某甲なにがし)” の例文
話を仕て呉れた人の友達に某甲なにがしといふ男があつた。其男は極めて普通人型の出来の好い方で、晩学では有つたが大学も二年生まで漕ぎ付けた。
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
学師、孫景夏先生の言に、その邑のうちの某甲なにがしなるもの、流寇の乱に値ひて殺され、首は墜ちて胸前にかゝりぬ。
『聊斎志異』より (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
話をしてくれた人の友達に某甲なにがしという男があった。その男は極めて普通人がたの出来の好いほうで、晩学ではあったが大学も二年生まで漕ぎ付けた。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
兩臂をり落し、兩脚を斷り去つても、生命の存する以上、某甲なにがしの心は缺くる無く存して居るやうである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
けれども一轉語を下して見ようならば、『自己ならずして抑〻誰が某甲なにがしを新にせんや』で有る。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
即ち某甲なにがしといふ自己を『新』にすべきのみなのである。例に依つて例の如き某甲ではけないから、例の某甲よりは優れた某甲に自己を改造すべきよりほかに正當な道は無いのである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)