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交叉
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こうさ
ふりがな文庫
“
交叉
(
こうさ
)” の例文
金蓮はそのしなやかな両の腕を柳の枝のように
交叉
(
こうさ
)
して、
初見
(
しょけん
)
の
拝
(
はい
)
をしながら、濃い
睫毛
(
まつげ
)
の
翳
(
かげ
)
でチラと武松の全姿を見るふうだった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
俗
(
よ
)
に言伝える。
天狗
(
てんぐ
)
、
狗賓
(
ぐひん
)
が
棲
(
す
)
む、巨樹、大木は、その幹の
肢
(
また
)
、枝の
交叉
(
こうさ
)
の
一所
(
ひとところ
)
、
氈
(
せん
)
を伸べ、床を磨いたごとく、清く滑かである。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あちこちに、メガフォンの太い声が
交叉
(
こうさ
)
して、布を被せた警戒灯が、ブラブラと左右に揺れていた。すべて秩序正しい警戒ぶりだった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
すなわち無尽の縁起的関係にあるわけです。したがって現在の私どもお互いは、無限の空間と永遠の時間との
交叉
(
こうさ
)
点に立っているわけです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
終わりに、三つの小道が
交叉
(
こうさ
)
している所に出て、彼は止まった。月が出ていた。彼は遠くに目をやって、最後にも一度叫んだ。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
▼ もっと見る
仰ぐと、
椎
(
しい
)
だの、
樫
(
かし
)
だのの大木の枝が、頭上に竜蛇の如く
交叉
(
こうさ
)
して、それを仰ぐさえ、自分の心を暗いものにしてしまいます。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そこで一つの部落を訪ねるごとに光の見えた方向を指示してもらって、それを地図に記入して行くと、多くの線が釜石湾口あたりで
交叉
(
こうさ
)
する。
地震なまず
(新字新仮名)
/
武者金吉
(著)
己は粗い格子の
縞羅紗
(
しまらしゃ
)
のジャケツとずぼんとを着た男の、長い脚を
交叉
(
こうさ
)
させて、安楽
椅子
(
いす
)
に仰向けに寝たように腰を掛けて新聞を読んでいるのを見た。
沈黙の塔
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
鹿島氏は
本郷
(
ほんごう
)
三丁目の
交叉
(
こうさ
)
点に近く住んでいるということを聞き、また写真屋を開業していて薬が爆発して
火傷
(
やけど
)
をしたというような記事が新聞に載り
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
壁が崩れ落ちたと思うところに、
日章旗
(
にっしょうき
)
を
交叉
(
こうさ
)
した間に
勘亭流
(
かんていりゅう
)
で「祝開店、佐渡屋さん」と書いたびらをつるして隠してあるような六畳の部屋だった。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
まるで
樹
(
き
)
と樹の枝を
交叉
(
こうさ
)
した林の中へでも入って行くような内部の構造まで彼には親しみのあるものと成っていた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「すももは
墻壁仕立
(
しょうへきじたて
)
です。ダイアモンドです。
枝
(
えだ
)
がななめに
交叉
(
こうさ
)
します。一中隊はありますよ。
義勇
(
ぎゆう
)
中隊です。」
チュウリップの幻術
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
彼が、かごの中で、激しく身じろぎしたとき、ぐうっと、通して来る刃は、多くて四本——その四本の
刀尖
(
とうせん
)
の
交叉
(
こうさ
)
する一点を中心に四ツの空間があるのだった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
翼を
交叉
(
こうさ
)
させている一羽の大きな鳥のような姿をした山、——何処にあるのだか分からないけれども、なんだかそんな姿をした山が何処かにありそうな気がする
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
その細い枝が
遥
(
はる
)
か頭の上で
交叉
(
こうさ
)
するほど
繁
(
しげ
)
く両側から出ているのに、自分の通る所は存外明るいのを奇妙に思って、千代子は折々頭を上げては、遠い空を
眺
(
なが
)
