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向後
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こうご
ふりがな文庫
“
向後
(
こうご
)” の例文
ただならぬ御苦戦の折、しばしなりと、勤めを欠き、何かと御用も怠っておりましたが、
向後
(
こうご
)
はお心安く思し召しくださりますように
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
向後
(
こうご
)
、他家へは一切奉公いたすまじき
旨
(
むね
)
、誓を立てて御暇をねがい、つづいて物頭四百五十石、荻田甚五兵衛、寄合五百石、
平
(
たいら
)
左衛門
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「されば、
恵心
(
えしん
)
の
御房
(
ごぼう
)
も、念仏読経
四威儀
(
しいぎ
)
を破る事なかれと仰せられた。翁の
果報
(
かほう
)
は、やがて御房の
堕獄
(
だごく
)
の悪趣と思召され、
向後
(
こうご
)
は……」
道祖問答
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
源「ぶち殺してもいゝ奴だが、命だけは助けてくれる、
向後
(
こうご
)
左様の事を言うと助けては置かぬぞ、お國どの
私
(
わたくし
)
はもう御当家へは参りません」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「しかし御亡くなりになる前、島田とは絶交だから、
向後
(
こうご
)
一切
付合
(
つきあい
)
をしちゃならないって
仰
(
おっ
)
しゃったそうじゃありませんか」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
渡ろうとしたればこそ、このような目にも会うたのじゃ。その了見、そちも
向後
(
こうご
)
入れ替えたらよかろうぞ。表に駕籠が待っている筈じゃ。早う行けッ
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
最早有志の士も天下に意なく、山野に
隠遁
(
いんとん
)
躬耕
(
きゅうこう
)
し、道を守るより
向後
(
こうご
)
は
致方之無
(
いたしかたこれな
)
しと存候。老兄以て
何如
(
いかん
)
と為す。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
向後
(
こうご
)
大きな発展を約束されているだけに、その創始者の岡本綺堂先生の業績は永く記念されていいと思う。
随筆銭形平次:14 捕物帖談義
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
身の程知らぬ『何故』は、
向後
(
こうご
)
一切打捨てることじゃ。これをよそにして、爾の救いはないぞ。さて、今年の秋、この
流沙河
(
りゅうさが
)
を東から西へと横切る三人の僧があろう。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
手づから
弥勒菩薩
(
みろくぼさつ
)
の座像を
刻
(
きざ
)
みて其の胎内に
彼
(
か
)
の絵巻物を納め、吾家の仏壇の本尊に安置し、
向後
(
こうご
)
この仏壇の奉仕と、此の巻物の披見は、此の家の女人のみを以て
仕
(
つかまつ
)
る可し。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
改まる年の初めの今日の日に
向後
(
こうご
)
百年の将来のため災害防禦に関する一学究の痴人の夢のような無理な望みを腹一杯に述べてみるのも無用ではないであろうと思った次第である。
新春偶語
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
万石
(
まんごく
)
以上の面々ならびに
交代寄合
(
こうたいよりあい
)
、参覲の
年割
(
ねんわ
)
り御猶予成し下され
候
(
そうろう
)
旨
(
むね
)
、去々
戌年
(
いぬどし
)
仰せ
出
(
いだ
)
され候ところ、深き
思
(
おぼ
)
し召しもあらせられ候につき、
向後
(
こうご
)
は
前々
(
まえまえ
)
お定めの割合に
相心得
(
あいこころえ
)
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「どうぞまっぴら御免なすって、
向後
(
こうご
)
きっと気を着けまする。へいへい」
夜行巡査
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「越州殿はお人が悪い。こりゃすこし、
向後
(
こうご
)
口を戒めると致そう」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
大事の
曙光
(
しょこう
)
に一
抹
(
まつ
)
の黒き不安を
捺
(
な
)
すってしまった! もし
向後
(
こうご
)
渭山
(
いやま
)
の城に妖異のある場合はいよいよ家中の者に不吉を予感さするであろう。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だからして世界
向後
(
こうご
)
の
趨勢
(
すうせい
)
は自殺者が増加して、その自殺者が皆独創的な方法をもってこの世を去るに違ない
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「参るか。望まぬ殺生なれど
向後
(
こうご
)
の見せしめじゃ。ゆるゆるとこの向う傷に物を言わせてつかわそうぞ」
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
懇願仕候御謙遜の御手紙なりしが決して貴兄ならば成功せざるはずなしと確信仕候殊に御自身教鞭を執らるるのみならずその上
向後
(
こうご
)
の発展上一種の Elan を与へ奮心を
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
母が食を止めて餓死するというまでの
強意見
(
こわいけん
)
、
向後
(
こうご
)
喧嘩口論を致し、
或
(
あるい
)
は抜身の中へ割って這入り、傷を受けることがあらば母の身体へ傷を付けたるも同じである、以後慎め
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ウム。
塙代
(
ばんだい
)
与九郎奴は切腹も許さぬぞ。万一切腹しおったらその方の落度ぞ。不埒な奴じゃ。黒田武士の名折れじゃ。
屹度
(
きっと
)
申付けて
向後
(
こうご
)
の見せしめにせい。心得たか。……立てッ……」
名君忠之
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「よろしゅうござりまする、しかと
向後
(
こうご
)
は慎むでございましょう。」
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
嫁入前の大事な娘だ、そんな狐の憑いた口で、
向後
(
こうご
)
妙の名も言うな。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
集まった諸洞の大将連は、その風俗服装、武器馬具、ほとんど
区々
(
まちまち
)
で、
怪異絢爛
(
