不義ふぎ)” の例文
わびさせ其夜の中に事をすませ叔母も名主方へぞ參りける是は傳吉が留守中るすちうおはや憑司は不義ふぎなしお梅は昌次郎と密通みつつうに及びて居たるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
よせと云うのか、いやしくも人の亀鑑てほんになるべき者が、不義ふぎ不埒ふらちなことをしているに、うやむやにして、知らん顔をするつもりか
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「でもそちのように不義ふぎで、みだらで、つみふかく、ばかものを生けどってくらしているものに、どうしてまことの力があるのか」
手紙 二 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
生中なまなかこがれて附纒つきまとふたとて、れてはれるなかではなし、可愛かあいひと不義ふぎせてすこしもれが世間せけんれたらなんとせう
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
落ちるといってもけっして卑怯ひきょうでも不義ふぎでもない。かえって、砦をまくらにして斬り死するより、立派りっぱなつとめをはたすんです。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
千助せんすけじゆんさかづき𢌞まはつてとき自分じぶん國許くにもとことなぞらへて、仔細しさいあつて、しのわかものが庄屋しやうや屋敷やしき奉公ほうこうして、つま不義ふぎをするだんるやうに饒舌しやべつて
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
てんわりて不義ふぎつ、忠勇無双ちゅうゆうむそうへいは……。」と、まるはたった、子供こどもがうたっていました。きっと、さっきった兵士へいし見送みおくった子供こどもたちでありましょう。
昼のお月さま (新字新仮名) / 小川未明(著)
「惡人共はこと/″\細工さいくをしてしまひました。明日江戸御歸府の殿樣に御覽に入れるため、あなた樣の父上市太郎樣を奧方不義ふぎの相手にこさへ御親類方にまで披露の手筈になつて居ります」
不義ふぎをいたした者は手討に致さねばならぬのが御家法だ、さ両人ふたりとも手討にいたす
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
たとえば男女の心中しんじゅうのごとき、二人が夫婦になるのを理想とするが、不義ふぎの交際は親も許さず世間も認めぬ。この世で晴れて一緒になれぬなら、むしろあの世で蓮華れんげの上にということになる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
不義ふぎ非道ひだうしわざたくましうしてことでせう。
鼻にかけて我々を見下し不孝の事のみ多く其上下女などに不義ふぎ仕懸しかけ何一ツ是ぞと云取處とりどころなく斯樣かやうの者に家を渡す事は勿論もちろん忠八にいとま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
元二げんじじゆんさかづき𢌞まはつてとき自分じぶん國許くにもとことりて仔細しさいあつて、しのわかものが庄屋しやうや屋敷やしき奉公ほうこうして、つま不義ふぎをする、なかだちは、をんな寵愛ちようあいねこ
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
物疑ものうたがひといふてはつゆほどもおちなさらぬこゝろのうつくしいひとを、うもうも舌三寸したさんずんだましつけてこゝろのまゝの不義ふぎ放埒はうらつ、これがまあひと女房にようばう所業しわざであらうか、なんといふ惡者わるものの、ひとでなしの
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
跡取の謙之進けんのしん樣——十歳になつたばかりのを屋敷に殘し、十二歳のお孃樣早苗さなえ樣といふのと、お腰元のお菊、それに用人の市太郎をつれて、根岸の御隱殿裏の貸家に籠つた——不義ふぎ汚名をめいせられ
其方儀主人しゆじんつま何程なにほど申付候共又七も主人のつき致方いたしかた有之これあるべき處主人又七にきずつけあまつさへ不義ふぎの申かけを致さんとせし段不屆至極ふとゞきしごくに付死罪しざいつく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)