トップ
>
上手
>
うわて
ふりがな文庫
“
上手
(
うわて
)” の例文
代助は独りで考えるたびに、自分は
特殊人
(
オリジナル
)
だと思う。けれども要吉の
特殊人
(
オリジナル
)
たるに至っては、自分より
遥
(
はる
)
かに
上手
(
うわて
)
であると承認した。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そうなりますと、絶体絶命、
劫
(
こう
)
に受けるより手がなくなりました。
上手
(
うわて
)
に向っての劫は大損でございますが、仕方がありません」
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
三点いえば直ぐに「種」の方がずっと
上手
(
うわて
)
なのだといいもしますし、見れば一見して「種」の方を好いというのでも証拠立てられました。
幕末維新懐古談:54 好き狆のモデルを得たはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
俺にはこういう場合、
上手
(
うわて
)
に出て物をいう事が出来ないので、ただ答に窮して居ると、彼女は媚を含んだ眼を以てこうつづけた。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
お千代は
平生
(
へいぜい
)
妹ながら何事も自分より
上手
(
うわて
)
と敬しておったおとよに対し、今日ばかりは真の姉らしくあったのが、
無上
(
むしょう
)
に
嬉
(
うれ
)
しい。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
▼ もっと見る
余程彼よりは
上手
(
うわて
)
だ。
吾儕
(
われわれ
)
の親類の中で、彼の細君が一番エライと俺は思ってる。細君に心配されるような人間は高が知れてるサ
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
但しこれは相手が人間であって、しかも自分よりも
上手
(
うわて
)
に対して「鼻息を殺した」場合の形容詞と認めて差し支えありません。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
『今の腕じゃ、四郎次には、一年かかったって、あの杖は盗れッこはねえ。どうして、婆あさんの方が遙かに役者が
上手
(
うわて
)
だ』
梅颸の杖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうとは知らぬ私は若い記者君あてに果物をもらった礼を書き送った次第だが、やはり向うの方が役者が一枚
上手
(
うわて
)
である。
“指揮権発動”を書かざるの記
(新字新仮名)
/
犬養健
(著)
「見ろよ。あすこへ行く連中は、ラザルスにお眼を止められたくらいだから、おれ達よりも
上手
(
うわて
)
の馬鹿者に違いないぜ。」
世界怪談名作集:14 ラザルス
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
「拙者になると少し
上手
(
うわて
)
だ。愛欲を利用して金儲けをします。だが」というと城之介、相談でもするような調子になった。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
察するところ、男のほうが
上手
(
うわて
)
で、女のほうから機嫌をとっているらしい。『男のほうはどうもスメルジャコフらしい』とアリョーシャは考えた。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
まほうはかせは、もっと
上手
(
うわて
)
なんだぜ。おれは、はかせのでしで、きみを、ほうぼうひっぱりまわすやくだったのさ。
赤いカブトムシ
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
〽では、手前は一枚
上手
(
うわて
)
をいって、「地獄の番卒」とでもいたしましょうかネ。——
喧々囂々
(
がやがやもうもう
)
、耳を
聾
(
ろう
)
するばかり。
ノンシャラン道中記:04 南風吹かば ――モンテ・カルロの巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
上手
(
うわて
)
がどうしたの
下手
(
したて
)
がどうしたの足癖がどうしたのと、何の事やらこの世の大事の
如
(
ごと
)
く騒いで汗も
拭
(
ふ
)
かず
矢鱈
(
やたら
)
にもみ合って、
稼業
(
かぎょう
)
も忘れ、家へ帰ると
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それは、いつかお市が、このお針部屋にひとりでいるとき、磯五が意地のきたないことをしようとして、
上手
(
うわて
)
に
起
(
た
)
たれてしまったからばかりではなかった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
始終一歩ずつ
上手
(
うわて
)
を行くような事務長が一種の憎しみをもってながめやられた。かつて味わった事のないこの憎しみの心を葉子はどうする事もできなかった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
また、彼が私にたやすく対等に振舞っているのは、彼のほうがほんとうは
上手
(
うわて
)
である証拠だと思わずにはいられなかっただけ、ますます当惑の種であったのだ。
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
姉か何かのような
上手
(
うわて
)
の位置から、青年が顔を染めるのを、楽しい
観物
(
みもの
)
ででもあるかのように、見おろしながら、しかも同時に媚を呈しながら、夫人が云った。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
と是から船に乗ると、百姓が
繋縄
(
もやい
)
を
解
(
ほど
)
いて
棹
(
さお
)
を揚げて、
上手
(
うわて
)
の方へ押出し、
艪杭
(
ろぐい
)
を
沾
(
しめ
)
してだん/\と漕ぎ初めたが、田舎の渡船ぐらい気の永いものは有りません。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
女にかけては、世間では私などを道楽者のようにいっているが、よっぽど柳沢の方が自分より
上手
(
うわて
)
だ。と思うと、私はなおのことお宮のことが心もとなくなって来た。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
〽しばし
彳
(
たたず
)
む
上手
(
うわて
)
より
梅見返
(
うめみがえ
)
りの舟の唄。〽忍ぶなら忍ぶなら
闇
(
やみ
)
の夜は置かしやんせ、月に雲のさはりなく、
辛気
(
しんき
)
待つ宵、
十六夜
(
いざよい
)
の、
内
(
うち
)
の
首尾
(
しゅび
)
はエーよいとのよいとの。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼女はただに女房たちの間の
大姐御
(
おおあねご
)
であるのみならず、斉信のごとき
公卿
(
くげ
)
たちに対してもはるかに
上手
(
うわて
)
である。あたかも男と女が所を異にしているようにさえも見える。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
一九一四年に亡くなっているが、この人はジュールネなどよりも一まわり
上手
(
うわて
)
であったらしい。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
相手が
上手
(
うわて
)
だったから
敵
(
かな
)
わない、一応は降参して、
向後
(
きょうこう
)
然様
(
さよう
)
なところへはまいりませぬと謝罪して済んだが、そこには又あやしきは男女の縁で、
