-
トップ
>
-
乘込
>
-
のりこ
かねてぞ
千葉は
放たれぬ。
汨羅の
屈原ならざれば、
恨みは
何とかこつべき、
大川の
水清からぬ
名を
負ひて、
永代よりの
汽船に
乘込みの
歸國姿、まさしう
見たりと
言ふ
物ありし。
私も
其時分は
果敢ない
者で、
然云ふ
天氣に
船に
乘るのは、
實は
二の
足の
方であつたが。
出家の
身で
生命を
惜むかと、
人の
思はくも
恥かしくて、
怯氣々々もので
乘込みましたぢや。
私共も二三
人宛は
休息時間を
廢しても、
交る/″\
行つて
働きますぞ、すると
海底戰鬪艇の
竣工する
頃には、
鐵檻の
車も
出來上つて、
私共は
直ぐ
其れに
乘込んで、
深山の
奧へ
行つて
旦那お
相乘參りませう、と
折よく
來懸つた
二人乘に
這ふやうにして
二人乘込み、
淺草まで
急いでくんな。
安い
料理屋で
縁起直しに
一杯飮む。
此處で
電燈がついて
夕飯を
認め、やゝ
人心地になる。
心細い
事には、
鹽尻でも、
一人も
同じ
室へ
乘込まなかつた。……
其の
宿の
名は、
八重垣姫と、
隨筆の
名で、
餘所ながら、
未見の
知己。
初對面の
從姉妹と、
伯父さんぐらゐに
思つて
居たのに。………
ぐら/\と、しかし、
親仁は
眞直に
乘込んだ。