しうと)” の例文
取ても卅二歳少々ちと婆々ばゝすぎますけれども其代りしうと厄介やくかいも子供もなくうちは其女獨りにて若御内儀おかみさんに成ならば其こそ/\貞女ていぢよ御亭主ごていしゆ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その間も茶の間の行燈のまはりでは、しうとのお百と、嫁のお路とが、向ひ合つて縫物を続けてゐる。太郎はもう寝かせたのであらう。
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
先づ、眞太郎さんの姉さんで、二十八になるといふ出戻りのお清さん、しうとと折合ひが惡くて出たといふ、恐ろしく氣の強い人。
自分じぶん内職ないしよくかね嫁入衣裳よめいりいしよう調とゝのへたむすめもなく実家さとかへつてたのを何故なぜかとくと先方さきしうと内職ないしよくをさせないからとのことださうだ(二十日)
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
しうととも折れ合ひませんのは勿論、私がゐては餘計者のやうに云はれますので、私は里へ戻つて參りましたが、ここでも繼母はゝとはうまく參りませんでした。
多摩川 (旧字旧仮名) / 林芙美子(著)
おたねは同情したやうに云つたが、最早田舍のしうとの話など立ち入つて訊かうとするほどの興はなかつた。
母と子 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
是れが松島さんの奥様おくさんになれつて云ふのなら野暮な軍人の、おまけに昔気質むかしかたぎしうとまであるツてえから、少こし考へものなんだが、おめえ、妾なら気楽なもんだあネ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
しうと微笑ほゝゑみて、とききて跪坐ついゐたるをんなかへりみてふ、おまへをしへておげと。よめ櫛卷くしまきにして端坐たんざして、すなは攻守こうしゆ奪救だつきう防殺ばうさつはふしめす。積薪せきしんならて、あめしたくわんたり。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一人の男ふところよりをいだしてしうとにわたしければ、かなしみよろこび両行りやうかうなみだをおとしけるとぞ。
ちやうど隣村へ嫁入つてゐる姉の眼が少し悪くてしうとの小言の種になつてゐた際で、眼病が一家の疾のごと断定されはしまいかとのおそれから、母は私の伊達だて眼鏡を嫌ひ厭味いやみのありつたけを言つたが
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
よめ先手せんてゆ。いはく、ひがしの五からはじめてみなみの九のいしと、しうと言下げんかおうじて、ひがしの五とみなみの十二と、やゝありてよめこゑ西にしの八ツからみなみの十へ、しうといさゝか猶豫ためらはず、西にしの九とみなみの十へ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしどんなに嬉しかつたか知れませんよ、お目に懸つた方でも何でも無いんでせう、けどもよねちやんのおしうとさんだと思ひますとネ、うやら米ちやんにでも逢ふやうな気がするんですもの
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
くてたがひあひだ考案かうあんするひまありき。さすがに斯道しだう達人たつじんとて、積薪せきしんみゝすまして、ひそかにたゝかひ聞居きゝゐたり。とき四更しかういたりて、しうといはく、おまへ、おまけだね、つたが九目くもくだけと。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)