好意かうい)” の例文
さいはひ非常ひじやうなる同情どうじやう好意かういもつて一億圓おくゑんのクレデイツトの設定せつていをすることが出來できたことは、日本にほん財界ざいかいつて此上このうへもなき次第しだいである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
翌日よくじつ別當べつたう好意かういで、玄竹げんちく藥箱くすりばこあふひもんいた兩掛りやうがけにをさめ、『多田院御用ただのゐんごよう』のふだを、兩掛りやうがけけのまへはうふたててもらつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
同時どうじに、いままで世間せけんむかつて、積極的せききよくてき好意かうい親切しんせつ要求えうきうする勇氣ゆうきたなかつたかれは、突然とつぜんこの主人しゆじんまをいでつてすこ間誤まごつくくらゐおどろいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
多少たせう私達に好意かういを持つてくれる人達ひとたちは、に/\氣遣きづかひの眼をもつて私達にのぞみました。それは私達の眞意しんいなかつたからなのでした。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
わたしは、好意かうい感謝かんしやしながら、ちおもりのしたよくぢて、やせたつゑをついて、うつむいて歩行あるした。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
水谷氏みづたにし非常ひじやう兒島家こじまけ好意かういよろこび、一人いちにんもつ此聖跡このせいせきらすべきでいとして、斯道しだうのオーソリチーたる坪井博士つぼゐはかせ、それから華族人類學會くわぞくじんるゐがくくわい牛耳ぎうじらるゝ二絛公爵にでうこうしやく通知つうち
が、親切しんせつ車夫くるまやは、そのしんずるものにつて、たのまれたきやくわたすまでは、建場々々たてば/\を、幾度いくたび物色ぶつしよくするのが好意かういであつた。で、十里じふり十五里じふごり大抵たいていく。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宗助そうすけ折角せつかく好意かうい辭退じたいしないわけかなかつた。其代そのかはりに、失禮しつれいですがと前置まへおきをして、主人しゆじんこの屏風びやうぶれるについて、ほど金額きんがくはらつたかをたづねた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「あゝ/\、御持おもちなさいとも。なんなら使つかひたせてげませう」と叔母をば好意かういからまをえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はツ/\とやつして、漫々まん/\たるおほきなかはの——それは庄川しやうかはであらうとおもふ——はしで、がつかりしてよわつてところを、船頭せんどうなかば好意かういせられて、ながれくだりに伏木ふしきわたつた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)