻り、六連発銃を持来もちきたり、襖の間からう狙いを附けたから勝五郎はびっくりして
國「おやまアびっくりします、お母様かゝさま何をおっしゃいます、誰が其の様な事を云いましたか、少しも身に覚えのない事を云いかけられ、本当に恟り致しますわ」
子供はがつ/\してべているのを、多助は其の母の姿を見てびっくり致しましたが、此の乞食母子おやこは何者でございましょうか、次囘つぎまでおあずかりに致しましょう。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
というも構わず手元へ引寄せ、お賤の咽喉のどぶえへ鎌を当てプツリと刺し貫きましたからたまりません、お賤は悲鳴を揚げて七顛八倒の苦しみ、宗觀と音助はびっくりし
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
是から灯火あかりを点けて見るとびっくりしました。其処そこに倒れて居たのは幾百年と星霜を経ましたる古狸であった。
きゃっと云いましたからびっくりして机から落ちたとまでは覚えておりましたが、其の折何処か脾腹ひばらでも打ちましたか、それから先は夢のようでとんと解りません
花車はびっくりしたが、左の手に傘を持って居り、右の手は明いて居りましたが、おさえ付けられ困りました。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と云ってびっくりする、大抵な者は御用聞が御用と云う声を掛けるとペタペタとなるといいます。すぐに縛られて田町の番屋へ引かれる、仕様の無いものでございます。
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と云いながら這入って来ましたのは橋本幸三郎で、お瀧も松五郎も見てびっくり致し、顔の色を変えました。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
十分いて胸がなおったからせっせと新銭座の宅へ帰ってまいりましたので、女房はびっくりいたしました。
梅若七兵衛 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
三年あと沼田の下新田へ道連れの小平という胡麻灰ごまのはいを連れ、強談ゆすりに来たおかくばゝあで有りますからびっくり致し
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その手当に五十両の金を遣るというので、もう間違いはないと思って、自分から親子の名告をしてくれと迫った処、お柳はあらわれたと思い、びっくりして逃出そうとする
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
幸「どうも酷い事をしたものですねえ、そりゃアまア貴方もびっくりなすったろう、あとで勝手も知れず」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お救い下さいまして有難う存じます、只今貴所方あなたがたより此の船は新潟ゆきと承わって、びっくりするほど喜びました、此の上の御親切にうか私を新潟までお連れ下さいまし
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何しに来たとお叱りを受けはしないかと種々いろ/\と心配して居ると、六枚折の屏風を開いて這入って来たのが粥河圖書で、ずーっと前へ立ったから、お蘭はびっくりして起ると
梅「まことに呆れてしまって……おやまさん、さぞ腹が立ちましたろう、私もびっくりしました、山之助さんにも誠にお気の毒で、お前さん何をするのだよ、おやまさんにさ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と、ゆすぶるとたんにがらりと転げた音がする。飛び込んで見ると藤川庄三郎は何時いつの間にか合口を取って、立派に腹一文字に掻切って死んで居りました。びっくりしたのはお美代。
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
名告なのりながらぴったり振冠ふりかぶった時は、水司又市も驚いたの驚かないの、びっくり致して少しあと退さがる。往来の者も驚きました。人中ひとなかで始まったから、はあと皆あとさがりました。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
武家「ア…はアヽ……たれも居らんかと思ったので大きにびっくり致したが、なんだえ、女子おなごかえ」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まアどうもびっくりしますねえ、珊瑚樹さんごじゅ薄色うすいろで結構でございますねえ、私などはとても指す事は出来ませんねえ、これを頭へ指そうと思うと頭を見て笄が駈出してしまいますよ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と云いながら提灯の下からすかして見ると、道連の小平でございますゆえびっくり致しあと退さがる。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
少し加減が悪いとびっくりすると仰しゃるのは御孝心な事で感心でござる、それに見ず知らずのものに四十金恵んで下さるのは誠に有難うございます、お志ばかり頂戴いたしますが
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
家根屋やねやの棟梁清次は、おまきが清水助右衞門の娘だと申しましたにびっくりいたしまして
流石さすがの文治もびっくりして、思わず二三歩あと退さがり、刀のつかに手を掛けて寄らば突かんと身構えましたが、更に飛付く様子もなく、先に立ってうしろを振向き/\心ありげに奥深くまいります。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と袖にすがるを振切って、どん/\と引提ひっさげ刀で二階へあがりました時に、白島山平もお照もびっくり致して、よもや重二郎が来ようとは思わぬから、膝にもたれ掛って心配して、何う致そう
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)