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工
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たく
ふりがな文庫
“
工
(
たく
)” の例文
幸子の受けた印象では、昨夜の会は
工
(
たく
)
まずして自然に見合いをしたことになり、その結果は双方に取り上々の首尾であったと思えた。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
仕舞ひければ寶澤も
供
(
とも
)
して歸りぬ
彼盜取
(
かのぬすみとり
)
し毒藥は
竊
(
ひそか
)
に臺所の
縁
(
えん
)
の下の
土中
(
どちう
)
へ深く
埋
(
うづ
)
め折を
待
(
まつ
)
て用ひんと
工
(
たく
)
む心ぞ
怖
(
おそろ
)
しけれ
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
二一
吉備津
(
きびつ
)
の
神主
(
かんざね
)
香央造酒
(
かさだみき
)
が
女子
(
むすめ
)
は、うまれだち
秀麗
(
みやびやか
)
にて、父母にもよく仕へ、かつ歌をよみ、
二二
箏
(
こと
)
に
工
(
たく
)
みなり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
といって僕は
偽
(
いつわ
)
りを構えたり事を
工
(
たく
)
んだりするのは
大嫌
(
だいき
)
らいだから嘘は言って
遣
(
や
)
れず、ありのままの事情を述べて両親の反省を
乞
(
こ
)
うより外に仕方がない。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
その不自然な動作ゆえに却って名優が大まかに
工
(
たく
)
んだ芸をしてるようにも受取れるあの様子を、男女、二人、しかも手つなぎで揃って行くものですから
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
市※の若旦那もナカ/\
味
(
あじ
)
をやる。甘く
工
(
たく
)
んだ。僕は久子さんの件で菊太郎君の頭を押えていたが、今度は物の見事に押えられてしまった。しかし五分々々だ。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
押戴
(
おしいたゞ
)
いて
巻納
(
まきおさ
)
めもう
一盃
(
いっぱい
)
。と酒を飲みながら
如何
(
いか
)
なることをか
工
(
たく
)
むらん、続けて
三盃
(
さんばい
)
ばかり飲みました。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
かかる
工
(
たく
)
みのありぞとも、知らぬ澄は、己が名の、澄も、すまぬ心から、自づと詞も優しげに
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
朝起きるや否や、もう好かろうと思って、腹の近所へ神経をやって、
探
(
さぐ
)
りを入れて見ると、やッぱり変だ。何だか自分の胃が朝から自分を裏切ろうと
工
(
たく
)
んでいるような不安がある。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
狂歌は
卜養
(
ぼくよう
)
貞柳
(
ていりゅう
)
未得
(
みとく
)
らの以後その吟咏に
工
(
たく
)
みなるものなかりしが故か、一時やや
振
(
ふる
)
はず、
安永末年
(
あんえいばつねん
)
朱楽菅江
(
あけらかんこう
)
唐衣橘洲
(
からころもきっしゅう
)
四方赤良
(
よものあから
)
ら青年狂歌師の輩出するを待つて始めて再興せられたり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「信長公を安心の出来る味方と思っているかも知れぬが、そうとは限らない。折あらば殿を難儀の軍などさせ戦死をもなさるように
工
(
たく
)
まぬとも限らない。今度の御出陣
殊
(
こと
)
に大事である」
姉川合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
われはくさぐさの言葉を作り、説を
工
(
たく
)
み、わが胸の内に、異る
聲々
(
こゑ/″\
)
を集めたるが
頌歌
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
おそらく、何の
工
(
たく
)
みもなく、ただ支那帽に支那服のままで、いつもの通りに自然にあるいていたのは私一人だったろう。だが仮装といえばいえるであろう。
素面
(
すめん
)
といえば素面であろう。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
幾枝の「エポレット」が映射する光、
彫鏤
(
ちょうる
)
の
工
(
たく
)
みを尽したる「カミン」の火に寒さを忘れて使う宮女の扇のひらめきなどにて、この間
仏蘭西語
(
フランスご
)
を最も円滑に使うものはわれなるがゆえに
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
農家の人々から見たら、あるいは平凡な事柄であるかも知れぬが、こういう句は机上種浸の題を
按
(
あん
)
じただけで
拈出
(
ねんしゅつ
)
し得るものではない。実感より
