天国てんごく)” の例文
旧字:天國
それからまもなくして、聖母せいぼマリアはたびからかえってきました。マリアは女の子をよんで、天国てんごくのかぎをかえすようにいいました。
みんなは自分じぶんたちがいきれぬほど収穫しゅうかくのあるのをよろこんでいます。そのさまは、とてもこの天国てんごく楽園らくえんさまどころではありません。
消えた美しい不思議なにじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
ついさっきまで、じぶんは、天国てんごくにいるものとばかり思っていたのですからね。ガンの隊長たいちょうアッカは、全速力ぜんそくりょくで空高くいあがりました。
しかし水責みずぜめ火責ひぜめに遇っても、彼等の決心は動かなかった。たとい皮肉はただれるにしても、はらいそ(天国てんごく)の門へはいるのは、もう一息の辛抱しんぼうである。
おぎん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
おまけにおいしい果物くだもの菓子かしまで食べられるのだから、まるで天国てんごくのようだったよ。からだもあたたまり、はらごしらえもできると、にわかにねむくなったんだ。
「お金を儲けた。儲ける為めの儲けの金持、天国てんごくへ行けない。貧しきの、神を信ずる。それ豪い」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
忽然として会堂チヤーチの戸がいた。なかからひとる。人は天国てんごくから浮世うきよへ帰る。美禰子は終りから四番目であつた。しまの吾妻コートをて、俯向うつむいて、あがくちの階段をりてた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
地上ちじょうにありて最大たりしものも、天国てんごくにありては恐らくは最小なるものならん」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
人間が死んで地獄ぢごくくとか、ぜんしたるもの極楽ごくらく昇天しようてんするとか、宗教しうけうはうでは天国てんごくく、悪国あくこくおちるとふ、何方どちらが本当だか円朝ゑんてうにはわかりませんが、地獄ぢごくからどうせ郵便のとゞいたためしもなし
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
くびつりだいにのぼったどろぼうのようにな。おまえは指を長くして、ひとの布地ぬのじをはさみとったではないか。おまえは、天国てんごくにはいれはしない。
そして、はははあの、よるというもののない天国てんごくへいって、じっと、自分じぶん子供こどもたちがどうしてらしているかとていなさることとおもっている。
お母さまは太陽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こんご、おまえは天国てんごくにいることはならん。門のそとへでていきなさい。そのうえで、どっちへいくかよく考えてみなさい。
今日きょうは、そらがよくれて、それにかぜさむいから、つい天国てんごくこいしくなって、んでいました。」と、天使てんしは、こたえました。
町の天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ですから、天国てんごくのたのしかったことや、かわいらしい天使てんしたちとあそんだことを思いだしますと、そのたびに、女の子はさめざめとくのでした。
「なんで、あのこおったつめたいしたなどにいるものか。いまごろは、かみさまにつれられて天国てんごくへいってあそんでいる。」
星の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、みじかかったけれど、このなかてきたうえは、苦行くぎょうをしなければ、ふたたび天国てんごくかえることはできません。
星の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
マリアはおきさきさまの手をとって、天国てんごくにつれていき、お妃さまに上のふたりの子どもを見せてやりました。
人間にんげんは、天国てんごくへいってみることはできませんが、天使てんしは、人間にんげん世界せかいへ、りてくることはできるのでありました。
海からきた使い (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、ものめずらしさから、天国てんごくのすみずみを歩きまわって、あちこちを見物けんぶつしました。
人間にんげんが、天国てんごくのようすをりたいとおもうように、天使てんし子供こどもらはどうかして、下界げかい人間にんげんは、どんなような生活せいかつをしているかりたいとおもうのであります。
海からきた使い (新字新仮名) / 小川未明(著)
ごちそうを食べおわると、かわいい、きれいなふたつのベッドに白い敷布しきふをかけてもらって、ふたりはそのなかに横になりました。ふたりは、まるで天国てんごくにでもいるような気持ちでした。
それほどまでに、下界げかいへいってみたいなら、やってあげないこともないが、しかし、一いったなら、三ねんは、辛抱しんぼうしてこの天国てんごくかえってきてはなりません。
海からきた使い (新字新仮名) / 小川未明(著)
天国てんごくから見まもっていて、おまえのそばをはなれませんよ。
そしてまた、おまえはもう天国てんごくへきてもいいとおまねきになったら、よろこんでおつきさまのところへゆく。
酒屋のワン公 (新字新仮名) / 小川未明(著)
どこをましても、あたりは、灰色はいいろゆきにおおわれていました。そして、あの天国てんごくこえるであろうような、よい音色ねいろも、またかがやかしいかりもさしていませんでした。
星の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
人間にんげんは、このごろいろいろのはなを、自分じぶんたちで変化へんかをさせるじゅつおぼえたので、みごとにかしています。あんなうつくしいはなは、この天国てんごくにきましても容易よういることはできません。
消えた美しい不思議なにじ (新字新仮名) / 小川未明(著)