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遣切
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やりき
ふりがな文庫
“
遣切
(
やりき
)” の例文
「原稿料じゃ当分のうち間に合いません。稿料
不如
(
しかず
)
傘二本か。一本だと寺を
退
(
ひ
)
く坊主になるし、三本目には下り松か、
遣切
(
やりき
)
れない。」
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『ハア、今日はお義理でね。
眞實
(
ほんとう
)
に方々引張られるんで、
遣切
(
やりき
)
れやしない。今日あたり
宅
(
うち
)
に
寐轉
(
ねころ
)
んでる方が、いくら
可
(
い
)
いか知れやしない。』
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
『
獲物
(
えもの
)
無しサ。』と敬之進は舌を出して見せて、『朝から寒い思をして、一匹も釣れないでは君、
遣切
(
やりき
)
れないぢやないか。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
これではとても
遣切
(
やりき
)
れないといふので
資本
(
もとで
)
の手薄な
書肆
(
ほんや
)
はつい出版を
絶念
(
あきら
)
めて了ふ。お蔭で下らない
書物
(
ほん
)
が影を隠して世の中が至極
暢気
(
のんき
)
になつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「ま、耐らない、のむべゑが
兩人
(
ふたり
)
になられたんじや、私が
遣切
(
やりき
)
れないよ。」とお房は
無遠慮
(
ぶえんりよ
)
にかツ
貶
(
けな
)
す。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
▼ もっと見る
『とても
遣切
(
やりき
)
れない。茶でも
喫
(
の
)
まう。』
赤い杭
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
呼吸
(
いき
)
を詰めて、うむと
堪
(
こら
)
えて
凍着
(
こごえつ
)
くが、
古家
(
ふるいえ
)
の
煤
(
すす
)
にむせると、時々
遣切
(
やりき
)
れなくなって、
潜
(
ひそ
)
めた
嚔
(
くしゃめ
)
、ハッと
噴出
(
ふきだ
)
しそうで不気味な真夜中。
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その夏と、その前の年の夏と。もうどうにもこうにも
遣切
(
やりき
)
れなくなって、そんなことを思いついた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「でもお前、幾ら着物を作えたツて、苦勞は忘れられないよ。阿母さんのやうになツちや、是れツてえ樂しみがあるんじやなし、お酒でも飮まなけア
遣切
(
やりき
)
れないやね。」
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「ああでも言って
逐攘
(
おっぱら
)
わなくちゃ、
遣切
(
やりき
)
れやしないじゃないか」お島は
顫
(
ふる
)
えるような声で言った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
呼吸
(
いき
)
を
詰
(
つ
)
めて、うむと
堪
(
こら
)
へて
凍着
(
こゞえつ
)
くが、
古家
(
ふるいへ
)
の
煤
(
すゝ
)
にむせると、
時々
(
とき/″\
)
遣切
(
やりき
)
れなく
成
(
な
)
つて、
潛
(
ひそ
)
めた
嚔
(
くしやめ
)
、ハツと
噴出
(
ふきだ
)
しさうで
不氣味
(
ぶきみ
)
な
眞夜中
(
まよなか
)
。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
然
(
さ
)
うかね。
併
(
しか
)
し然う一々天氣にかこつけられちや、天氣も
好
(
い
)
い
面
(
つら
)
の皮といふもんさ。」と
苦笑
(
にがわらひ
)
して、「だが幾ら
梅雨
(
つゆ
)
だからツて、
此
(
か
)
う毎日々々降られたんぢや
遣切
(
やりき
)
れんね。 ...
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
吾家
(
うち
)
では子供も
殖
(
ふえ
)
る、
小商売
(
こあきない
)
には手を焼く、
父親
(
おやじ
)
は
遊蕩
(
のらくら
)
で
宛
(
あて
)
にもなりませんし、
何程
(
なんぼ
)
男
勝
(
まさ
)
りでも母親の腕一つでは
遣切
(
やりき
)
れませんから、
否
(
いや
)
でも応でも私は口を預けることになりました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お三輪も、
恐
(
こわ
)
いには二階が恐い、が、そのまま耳の
疎
(
うと
)
いのと
差対
(
さしむか
)
いじゃなお
遣切
(
やりき
)
れなかったか、また
袂
(
たもと
)
が重くなって、
附着
(
くッつ
)
いて
上
(
あが
)
ります。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ですから、お供を願いたいんで、へい、
直
(
じ
)
きそこだって旦那、
御冥加
(
ごみようが
)
だ。御祝儀と思召して一つ暖まらしておくんなさいまし、寒くって
遣切
(
やりき
)
れませんや。」
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
女房
(
にようばう
)
では、まるで
年
(
とし
)
が
違
(
ちが
)
ふ。
娘
(
むすめ
)
か、それとも
因果
(
いんぐわ
)
何
(
なに
)
とか
言
(
い
)
ふ
妾
(
めかけ
)
であらうか——
何
(
なに
)
にしろ、
私
(
わたし
)
は、
其
(
そ
)
の
耳
(
みゝ
)
かくしであつたのを
感謝
(
かんしや
)
する。……
島田髷
(
しまだ
)
では
遣切
(
やりき
)
れない。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「むむ、それもそうさの。
私
(
わっし
)
も信心をすみが、お
前
(
めえ
)
もよく拝んで御免
蒙
(
こうむ
)
って来ねえ。廓どころか、浄閑寺の方も一
走
(
はしり
)
が
可
(
い
)
いぜ。とても
独
(
ひとり
)
じゃ
遣切
(
やりき
)
れねえ、荷物は
確
(
たしか
)
に預ったい。」
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その掛稲は、一杯の陽の光と、
溢
(
あふ
)
れるばかり雀を吸って、むくむくとして、音のするほど膨れ上って、なお
堪
(
こら
)
えず、おほほほほ、笑声を吸込んで、
遣切
(
やりき
)
れなくなって、はち切れた。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
其
(
それ
)
だと
結構
(
けつこう
)
です……でないと
遣切
(
やりき
)
れません。
何
(
ど
)
うか
願
(
ねが
)
ひたいもんでございます。」
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
生命
(
いのち
)
の親とも思う恩人です。その大恩のある鷭の一類が、夫も妻も娘も
忰
(
せがれ
)
も、貸座敷の亭主と幇間の鉄砲を
食
(
くら
)
って、
一時
(
いっとき
)
に、
一百
(
いっそく
)
二三十ずつ、袋へ七つも詰込まれるんでは
遣切
(
やりき
)
れない。
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ううむ、ほんとうだ、が、こんな上段の
室
(
ま
)
では
遣切
(
やりき
)
れねえだ。——裏座敷の四畳半か六畳で、ふしょうして下さんせ、お膳の御馳走も、こんなにはつかねえが、私が
内証
(
ないしょ
)
でどうともするだよ。」
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「同じ事を、
可哀想
(
かわいそう
)
だ、と言ってくんねえ。……そうかと言って、こう張っちゃ、身も皮も石になって
固
(
かたま
)
りそうな、
背
(
せなか
)
が
詰
(
つま
)
って胸は裂ける……揉んでもらわなくては
遣切
(
やりき
)
れない。遣れ、構わない。」
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
真昼間
(
まっぴるま
)
でしょう、
遣切
(
やりき
)
れたもんじゃありゃしない。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
弱
(
よわ
)
つた……
遣切
(
やりき
)
れない。」
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
遣
常用漢字
中学
部首:⾡
13画
切
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
“遣”で始まる語句
遣
遣瀬
遣口
遣戸
遣手
遣繰
遣方
遣場
遣付
遣取