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間隙
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かんげき
ふりがな文庫
“
間隙
(
かんげき
)” の例文
違背ではない。万一、敵の搦手に接近して、敵に
間隙
(
かんげき
)
があれば、そう致すであろうとぞんじたゆえ、特に、思慮勇気ふたつあるそちを
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まず割合近くにいる「右足のない梟」を覘うことにし、射撃の
間隙
(
かんげき
)
を数えながら、ここぞと思うところで、真っしぐらに突撃した。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それ故に概念的契機の集合としての「いき」と、意味体験としての「いき」との間には、越えることのできない
間隙
(
かんげき
)
がある。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
二つの反対に回る
樫材
(
かしざい
)
の円筒の
間隙
(
かんげき
)
に棉実を食い込ませると、綿の繊維の部分が食い込まれ食い取られて向こう側へ落ち
糸車
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
つまり、僕には政治がわからないのでしょう。僕には、党員の増減や、幹部の顔ぶれよりも、ひとりの人間の心の
間隙
(
かんげき
)
のほうが気になるのです。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
然し私と私の個性との間には寸分の
間隙
(
かんげき
)
も上下もあってはならぬ。凡ての対立は私にあって消え去らなければならぬ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
間隙
(
かんげき
)
のない隆起と
堆積
(
たいせき
)
との肉感を
覗
(
のぞ
)
かせた姿は、全体としてつるつるあぶらを流したような滑らかさを持っていた。
ヒッポドロム
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
つまり、二つの場面の間にはぽかんと大きな
間隙
(
かんげき
)
が出来てしまっている。目が覚めてから、夢がどうも
辻褄
(
つじつま
)
が合わなく見えるのは、その間隙の
所為
(
せい
)
が多い。
鳥料理
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そしてそうした言語と人種の複雑した
間隙
(
かんげき
)
に乗じて、英国政府はいかばかり印度人を強圧し虐遇しているか。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
しかれども、かく平穏なる
間隙
(
かんげき
)
は潮の干満の交代時に、しかも天候静穏の日に見るのみにして、十五分間継続するにすぎず、その猛威はふたたびしだいに加わる。
メールストロムの旋渦
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
此邊
(
このへん
)
は
印度洋
(
インドやう
)
の
眞中
(
たゞなか
)
で、
眼界
(
がんかい
)
の
達
(
たつ
)
する
限
(
かぎ
)
り
島嶼
(
たうしよ
)
などのあらう
筈
(
はづ
)
はない、まして
約
(
やく
)
一
分
(
ぷん
)
の
間隙
(
かんげき
)
をもつて
發射
(
はつしや
)
する
火箭
(
くわぜん
)
及
(
およ
)
び
星火榴彈
(
せいくわりうだん
)
は
危急存亡
(
きゝふそんぼう
)
を
告
(
つ
)
ぐる
難破船
(
なんぱせん
)
の
夜間信號
(
やかんしんがう
)
※
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
明治三十一、二年の頃隅田堤の桜樹は枕橋より遠く梅若塚のあたりまで
間隙
(
かんげき
)
なく列植されていたので、花時の盛観は江戸時代よりも遥に優っていたと言わなければならない。
向嶋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼はあらゆる場合において、何等かの事物または過程が示すやうに感ぜられる
間隙
(
かんげき
)
もしくは飛躍を充たし、それを結び付ける移り行きを探し出さうと努力することを特に喜んだ。
ゲーテに於ける自然と歴史
(新字旧仮名)
/
三木清
(著)
苦難を積んで
護
(
まも
)
って来た年月が背景になっている若夫婦の間には水が
洩
(
も
)
るほどの
間隙
(
かんげき
)
もないのである。内大臣も婿にしていよいよ宰相中将の美点が
明瞭
(
めいりょう
)
に見えて非常に大事がった。
源氏物語:33 藤のうら葉
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
一方は、自由と楽しい気ままと翼のついた
間隙
(
かんげき
)
との声であり、他方は、労働の音だった。彼を深く夢想に沈め、ほとんど思索さしたところのものは、それら二つの楽しい響きだった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
学び備えて居る為めにその二者の
間隙
(
かんげき
)
や
撞着矛盾
(
どうちゃくむじゅん
)
が接触する者に誤解を与える。
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その
喧噪
(
けんそう
)
の花道を走る
芸妓
(
げいぎ
)
の
裾
(
すそ
)
に禿頭は
撫
(
な
)
でられつつ、その足と足との
間隙
(
かんげき
)
から見たる茶屋場などは、また格別の味あるものとなって、深き感銘とよき陶酔を老人に与えたであろうかも知れない。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
工事中、いちばん怖ろしいことは、その
間隙
(
かんげき
)
の生じることだ。たとえ一間の土塀といえども、その間隙から、一国の
壊
(
つい
)
えが来ないとは申されぬ
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の風貌は、馬場の形容を基にして私が描いて置いた好悪ふたつの影像のうち、わるいほうの影像と一分一厘の
間隙
(
かんげき
)
もなくぴったり重なり合った。
ダス・ゲマイネ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
博士は、そういう危険をものともせず、土台石の山を登り、わずかの
間隙
(
かんげき
)
をすりぬけて、アクチニオ四十五世たちの
祈祷場
(
きとうじょう
)
をなおも探しまわった。
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
割れ目の
間隙
(
かんげき
)
が 10-8cm 程度である場合にこの種の皮膜ができればそれによって間隙は
充填
(
じゅうてん
)
され、その皮膜はもはや流体としてではなく固体のごとき作用をして
鐘に釁る
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
主任建造者たるフイイーの考案によって巧みに明けられた数個の
間隙
(
かんげき
)
からは、銃身が差し出されるようになっていた。かく窓を固めることは、