めた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自動車が四丁目の
交叉
(
こうさ
)
点にくると、ジリ、ジリ、ジリとベルが鳴って、向う側の電柱に赤が出た。それで私の乗っている自動車は停車線のところで停まってしまった。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
でもね、かれが文芸復興期と変革期との
交叉
(
こうさ
)
する辻に立って法を説いたということは争われない。復興期の人としては、美の伝統者でもあり、美の発見者でもあった。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
路傍の
車前
(
おおばこ
)
の
茎
(
くき
)
を
折曲
(
おりま
)
げて
引懸
(
ひっか
)
け
引張
(
ひっぱ
)
り、または
菫
(
すみれ
)
の花の馬の首のようになった部分を
交叉
(
こうさ
)
して、むしろその首のたやすくもげて落ちるのを、笑い興ずるようになっているが
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
スピッツバーゲンの北西隅にあるアムステルダム島は、わが右舷のかたに当たって見える——島は火山岩の
凹凸
(
おうとつ
)
線をなし、氷河を現出している白い地層線と
交叉
(
こうさ
)
しているのである。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
ほかの者たちが
将棋
(
チェス
)
に打ち興じている時、伯爵はひそかに室の一隅の
螺旋
(
らせん
)
階段を下って、——この通路が地下でキビラ石むき出しの
隧道
(
トンネル
)
になって、二つ三つの横の通路と
交叉
(
こうさ
)
して
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
まず
女竹
(
おんなだけ
)
を見つけて来て、節を揃えて一尺二寸に切った物を三本作り、それを
交叉
(
こうさ
)
して中心を麻糸で
括
(
くく
)
って、上に
飯櫃
(
めしびつ
)
の蓋又は盆を伏せ、三人以上の人数で手をその上へ軽く載せて
狐狗狸の話
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
仙台堀と大横川との二流が
交叉
(
こうさ
)
するあたりには、更にこれらの運河から水を引入れた貯材池がそこ
此処
(
ここ
)
にひろがっていて、セメントづくりの新しい橋は大小幾筋となく錯雑している。
深川の散歩
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
低質粘土の重い地層にかためられ、上には樹林の根が
交叉
(
こうさ
)
していた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
見ると、べつな一列が横から出て来て、道誉の列の先頭と
交叉
(
こうさ
)
しかけ、どっちも道をゆずろうとせず、
威嚇
(
いかく
)
のし
競
(
くら
)
べになったものらしい。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……どれ、(樹の蔭に
一
(
ひと
)
むら
生茂
(
おいしげ
)
りたる
薄
(
すすき
)
の中より、
組立
(
くみた
)
てに
交叉
(
こうさ
)
したる三脚の竹を
取出
(
とりいだ
)
して
据
(
す
)
ゑ、次に、
其上
(
そのうえ
)
に
円
(
まる
)
き板を置き、
卓子
(
テエブル
)
の如くす。)
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
サーッと、白竜のように、天に
沖
(
ちゅう
)
した光の大柱! それが、やや北寄りの空に三、四条、サーッと
交叉
(
こうさ
)
した。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
最初の分岐点から最初の
交叉
(
こうさ
)
点までの二つの道は離れ合いかたも近く、程も短い。その次のはやや長い。
二つの道
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼も今では
沢家
(
さわけ
)
に身を寄せ、
橘東蔵
(
たちばなとうぞう
)
の変名で、執事として内外の事に働いている人であるが、丸太町と堺町との
交叉
(
こうさ
)
する
町角
(
まちかど
)
あたりに立って、多勢の男や女と一緒に使節一行を待ち受けた。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
と執事の案内してくれた、キビラ石むき出しの
隧道
(
トンネル
)
の通路は、右に折れ左に曲りして、二度三度横の通路と
交叉
(
こうさ
)
しながら、やがて狭い
螺旋
(
らせん
)
階段となって、ヒョッコリと控えの間隣りの一室へ出た。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