かいいけんらん
)
を極めた。孟獲はその中に立って、
向後
(
こうご
)
の作戦方針をのべた。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
向後
(
こうご
)
もし主人が
気狂
(
きちがい
)
について考える事があるとすれば、もう一
返
(
ぺん
)
出直して頭から考え始めなければならぬ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
其の代り事成就なせば
向後
(
こうご
)
御出入頭
(
おでいりがしら
)
に取立てお扶持も下さる、
就
(
つい
)
てはあゝいう処へ置きたくないから、広小路あたりへ
五間々口
(
ごけんまぐち
)
ぐらいの立派な店を出し、奉公人を
多人数
(
たにんず
)
使って
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
門人の浜田寅之助は、ただ今あちらで、破門をいい渡し、
向後
(
こうご
)
、心を改めて修行いたすよう、よく
訓誡
(
くんかい
)
しておきました。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その一枚には百円受取った事と、
向後
(
こうご
)
一切の関係を断つという事が古風な文句で書いてあった。
手蹟
(
て
)
は誰のとも判断が付かなかったが、島田の印は確かに
捺
(
お
)
してあった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
斯様な
邪
(
よこしま
)
非道のことに相成りましたが、
向後
(
こうご
)
は
速
(
すみや
)
かに善心に立返りますから、幾重にも
御憐愍
(
ごれんみん
)
をもちましてお
見遁
(
みのが
)
しを願います、
苟
(
いやしく
)
も侍たるものが、
何程
(
いかほど
)
零落したとて縄目にかゝりましては
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「いのちだけは助けてやる。しかし
向後
(
こうご
)
のこともあるから、その縄目は、ひとりでに解ける時までそうしておく」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これを許すとつい御迷惑になるような事が出来ますが、これは是非御容赦を願いたいと思います。その代り
向後
(
こうご
)
はきっと表門から廻って御断りを致した上で取らせますから
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
斬るの
殴
(
は
)
るのッておどしやアがッて
畜生
(
ちきしょう
)
め、此の村には己の親類があるから、
向後
(
こうご
)
暴
(
あら
)
すときかねえぞ、てめえの
面
(
つら
)
を見覚えのために印を附けて置こう、
刺青
(
ほりもの
)
をして置いて遣るから然う思え、重さん
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
善信はまだ年も若く、年来、そちとは
有縁
(
うえん
)
の間がら、また、師と頼んでわしにもまさる人物であるゆえ、善信について、
向後
(
こうご
)
の導きと教えをうけたがよい
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
是非探究して見なければならん。それにしても
昨日
(
きのう
)
あの女のあとを付けなかったのは残念だ。もし
向後
(
こうご
)
あの女に逢う事が出来ないとするとこの事件は
判然
(
はんぜん
)
と分りそうにもない。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一其の方父織江儀御用に付き小梅中屋敷へ
罷
(
まか
)
り越し帰宅の途中何者とも
不知
(
しれず
)
切害
被致候段
(
いたされそろだん
)
不覚悟の至りに
被思召
(
おぼしめされ
)
無余儀
(
よぎなく
)
永
(
なが
)
の
御暇
(
おいとま
)
差出候
(
さしだしそうろう
)
上は
向後
(
こうご
)
江戸お屋敷は
不及申
(
もうすにおよばず
)
御領分迄立廻り申さゞる旨
被仰出候事
(
おおせいでられそろこと
)
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
向後
(
こうご
)
父の怒に触れて、万一金銭上の関係が絶えるとすれば、彼は
厭
(
いや
)
でも
金剛石
(
ダイヤモンド
)
を放り出して、
馬鈴薯
(
ポテトー
)
に
噛
(
かじ
)
り付かなければならない。そうしてその
償
(
つぐない
)
には自然の愛が残るだけである。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
向後
(
こうご
)
あの居候殿の
放縦
(
ほうじゅう
)
も少し慎しむような方針をとるべく、
上
(
かみ
)
にも御意見しなければならぬ——と啓之助は、山番たちの前に息まいて、それぞれの指図を与え、納屋蔵の外へ追いやった。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どうぞ御遠慮なく何でもみんな云って下さい。私の
向後
(
こうご
)
の心得にもなる事ですから」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
加えれば恩寵に
狎
(
な
)
れて、身のほどもわきまえずにどこまでもツケ上がりおる!
向後
(
こうご
)
は予の室へ、一歩でもはいると承知せぬぞ。いや、沙汰あるまで自邸で謹慎しておれ。——退がらぬかっ。これ、誰かある、呂布を
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何も書く材料のない彼は仕方なしに筆を執った。そうして今度離縁になったについては、
向後
(
こうご
)
御互に不義理不人情な事はしたくないものだという意味を
僅
(
わずか
)
二行
余
(
あまり
)
に
綴
(
つづ
)
って先方へ渡した。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いや大事なのは
向後
(
こうご
)
の約だ。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よしこれから三千代の顔を見るにしたところで、——また長い間見ずにいる気はなかったが、——二人の
向後
(
こうご
)
取るべき方針に就て云えば、当分は一歩も現在状態より踏み出す了見は持たなかった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれどももし僕の高木に対する
嫉妬
(
しっと
)
がある不可思議の径路を取って、
向後
(
こうご
)
今の数十倍に
烈
(
はげ
)
しく身を焼くならどうだろうと僕は考えた。しかし僕はその時の自分を自分で想像する事ができなかった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“向後”の意味
《名詞・形容動詞》
向 後 (きょうご, きょうこう, こうご)
今後。
(出典:Wiktionary)
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
後
常用漢字
小2
部首:⼻
9画
“向”で始まる語句
向
向日葵
向島
向側
向脛
向背
向直
向合
向柳原
向山