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出立
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いでた
ふりがな文庫
“
出立
(
いでた
)” の例文
あはれ
新婚
(
しんこん
)
の
式
(
しき
)
を
擧
(
あ
)
げて、
一年
(
ひとゝせ
)
の
衾
(
ふすま
)
暖
(
あたゝ
)
かならず、
戰地
(
せんち
)
に
向
(
むか
)
つて
出立
(
いでた
)
つた
折
(
をり
)
には、
忍
(
しの
)
んで
泣
(
な
)
かなかつたのも、
嬉涙
(
うれしなみだ
)
に
暮
(
く
)
れたのであつた。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
真女児は、「我身
稚
(
おさなき
)
より、人おおき所、
或
(
あるい
)
は道の
長手
(
ながて
)
をあゆみては、必ず気のぼりてくるしき
病
(
やまい
)
あれば、
従駕
(
とも
)
にぞ
出立
(
いでた
)
ちはべらぬぞいと
憂
(
うれた
)
けれ」
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
山朸のさきには
鎌
(
かま
)
をゆわえ、それにオコノコという長い荷繩をそえてかたげているのが、
作男
(
さくおとこ
)
や
小百姓
(
こびゃくしょう
)
の常の
出立
(
いでた
)
ちであったともいわれている。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
われ等は拿破里を
出立
(
いでた
)
ちたり。葡萄栽ゑたる丘陵は見る/\烟雲の間に沒せり。一行は羅馬に向ひて行くこと四日なりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
みんな
出立
(
いでた
)
ちは
甲斐々々
(
かいがい
)
しく、ラウドスピイカアも、「これより、オリムピック・クルウの
独漕
(
どくそう
)
があります」と
華々
(
はなばな
)
しく放送してくれたのでしたが
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
▼ もっと見る
我は汝の淑女がヴィルジリオを
出立
(
いでた
)
ゝしめし處にありて、四千三百二年の間この
集會
(
つどひ
)
を慕ひたり 一一八—一二〇
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
いわゆる黒鴨
出立
(
いでた
)
ちであった。体のこなし、声の調子、どうでも年は三十七八、そういう武士が立っていた。
前記天満焼
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
折から通りかゝった二人の女性は殊に大胆な新型のワンピースに
出立
(
いでた
)
って官憲の許す限りを露出していた。それが新太郎君にニッコリと目礼して行き過ぎた。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
楠公
(
なんこう
)
へでも行くべしとて
出立
(
いでた
)
たんとせしがまてしばし余は名古屋にて一泊すれども岡崎氏は直行なれば手荷物はやはり別にすべしとて再び切符の切り換えを求む。
東上記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
刺青
(
ほりもの
)
だらけの
舁夫
(
かごや
)
が三枚で飛ばして参り、路地口へ駕籠を
下
(
おろ
)
し、あおりを揚げると中から出たのはお久で、
昨日
(
きのう
)
に変る
今日
(
きょう
)
の
出立
(
いでた
)
ち、立派になって駕籠の中より出ながら
文七元結
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そこで在京日数およそ二百日の後、余は空しくまた京都に逆戻りと決し、六月何日に根岸庵を出て木曾路を取ることに
極
(
き
)
めた。古びた洋服に菅笠、
草鞋
(
わらじ
)
、
脚絆
(
きゃはん
)
という
出立
(
いでた
)
ち。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
しかし東京の大火の煙は
田端
(
たばた
)
の空さへ
濁
(
にご
)
らせてゐる。野口君もけふは
元禄袖
(
げんろくそで
)
の
紗
(
しや
)
の羽織などは着用してゐない。
何
(
なん
)
だか火事
頭巾
(
づきん
)
の如きものに
雲龍
(
うんりゆう
)
の
刺
(
さし
)
つ
子
(
こ
)
と云ふ
出立
(
いでた
)
ちである。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
近い道を
物詣
(
ものまい
)
りにでも歩くのなら、ふさわしくも見えそうな一群れであるが、
笠
(
かさ
)
やら
杖
(
つえ
)
やらかいがいしい
出立
(
いでた
)
ちをしているのが、誰の目にも珍らしく、また気の毒に感ぜられるのである。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
これより
出立
(
いでた
)
ちまする。父君の御遺訓、母うえが日常の御
庭訓
(
ていきん
)
、
御旗
(
みはた
)
に生かして
翻
(
ひるがえ
)
す日は今です。ふたたび、お膝の許に、正行が身、生きては還りますまい。長いお
愛
(
いつく
)
しみ、死してもわすれませぬ。
日本名婦伝:大楠公夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