交叉
(
こうさ
)
しまた衝突しそうな場合さえ折々はある。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その間、チラと
時遷
(
じせん
)
の目が、彼の
眸
(
ひとみ
)
と怪しい
交叉
(
こうさ
)
を
交
(
か
)
わしたが、考え込んでいた
金鎗手
(
きんそうしゅ
)
の
徐寧
(
じょねい
)
はもとよりそれに気づきもしない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……どれ、(樹の蔭に一むら
生茂
(
おいしげ
)
りたる
薄
(
すすき
)
の中より、組立てに
交叉
(
こうさ
)
したる三脚の竹を
取出
(
とりいだ
)
して据え、次に、その上の
円
(
まろ
)
き板を置き、
卓子
(
テェブル
)
のごとくす。)
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
サッと、
紫電一閃
(
しでんいっせん
)
! どこから出したのか、幅の広い照空灯が、ぶっちがいに、大空の真中で、
交叉
(
こうさ
)
した。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一方の窓は丁度
建築物
(
たてもの
)
の角にあたって、
交叉
(
こうさ
)
した町が眼の下に見えた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
狼狽した武士たちは、十字架の下へ駈け寄って、宙に槍を
交叉
(
こうさ
)
した。さッと陽にけむる鮮血の虹の中から、強右衛門のさけびが、まだ聞えていた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
信濃
(
しなの
)
の国々の谷谷谷深く相
交叉
(
こうさ
)
する、山また山の
僻村
(
へきそん
)
から招いた、山民一行の祭に参じた。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
眼前には長い廊下のように続いた板敷がある。白く塗った通風筒がある。柱がある。
碇綱
(
いかりづな
)
を巻くための鉄製の器具がある。甲板の欄の線と
交叉
(
こうさ
)
して、上になり下になりして見える遠い水平線がある。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
聞く
李応
(
りおう
)
は、唯々、あきれるばかりだった。すると、後ろから追って来た宋江が、彼の前に膝をつき、両腕を
交叉
(
こうさ
)
して、地に伏さんばかり詫びて言った。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
吃驚
(
びっくり
)
したように、半ばその美しさを思っていて、
羞
(
は
)
じたように、舞台を小走りに西口の縁へ
遁
(
に
)
げた。遁げつつ薄紫の肩掛で、
髷
(
まげ
)
も
鬢
(
びん
)
も
蔽
(
おお
)
いながら、曲る突当りの、欄干の
交叉
(
こうさ
)
する
擬宝珠
(
ぎぼしゅ
)
に立つ。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
玄徳は、耳なきごとく、あるごとく、ただ、手を
交叉
(
こうさ
)
したまま、穏やかに顔を横に振っていた。そして
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
正成の声の裏には、予想されていたものと、なかば、
淡
(
あわ
)
い失望の容子とが
交叉
(
こうさ
)
していた。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
五里の果てに尽きて——
鵜沼
(
うぬま
)
街道と
飛騨
(
ひだ
)
の山街道とが山中で
交叉
(
こうさ
)
している辺りを起点として、わずか十名ほどな腹心の
武者輩
(
むしゃばら
)
を従え、そこからさらに、裏谷へはいって、汗みどろに
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ああ、こう観ていると、自分のいる位置は、まさに呉、
蜀
(
しょく
)
、魏の三つに分れた地線の
交叉
(
こうさ
)
している真ん中にいる。荊州はまさに大陸の中央である……が、ここにいま誰が時代の中枢をつかんでいるか。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大きな歓びと、大きな当惑とが、
刹那
(
せつな
)
、その
面
(
おもて
)
を
交叉
(
こうさ
)
した。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“交叉”の意味
《名詞》
交 叉(こうさ 「交差」に「同音の漢字による書きかえ」がなされる)
交差の別表記。
(出典:Wiktionary)
交
常用漢字
小2
部首:⼇
6画
叉
漢検準1級
部首:⼜
3画
“交叉”で始まる語句
交叉点
交叉點
交叉路
交叉期
交叉線