霰弾
(
さんだん
)
の発射がやんでいたのでことに容易だった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
いかに迅速に、いかに緊密に——しかも敵をして
間隙
(
かんげき
)
を
窺
(
うかが
)
ういとまもなきうちに、これを
成就
(
じょうじゅ
)
さすかが——眼目であった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その説明が、ぎりぎりに正確を期したものであっても、それでも必ずどこかに嘘の
間隙
(
かんげき
)
が匂っているものだ。
東京八景:(苦難の或人に贈る)
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
汝
(
なんじ
)
の手に
触
(
ふ
)
れる板硝子と、往来から見える板硝子との間には、五十センチの
間隙
(
かんげき
)
がある。その間隙に、
儂
(
わし
)
の発明になる電気
廻折鏡
(
かいせつきょう
)
をつかった消身装置が廻っているのだ。
見えざる敵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いくら逃げても追い駆けて来る体内の敵をまくつもりで最後の奥の手を出してま近な二つの氷盤の
間隙
(
かんげき
)
にもぐり込もうとするが、割れ目は彼女の肥大な
体躯
(
たいく
)
を
容
(
い
)
れるにはあまりに狭い。
空想日録
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そして精神のうちにさわやかな柔らかい
潤
(
うるお
)
いを生じさして、
醇乎
(
じゅんこ
)
たる思索の、あまりに
峻厳
(
しゅんげん
)
な輪郭をなめらかにし、処々の欠陥や
間隙
(
かんげき
)
をうずめ、全体をよく結びつけ、観念の角をぼかしてくれる。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
進まんか、防柵や鉄砲に
阻
(
はば
)
められ、退こうとすれば、敵の追撃、また
挟撃
(
きょうげき
)
に揉みつつまれ、さしも
百錬
(
ひゃくれん
)
を誇る甲州武者も、その勇をほどこす
間隙
(
かんげき
)
もなかった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すべてが、どうでもいいのだ。演劇。それは、さぞ、立派なものでございましょう。俳優。ああ、それもいいでしょうね。けれども、僕は、動かない。ハッキリ、
間隙
(
かんげき
)
が出来ていた。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
怪人の身体と機関車との間には、三十センチほどの
間隙
(
かんげき
)
があきらかに認められました。前に兄が谷村博士邸で、天井に
逆
(
さかさ
)
にぶら下っていたとき、私は下から洋書を投げつけたことがあります。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし三河の徳川家康とは、この年、対甲同盟をむすび、いよいよ信玄に対しては、
間隙
(
かんげき
)
をゆるさなかった。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あなたの言葉と少しの
間隙
(
かんげき
)
も無くぴったりくっついて立っているのを見事に感じ、これは言葉に依る思想訓練の結果であろうか、或いはまた逆に、思想に依る言葉の訓練の成果であろうか
風の便り
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
要心ぶかいことでは、石橋を叩いて渡る主義の家康も、まさかと気づかずにいる
間隙
(
かんげき
)
にはちがいない。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
嘘の白々しい説明に
憂身
(
うきみ
)
をやつしているが、俗物どもには、あの
間隙
(
かんげき
)
を埋めている悪質の虚偽の説明がまた、こたえられずうれしいらしく、俗物の讃歎と
喝采
(
かっさい
)
は、たいていあの辺で起るようだ。
苦悩の年鑑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
故右府様御他界このかた、半年も
経
(
へ
)
ぬまに、遺臣の
輩
(
やから
)
が、はや
相剋内紛
(
そうこくないふん
)
しておると聞えては、世上に
醜
(
みぐる
)
しい。かつは、上杉、北条、毛利などの
窺
(
うかが
)
う
間隙
(
かんげき
)
ともなりはしまいか。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なんの
駈
(
か
)
け
引
(
ひ
)
きも、
間隙
(
かんげき
)
も無いのです。精一ぱいの言葉です。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
いや、秀吉の布陣も、内から見れば、大きな
間隙
(
かんげき
)
を持っております。よく
御覧
(
ごろう
)
じませ。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こう二人ずつ三
組
(
くみ
)
にわかれて、
甲府
(
こうふ
)
の
城下
(
じょうか
)
へまぎれこみ、
大久保家
(
おおくぼけ
)
の
内状
(
ないじょう
)
をさぐったうえにて、
間隙
(
かんげき
)
をはかって
館
(
たち
)
のうちに
捕
(
と
)
らわれている
咲耶子
(
さくやこ
)
をすくいだす
目的
(
もくてき
)
をしめし合わせた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よもや? ——とは思うものの、そう思われない人間がよく事の
間隙
(
かんげき
)
に
豹変
(
ひょうへん
)
する。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……然るに、これぱしの工事に、
二十日
(
はつか
)
もかかって、まだのめのめと、悠長な日を費やしておるとは、もってのほかな怠慢。もしこの
間隙
(
かんげき
)
に乗じて、一夜に
襲
(
よ
)
せて来る敵があったらどうするか
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
目睫
(
もくしょう
)
の大決戦期に、敵前これを実施するのは無謀とも大胆ともいえる。もし
間隙
(
かんげき
)
に
敗
(
やぶ
)
れんか、敗因の罪は一に敵前土木の工などに、かかずらっていた
迂愚
(
うぐ
)
にありと、世に
嘲
(
わら
)
わるるは
必定
(
ひつじょう
)
である。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
城南城西の一塁一塁へ向って、寄手の兵は
間隙
(
かんげき
)
を見ては攻めたてた。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“間隙”の意味
《名詞》
すき。あいだ。すきま。
なかたがい。不和。
(出典:Wiktionary)
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
隙
常用漢字
中学
部首:⾩
13画
“間”で始まる語句
間
間違
間際
間々
間諜
間柄
間近
間道
間隔
間髪