焼木杭
(
やけぼっくい
)
は火の着くこと
疾
(
はや
)
く
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
虹の如き鮮明な視覚写象と、男女相寝るということとの融合は、単に常識的合理な聯想に依らぬ場合があり、こういう点になると古代人の方が我々よりも
上手
(
うわて
)
のようである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
その法林道場のずっと
上手
(
うわて
)
を見ますと
巌山
(
がんざん
)
が
突兀
(
とっこつ
)
と
聳
(
そび
)
えて居て、その岩の間に流水が日光に映じた
景色
(
けしき
)
は実に美しく、そういう天然の景色に人為的
雅味
(
がみ
)
を付け加えたのですから
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
その場合、作家が
上手
(
うわて
)
のようであるが、実際は作家というものは雑誌記者が怖い者の一人であり、一等先きに原稿をよんで原稿がよく書かれているかどうかを、決める人なのである。
芥川の原稿
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
一方
従兄
(
いとこ
)
のユースタスは子供達の思い思いのはしゃぎ方のまだ
上手
(
うわて
)
を行って、いろいろ変ったふざけ方をして見せたので、子供達も、とてもその真似は出来ないと諦めてしまった位で
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
「
母上
(
おっか
)
さん、それは
余
(
あんま
)
りで御座います」とようように一言、母は
何所
(
どこ
)
までも
上手
(
うわて
)
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
勝って笑えるのは僕の方なんだ。僕はこの事件では
初手
(
しょて
)
から
上手
(
うわて
)
に出ているんだ。僕はもう君たちが蝿ほども
怖
(
こわ
)
かあない。さあ、僕を殺すとも生かすとも、好きなようにしてくれ給え。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
万吉郎の頭脳はヒルミ夫人のそれに比して、すこし
上手
(
うわて
)
であったかもしれない。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
上手
(
うわて
)
をいってこれを積極的に働かすことを案じ出し、分相応の付け届けを神妙に守る大名には
門
(
かど
)
を閉めてやって通行勝手たること、少し足りないと思う者には、半分位門をあけておいて
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
お俊さんと時々に見えます。このあいだも、
枯野見
(
かれのみ
)
だと云って
上手
(
うわて
)
までお供を
半七捕物帳:67 薄雲の碁盤
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼は絞首台の前に立った
窖番
(
あなぐらばん
)
のヷンカ(国民伝説、主人の妻と通じて刑罰を受けた下男)みたいに、砂糖のような甘い口に接吻した云々と歌うのだろう。いや、それよりもっと
上手
(
うわて
)
を行くだろう。
クロイツェル・ソナタ:01 クロイツェル・ソナタ
(新字新仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
彼女は
上手
(
うわて
)
に出るのをやめて、こんどはいろいろ尋ねるようになった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
してみると、彼女の姉が、更に一枚、
上手
(
うわて
)
の役者であつたのだらう。
古都
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
自分が
上手
(
うわて
)
とみて、彼は、二人の不器用さを鼻で
嗤
(
わら
)
う。多分もう、甘い言葉ぐらい口にしたことがあるのだろう。彼はそこでお手本を示す。まっ先にマチルドにキスをする。骨折り賃というところだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
結果からみれば博士が少し
上手
(
うわて
)
だということになりそうだった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
直
(
す
)
ぐさま一郎の
上手
(
うわて
)
を行く、勝ほこった声が聞えた。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
「おれよりも、倅の奴の方が
上手
(
うわて
)
だ」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
合田氏は、私の今使っているモデルの狆を口ではそれと悪くはいわないが、この狆よりも数等
上手
(
うわて
)
の狆がいることを話された。
幕末維新懐古談:54 好き狆のモデルを得たはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
取ることにかけては新撰組の近藤勇よりも、おれの方がズット
上手
(
うわて
)
だ、今まで、おれの手にかけて殺した人間が二千人からある
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
買いかぶらせることには、役者衆の
上手
(
うわて
)
だから、もう、二本差した男には、
金輪際
(
こんりんざい
)
、惚れないことにきめたんですとさ
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いったいそんなにまでひどいことになっているのかい? いや、君、それは我々仲間の
上手
(
うわて
)
をいってるぜ」
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
気が
咎
(
とが
)
めるとは、その上にこちらから済まぬ事をした場合に用いる。困るとなると、もう一層
上手
(
うわて
)
に出て、利害が直接に
吾身
(
わがみ
)
の上に
跳
(
は
)
ね返って来る時に使う。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
悪魔式鼻の表現の苦手は、いつでも
音
(
おと
)
なしい正直な人間か又は数等
上手
(
うわて
)
を行く明眼達識の士かであります。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
何事にも高飛車に、
上手
(
うわて
)
から出ようという態度が、二、三分間の電話の中でも、新子を不快にした。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
と森松は
懊
(
じ
)
れこんでいくらいっても動きません。其の筈で森松などから見ると三十段も
上手
(
うわて
)
の悪党でござりますから、長手の
火鉢
(
ひばち
)
の
角
(
すみ
)
の所へ坐ったら
挺
(
てこ
)
でも動きません。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何しろ俺は、学問に
於
(
お
)
いてはお前に及ばないかも知れないが、しかし人間として見たらお前なぞよりも
遙
(
はる
)
かに高いところにあるつもりだ。そりゃ俺の方がずっと
上手
(
うわて
)
だ。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
上
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“上手”で始まる語句
上手物
上手下手
上手者
上手廻