得
(
え
)
来
(
きた
)
った、
工
(
たく
)
まざるところに妙味がある。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
ややもすれば喧嘩口論をして
犇
(
ひし
)
めくによって、その父、なにとぞしてこれらが仲を一味させたいといろいろ
工
(
たく
)
めども、
為
(
しょ
)
うずるようもなかったが、あるとき児ども
一処
(
いっしょ
)
に集まりいたとき
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかしそれ程の
工
(
たく
)
みをしなくても済むようになった。なぜというに、その晩から
後
(
のち
)
には、男の
烈
(
はげ
)
しい色情が、
暴風
(
あらし
)
の
凪
(
な
)
いだように鎮まったからである。男は女を、疲れを帯びた優しさで待遇した。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
眠けざましに、イシオピア人の真似でもして天の一揆を
工
(
たく
)
もうか。
対話
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
向き合っていて、何か
工
(
たく
)
んでいられるらしかった。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
ここでは親も狐、子も狐であって、しかも静と忠信狐とは主従のごとく書いてありながら、やはり見た眼は恋人同士の道行と
映
(
えい
)
ずるように
工
(
たく
)
まれている。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
申
懸
(
かけ
)
邪舌
(
じやぜつ
)
を以て罪科を
負
(
おは
)
せんと
工
(
たく
)
み右の金子は殘らず
酒喰
(
しゆしよく
)
遊興
(
いうきよう
)
に
遣捨
(
つかひすて
)
候
段
(
だん
)
重々
(
ぢう/\
)
不屆至極
(
ふとゞきしごく
)
に付町中
引廻
(
ひきまは
)
しの上獄門
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
工
(
たく
)
みは何よりそれがよい。それでは、お園の
旧夫
(
おつと
)
とやらを、お前が
巧手
(
たくみ
)
に取込んで。お園を
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
何でも
邪
(
よこしま
)
な心を起し、一
時
(
じ
)
にでかく儲けべいと思って人の物を貪るような事をしちゃアいけねえ、随分
大
(
でか
)
い
投機
(
やま
)
を
工
(
たく
)
んでやれば金が出来べいが、其の金は何うしても身に附いてはいねえ
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ところがこの晩はいつもと違っていた。鬼瓦と呼ばれて有名な
盤台面
(
ばんだいづら
)
が一向怖くない。父親の前へ出てこんなに平気でいられるのは初めてだった。心に
工
(
たく
)
むところがあると、兎角悪びれる。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「ほろ/\と椿こぼれて雨かすむ
巨勢
(
こぜ
)
の春野に雉子なくなり」という歌は、美しいことは美しいけれども、大和絵風の繊麗に
堕
(
だ
)
した傾がある。茎立つ麦に啼く雉子の
工
(
たく
)
まざるに
知
(
し
)
かぬような気がする。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
心掛候に付き
間
(
ま
)
も
隔
(
へだて
)
候へども伊豆守御役宅に於て天一坊樣御面部を
竊
(
ひそか
)
に拜し奉りしに御目と
頬
(
ほゝ
)
の間に
凶相
(
きようさう
)
あり
此
(
こ
)
は
存外
(
ぞんぐわい
)
なる
工
(
たく
)
みあるの相にて又
眼中
(
がんちう
)
に
赤筋
(
あかすぢ
)
有
(
あつ
)
て
瞳
(
ひとみ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
添寝の夢も、
団
(
まどか
)
には、結びかねたるこの頃に、深い
工
(
たく
)
みの紅葉狩。かりに行て来て、帰るさの、道はさながら鬼女の相。心の角を押隠す、繻珍の傘や、塗下駄に、しやなりしやなりとしなつくる。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
しかしそうと分ってみても、いみじくも此方の心を見抜いてお
虎子
(
まる
)
にこれだけの趣向を
凝
(
こ
)
らし、男を悩殺するようなことを
工
(
たく
)
むとは、何と云う機智に
長
(
た
)
けた女か、
矢張
(
やはり
)
彼女は尋常の人ではあり得ない
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
逝
(
ゆ
)
く春を詠歎する心持を
工
(
たく
)
まずに現わしていた。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
工
常用漢字
小2
部首:⼯
3画
“工”を含む語句
工場
工合
画工
工夫
細工
大工
勧工場
石工
竣工
鍛工
工匠
工廠
蝋細工
職工
工事
寄木細工
砲兵工廠
工人
腹工合
女工
...