“なにがし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
59.5%
何某27.7%
若干5.3%
若干金1.6%
某甲1.2%
多少銭0.6%
幾許0.6%
某氏0.6%
誰某0.6%
若干銭0.3%
何生0.3%
何許0.3%
幾何0.3%
0.3%
某国0.3%
某家0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
沈黙家むつつりやではあつたが、世間並に母親おふくろが一人あつた。この母親おふくろがある時芝居へくと、隣桟敷となりさじきかね知合しりあひなにがしといふ女が来合せてゐた。
何某なにがし。)とかのペンを持った一人が声を懸けると寝台の上に仰向あおむけになっていたのは、すべり落ちるように下りて蹌踉よろよろと外科室へ入交いりかわる。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かぞえてみると、ひどいもので、七十四両と若干なにがしになっていた。そして、袋のうえには、なるほど、武家奉公もしたらしい見事な書体で
下頭橋由来 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
腹掛のかくしへ若干金なにがしかをぢやらつかせ、弟妹引つれつゝ好きな物をば何でも買への大兄樣、大愉快の最中もなかへ正太の飛込み來しなるに、やあ正さん今お前をば探して居たのだ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
学師、孫景夏先生の言に、その邑のうちの某甲なにがしなるもの、流寇の乱に値ひて殺され、首は墜ちて胸前にかゝりぬ。
『聊斎志異』より (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
晩成先生も大分だいぶ遊歴に慣れて来たので、此処ここで宿泊謝絶などを食わせられてはたまらぬと思うので、ずんずんと来意を要領よく話して、白紙に包んだ多少銭なにがしかを押付けるように渡してしまった。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
彼女が株券を売って得た三千幾許なにがしの金は、彼の上衣うわぎの内かくしに入っているに違いない。彼は貧乏している癖に、いい煙草と競馬に金を浪費つかうのが好きであった。
秘められたる挿話 (新字新仮名) / 松本泰(著)
マルブランシユの記録する所に依れば、某氏なにがしの妻、聖ピウスの祭の日にピウスの肖像を長き間凝視し居りしに、其女の生みし男子の容貌全く彼肖像に似たりし由に候。
小櫻姫こざくらひめはたしかに三浦みうら土地とち守護神様まもりがみさまだ。三浦みうら土地とち今度こんど不思議ふしぎにもたすかったのはみな小櫻姫こざくらひめのおかげだ。げん小櫻姫こざくらひめのお姿すがた誰某なにがし夢枕ゆめまくらったということだ……。難有ありがたいことではないか……。
川岸かし女郎じょろうになる気で台湾たいわんへ行くのアいいけれど、前借ぜんしゃく若干銭なにがしか取れるというような洒落た訳にゃあ行かずヨ、どうも我ながら愛想あいその尽きる仕義だ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
売るものが留守るすろうはずは無し、どうしているか知らねえが、それでも帰るに若干銭なにがしつかんでうちえるならまだしもというところを、銭に縁のあるものア欠片かけらも持たず空腹すきっぱらアかかえて
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
つたく、近頃ちかごろ天津てんしん色男いろをとこ何生なにがしふもの、二日ふつかばかりやしきけた新情人しんいろもとから、午後二時半頃こごにじはんごろばうとしてかへつてた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「切支丹へ入らう、さうすれば何許なにがしかの金になるさうだから。」
なあに、おれはあの會計係に逢つて、あの吝嗇坊けちんばう野郎を拜みたほして、あはよくば幾何なにがしか月給の前借まへがりをする期待あてでもなかつたなら、どうして役所へなんぞ行つてやるものか。
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
元金もときんの上に借用当時から今日こんにちまでの制規の利子が一ヶ年分と、今度払ふべき九十円の一月分を加へて三百九十円かね、それに対する三月分の天引が百十七円なにがし
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
灰皿にも用いよう。がねがわくば、竜涎りゅうぜん蘆薈ろかい留奇とめきの名香。緑玉エメラルド、真珠、紅玉ルビイらせたい。某国なにがし——公使の、その一品ひとしなおくりものに使ってから、相伝えて、外国の註文が少くない。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今度某家なにがしの娘が某方へ嫁入を致します。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)