相川青年は、今夜は
態
(
わざ
)
と制服をさけて、黒っぽい背広に黒ソフトという
出立
(
いでた
)
ちであったが、その黒い影が、公園を通りぬけ、桜木町から谷中の墓地へと、さも刑事探偵といった
恰好
(
かっこう
)
で、歩いて行った。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
本望を遂げるのは、今からではどうしても夕刻だ、
或
(
ある
)
いは夜に入るかも知れないと思われた。しかし急いで七日町を出た。慎九郎もきいも、身軽に
出立
(
いでた
)
っていた、植木才蔵も助太刀の用意をしていた。
討たせてやらぬ敵討
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
岡山公園なる
観楓閣
(
かんぷうかく
)
指して
出立
(
いでた
)
つ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
これが出来上った時、しかも玉虫色の
皆絹裏
(
かいきうら
)
がサヤサヤと
四辺
(
あたり
)
を払って、と、
出立
(
いでた
)
った処は
出来
(
でか
)
したが、懐中
空
(
むな
)
しゅうして
行処
(
ゆくところ
)
がない。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かくてかの父たり師たりし者は己が戀人及びはや
卑
(
いや
)
しき
紐
(
ひも
)
を帶とせし
家族
(
やから
)
とともに
出立
(
いでた
)
てり 八五—八七
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
その証拠には同時代の人物——たとへば大阪五奉行の一人、
長束大蔵
(
ながつかおほくら
)
の
少輔正家
(
せうゆうまさいへ
)
を岩見重太郎と比べて見るが好い。武者修業の
出立
(
いでた
)
ちをした重太郎の姿はありありと眼の前に浮んで来る。
僻見
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それより相川の養子となり、其の筋へ養子の届をして、
一人前
(
ひとりまえ
)
の立派な侍に
出立
(
いでた
)
って往来すれば、途中で人足などに馬鹿にもされず
宜
(
よ
)
かろうから、
何
(
ど
)
うぞ家内だけの祝言を聞済んでください
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
台所に
杯盤
(
はいばん
)
の音、戸口に見送りの人声、はや
出立
(
いでた
)
たんと吸物の前にすわれば床の間の
三宝
(
さんぽう
)
に
枳殻
(
からたち
)
飾りし親の情先ず
有難
(
ありがた
)
く、この枳殻誤って足にかけたれば取りかえてよと云う人の情もうれし。盃一順。
東上記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
其詞つきの、唯だ
假初
(
かりそめ
)
の旅路
抔
(
など
)
に
出立
(
いでた
)
ち給ふにかはらぬぞ、なか/\に哀なりける。アントニオに
暇乞
(
いとまごひ
)
せずやといふは、フアビアニ公子の聲なり。坐上にて、獨り此君のみは面に憂の色を帶び給へり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
何と、
足許
(
あしもと
)
の草へ鎌首が出たように、立すくみになったのは、
薩摩絣
(
さつまがすり
)
の
単衣
(
ひとえ
)
、
藍鼠
(
あいねずみ
)
無地の
絽
(
ろ
)
の羽織で、身軽に
出立
(
いでた
)
った、都会かららしい、旅の客。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其の昔、駕籠訴をいたします者は
何
(
いず
)
れも身軽に
出立
(
いでた
)
ちまして、お駕籠脇の
隙
(
すき
)
を
窺
(
うかゞ
)
い、右の手に願書を捧げ、
左手
(
ゆんで
)
でお駕籠に
縋
(
すが
)
るのでございますから、時に依ると簾を
突破
(
つきやぶ
)
ることがございます。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
すらすらと歩を移し、露を払った
篠懸
(
すずかけ
)
や、
兜巾
(
ときん
)
の
装
(
よそおい
)
は、弁慶よりも、
判官
(
ほうがん
)
に、むしろ新中納言が山伏に
出立
(
いでた
)
った
凄味
(
すごみ
)
があって、且つ色白に美しい。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
朝から見物に出掛けた……この初阪とは、伝え聞く、富士、浅間、大山、
筑波
(
つくば
)
、はじめて、
出立
(
いでた
)
つを初山と
称
(
とな
)
うるに
傚
(
なら
)
って、大阪の地へ
初見参
(
ういけんざん
)
という意味である。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
出立
(
いでた
)
つ
時
(
とき
)
、
私
(
わたし
)
は、
納戸
(
なんど
)
のその
鍋
(
なべ
)
をさしてきいた。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“出立”の意味
《名詞》
(旅などに)出発すること。
(出典:Wiktionary)
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
立
常用漢字
小1
部首:⽴
5画
“出立”で始まる語句
出立前
出立点
出立後