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麗
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うららか
ふりがな文庫
“
麗
(
うららか
)” の例文
その樹の名木も、まだそっちこちに残っていて
麗
(
うららか
)
に咲いたのが……こう目に見えるようで、それがまたいかにも寂しい。
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、同時にこの背景によって、その事実が
麗
(
うららか
)
な春の中に浮んで来ることは、俳句の特色として多言を要せぬであろう。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
四方
(
あたり
)
には
麗
(
うららか
)
な
陽
(
ひ
)
があった。水の澄みきった小さな流れがあって、それがうねうねと草の間をうねっていたが、それにはかちわたりの石を置いてあった。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
日
麗
(
うららか
)
に花
薫
(
かお
)
り鳥歌い蝶舞う春の牧場を眺め、色もなく音もなき自然科学的な夜の見方に反して、ありの儘が真である昼の見方に
耽
(
ふけ
)
ったと自らいっている。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
この辺はもう春といっても汚い
鱗葺
(
こけらぶき
)
の屋根の上に
唯
(
た
)
だ
明
(
あかる
)
く日があたっているというばかりで、沈滞した
堀割
(
ほりわり
)
の水が
麗
(
うららか
)
な青空の色をそのままに映している
曳舟通
(
ひきふねどお
)
り。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
麗
(
うららか
)
な春らしい天気の続いた或日、鶴さんは一日
潰
(
つぶ
)
してお島と一緒に、
媒介
(
なこうど
)
の植源などへ礼まわりをして、それからお島の
生家
(
さと
)
の方へも往ってみようかと言出した。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
一、
長閑
(
のどか
)
、
暖
(
あたたか
)
、
麗
(
うららか
)
、
日永
(
ひなが
)
、
朧
(
おぼろ
)
は春季と定め、
短夜
(
みじかよ
)
、
涼
(
すずし
)
、
熱
(
あつし
)
は夏季と定め、
冷
(
ひややか
)
、
凄
(
すさまじ
)
、
朝寒
(
あささむ
)
、
夜寒
(
よさむ
)
、
坐寒
(
そぞろさむ
)
、
漸寒
(
ややさむ
)
、
肌寒
(
はださむ
)
、
身
(
み
)
に
入
(
しむ
)
、
夜長
(
よなが
)
は秋季と定め、
寒
(
さむし
)
、つめたしは冬季と定む。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
後に負へる松杉の緑は
麗
(
うららか
)
に
霽
(
は
)
れたる空を
攅
(
さ
)
してその
頂
(
いただき
)
に
方
(
あた
)
りて
懶
(
ものう
)
げに
懸
(
かか
)
れる雲は
眠
(
ねむ
)
るに似たり。
習
(
そよ
)
との風もあらぬに花は
頻
(
しきり
)
に散りぬ。散る時に
軽
(
かろ
)
く舞ふを
鶯
(
うぐひす
)
は争ひて歌へり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
一五六九年春光
麗
(
うららか
)
な一日のことで、かねて尽力を頼んでおいた和田
惟政
(
これまさ
)
から俄に三十騎の迎へが来て、即刻出頭せよと伝へた。フロイスは黒い法衣をまとふて二条城の工事場へ行つた。
イノチガケ:――ヨワン・シローテの殉教――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「春の眺は」云々をゆつたりとして、句切句切に力を入れての言ひ廻し、句の意味に
適
(
かな
)
ひてよし。「はて
麗
(
うららか
)
な眺ぢやなあ」にて、左手を内懐より出し、右手の煙管を持添へて突立てる仕打あり。
両座の「山門」評
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
春のよき日は
麗
(
うららか
)
に
枯草
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
雨を帯びたる
海棠
(
かいどう
)
に、廊下の
埃
(
ほこり
)
は鎮まって、
正午過
(
ひるすぎ
)
の早や蔭になったが、打向いたる式台の、
戸外
(
おもて
)
は
麗
(
うららか
)
な日なのである。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
黄金
(
こがね
)
の金具を打った
轎
(
かご
)
が
町
(
まち
)
の
四辻
(
よつつじ
)
を南の方へ曲って往った。轎の
背後
(
うしろ
)
にはお
供
(
とも
)
の少女が歩いていた。それは
麗
(
うららか
)
な春の夕方で、
夕陽
(
ゆうひ
)
の中に暖かな微風が吹いていた。
悪僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
花咲けども
春日
(
はるび
)
の
麗
(
うららか
)
なるを知らず、
楽来
(
たのしみきた
)
れども
打背
(
うちそむ
)
きて
歓
(
よろこ
)
ぶを知らず、道あれども
履
(
ふ
)
むを知らず、善あれども
与
(
くみ
)
するを知らず、
福
(
さいはひ
)
あれども招くを知らず、恵あれども
享
(
う
)
くるを知らず
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
同じ白い湯気であっても、寒い陰鬱な空に立つ場合と、
麗
(
うららか
)
に晴れた空に立つ場合とでは大分感じが違う。「饅頭日和」というのは随分大胆な言葉であるが、恐らく作者の造語であろう。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
河童だい、あかんべい、とやった処が、でしゅ……覗いた瞳の美しさ、その
麗
(
うららか
)
さは、月宮殿の池ほどござり、
睫
(
まつげ
)
が柳の
小波
(
さざなみ
)
に、岸を縫って、
靡
(
なび
)
くでしゅが。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
檜葉
(
ひば
)
、
樅
(
もみ
)
などの古葉貧しげなるを望むべき窓の外に、庭ともあらず打荒れたる広場は、唯
麗
(
うららか
)
なる日影のみぞ
饒
(
ゆたか
)
に
置余
(
おきあま
)
して、そこらの梅の
点々
(
ぼちぼち
)
と咲初めたるも、
自
(
おのづか
)
ら怠り勝に
風情
(
ふぜい
)
作らずと見ゆれど
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
その
麗
(
うららか
)
な、明るい天気の中に椿の花が咲いている。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
麗
(
うららか
)
さも
長閑
(
のどか
)
さも、余り
積
(
つも
)
って身に染むばかり暖かさが過ぎたので、思いがけない
俄雨
(
にわかあめ
)
を
憂慮
(
きづかわ
)
ぬではなかった処。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
土曜日は
正午
(
ひる
)
までで授業が済む——教室を出る娘たちで、照陽女学校は一斉に温室の花を緑の空に開いたよう、
溌
(
ぱっ
)
と
麗
(
うららか
)
な日を浴びた色香は、百合よりも芳しく、
杜若
(
かきつばた
)
よりも紫である。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そしてそれが痛くも
痒
(
かゆ
)
くもなく、日当りへ桃の花が、はらはらとこぼれるようで、
長閑
(
のどか
)
で、
麗
(
うららか
)
で、美しくって、それでいて
寂
(
さび
)
しくって、雲のない空が頼りのないようで、緑の野が
砂原
(
すなはら
)
のようで
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小雨
(
こさめ
)
が晴れて日の照るよう、
忽
(
たちま
)
ち
麗
(
うららか
)
なおももちして
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小春
(
こはる
)
の
麗
(
うららか
)
な話がある。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
麗
常用漢字
中学
部首:⿅
19画
“麗”を含む語句
美麗
華麗
綺麗
秀麗
高麗
高麗人
高句麗
艶麗
鮮麗
麗人
麗々
高麗縁
高麗焼
高麗橋
繊麗
艷麗
麗朗
麗姫
小綺麗
端麗
...