非難ひなん)” の例文
先生せんせいぼくたちのひろったすずめを、だまってっていこうとするから、いけないのです。」と、青木あおきが、六年生ねんせい行為こうい非難ひなんしました。
眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さすがにかくしきれもせずに、をつとがてれくさ顏附かほつきでその壁掛かべかけつつみをほどくと、あんでうつま非難ひなんけながらさうつた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
豊吉ばかりでなく、きびしい屋敷のおきてを知らない者どもは、みんな自分を薄情とか不実とか非難ひなんしているであろうと、林之助は心苦しく思った。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
わたしが思い切った子なら、なあにきのうはバルブレンも、わたしを弱い子で、手足がか細くて役に立たぬと非難ひなんしたのではないかと言ってやるところであった。
たとえば学校を預かれる校長に対して、世間がかれこれ非難ひなんしても、校長にして生徒に対する関係が依然良好であるならば、世評などはあえて意とするに足らぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
彼女かのぢよいままでのくゐは、ともすればわけたてかくれて、正面まとも非難ひなんふせいでゐたのをつた。彼女かのぢよいま自分じぶん假面かめん引剥ひきはぎ、そのみにくさにおどろかなければならなかつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
天下のめに一身を犠牲ぎせいにしたるその苦衷くちゅう苦節くせつりょうして、一点の非難ひなんさしはさむものなかるべし。
な、俗物ぞくぶつ信心しん/″\文学者ぶんがくしや即ちおん作者さくしや様方さまがた生命せいめいなれば、な、俗物ぞくぶつ鑑賞かんしやうかたじけなふするはおん作者さくしや様方さまがた即ち文学者ぶんがくしや一期いちご栄誉えいよなれば、之を非難ひなんするは畢竟ひつきやう当世たうせい文学ぶんがくらざる者といふべし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
それに、その地方のお医者さんたちは、あいかわらずジェンナーの考えをあざわらっておりましたので、うっかり、他人の子に実験しようものなら、どんなおそろしい非難ひなんを受けるかもしれません。
ジェンナー伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
町では、警察の無能むのう非難ひなんする声が、日ましにふえて来た。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それは、おじさんを非難ひなんしたようであるが、うらは、みあげた行為こうい感嘆かんたんしたようにもとれたのでした。
ひすいの玉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは決してこの娘を非難ひなんしようとは思わない。むしろ世間の人並に健気けなげな娘だと褒めてやりたい。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
をつとおもはずをそらした。すつかり弱味よわみかれたかんじで内心ないしんまゐつた。が、そこでつま非難ひなんをすなほにけとるためにはをつと氣質きしつはあまりに我儘わがままで、をしみがつよかつた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
彼女かのぢよはそのとき自分じぶん境遇きやうぐうをふりかへつて、再婚さいこんこゝろうごくのは無理むりもないことだとみづかさばいた。それを非難ひなんするひとがあつたならば、彼女かのぢよ反對はんたいにそのひとめたかもしれない。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
僕は決していかなる場合においても表裏の存在は止むを得ぬといって、これを奨励しょうれいせんとする意ではないが、攻撃的に表裏々々と非難ひなんする中には、往々おうおうにして非難にあたいせぬものがある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
たちまち、責任問題せきにんもんだいこりました。轢死者れきししゃすういちじるしくしたからです。なぜ、警笛けいてきらさなかったか? 被害者ひがいしゃがわでは、こういって、鉄道側てつどうがわ非難ひなんいたしました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かうなつて來ると、一體私は内容ないようの方に心をかれるものですが、とても形式方面の缺點けつてん非難ひなんかへりみる暇はありません。そのゑがかれてゐる事に對して、作の大きなたふとさをかんじて了ふのです。
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)