“なにがし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
59.4%
何某27.2%
若干5.4%
若干金1.7%
某甲1.3%
多少銭0.7%
幾許0.7%
某氏0.7%
誰某0.7%
何生0.3%
(他:6)1.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「おい、」と心安げに答えたのは和尚天窓おしょうあたまで、背広を着た柔和な仁体じんてい、篠塚なにがしという哲学家。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
次々と、たずねあう声が、列を流れて行ったきりで、答える声も、何のなにがしです——と、みずから名乗る者もなかった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お前の帰った後に僕の部屋附きの女中となった何某なにがしという女にこの頃は習字を教えているというようなことも書いてあった。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
今日においていえば「何某なにがしいわく……、何某曰く……」としきりに大家の権威を以て自説を維持する類である。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
恥を忍んで泣付いて行ったら、随分一肩入れて、原稿を何処かの本屋へかたづけて、若干なにがしかに仕て呉れる人が無いとは限らぬ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
こう云いながら若干なにがしかのお金を、おきたの前へ差し出して、自分の方が嬉しそうに、三十郎が笑ったのは、数日後のことであった。
一枚絵の女 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
が、あわせに羽織で身は軽し、駒下駄こまげたは新しし、為替は取ったし、ままよ、若干金なにがしか貸してもい。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三五らう何時いつみせをば賣仕舞うりしまふて、腹掛はらがけのかくしへ若干金なにがしかをぢやらつかせ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
学師、孫景夏先生の言に、その邑のうちの某甲なにがしなるもの、流寇の乱に値ひて殺され、首は墜ちて胸前にかゝりぬ。
『聊斎志異』より (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
兩臂をり落し、兩脚を斷り去つても、生命の存する以上、某甲なにがしの心は缺くる無く存して居るやうである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
晩成先生も大分遊歴に慣れて来たので、此処で宿泊謝絶などを食はせられては堪らぬと思ふので、ずん/\と来意を要領よく話して、白紙に包んだ多少銭なにがしかを押付けるやうに渡して仕舞つた。
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
晩成先生も大分だいぶ遊歴に慣れて来たので、此処ここで宿泊謝絶などを食わせられてはたまらぬと思うので、ずんずんと来意を要領よく話して、白紙に包んだ多少銭なにがしかを押付けるように渡してしまった。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
食事が済むと、彼は幾許なにがしかの勘定を払って戸外そとへ出た。そして安い旅館ホテルをさがす為に、場末の町へボツ/\と歩をむけた。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
彼女が株券を売って得た三千幾許なにがしの金は、彼の上衣うわぎの内かくしに入っているに違いない。
秘められたる挿話 (新字新仮名) / 松本泰(著)
マルブランシユの記録する所に依れば、某氏なにがしの妻、聖ピウスの祭の日にピウスの肖像を長き間凝視し居りしに、其女の生みし男子の容貌全く彼肖像に似たりし由に候。
石州浜田六万四千石……船つきのみなとを抱えて、内福の聞こえのあった松平某氏なにがしが、仔細しさいあって、ここの片原五万四千石、——遠僻えんぺきの荒地に国がえとなった。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
げん小櫻姫こざくらひめのお姿すがた誰某なにがし夢枕ゆめまくらったということだ……。難有ありがたいことではないか……。
かかるたび毎に、私は、学校に在つた時の事など思ひ出しまして、我が同級のもつとも仲かりし某姉ぼうしも、まだ独身であるものを、誰某なにがしもまた今は学校に奉職せられしと聞くに、わらはのみはなど心弱くも嫁入りして、かかる憂き目を受くる事かと、不覚の涙に暮れたる事もありました。
こわれ指環 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
つたく、近頃ちかごろ天津てんしん色男いろをとこ何生なにがしふもの、二日ふつかばかりやしきけた新情人しんいろもとから、午後二時半頃こごにじはんごろばうとしてかへつてた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「切支丹へ入らう、さうすれば何許なにがしかの金になるさうだから。」
なあに、おれはあの會計係に逢つて、あの吝嗇坊けちんばう野郎を拜みたほして、あはよくば幾何なにがしか月給の前借まへがりをする期待あてでもなかつたなら、どうして役所へなんぞ行つてやるものか。
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
それは、まあ、品に由つたら書替も為んではないけれど、君の要求は、元金もときんの上に借用当時から今日こんにちまでの制規の利子が一ヶ年分と、今度払ふべき九十円の一月分を加へて三百九十円かね、それに対する三月分の天引が百十七円なにがし、それとがつして五百円の証書面に書替へろと云ふのだらう。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
某国なにがし——公使の、その一品ひとしなおくりものに使ってから、相伝えて、外国の註文が少くない。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その祭典の趣意はその神々に対していいますには「今度某家なにがしの娘が某方へ嫁入を致します。ついては村の神様ならびに家の神々、どうかこの娘にお暇をつかわし下さるよう、この娘を余所よそに遣ったということをお怒りなされて害を与えられぬように願います。その代りにお経を読み供養をして今日お暇を貰うところの慰みを申しあげます」という次第で
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
売るものが留守るすろうはずは無し、どうしているか知らねえが、それでも帰るに若干銭なにがしつかんでうちえるならまだしもというところを
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
川岸かし女郎じょろうになる気で台湾たいわんへ行くのアいいけれど、前借ぜんしゃく若干銭なにがしか取れるというような洒落た訳にゃあ行かずヨ、どうも我ながら愛想あいその尽きる仕義だ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)