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襲
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かさね
ふりがな文庫
“
襲
(
かさね
)” の例文
また、時には少年の着るような薄色の
襲
(
かさね
)
を
覗
(
のぞ
)
かした好みを見せれば、次の夕方には、もう一人の男もそれに似合うた衣を
纏
(
まと
)
うていた。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
着つけは桃に
薄霞
(
うすがすみ
)
、
朱鷺色絹
(
ときいろぎぬ
)
に白い裏、
膚
(
はだえ
)
の雪の
紅
(
くれない
)
の
襲
(
かさね
)
に透くよう
媚
(
なまめ
)
かしく、白の
紗
(
しゃ
)
の、その狩衣を装い澄まして、
黒繻子
(
くろじゅす
)
の帯、箱文庫。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
御姫様は元より、二人の女房も、一度にこう云って、
襲
(
かさね
)
の袖を合せましたが、若殿様は、
愈御酒
(
いよいよごしゅ
)
機嫌の御顔を
御和
(
おやわら
)
げになって
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いよいよ
最
(
も
)
う
駄目
(
だめ
)
と
観念
(
かんねん
)
しました
時
(
とき
)
に、
私
(
わたくし
)
は
自分
(
じぶん
)
が
日頃
(
ひごろ
)
一ばん
大切
(
たいせつ
)
にしていた一
襲
(
かさね
)
の
小袖
(
こそで
)
を、
形見
(
かたみ
)
として
香織
(
かおり
)
にくれました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
薄紫の細長一領に、三重
襲
(
かさね
)
の
袴
(
はかま
)
を添えて
纏頭
(
てんとう
)
に出したのを使いが固辞して受けぬために、物へ包んで供の人へ渡した。
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
▼ もっと見る
二
襲
(
かさね
)
の衣を着つゝ尊き僧院にあるものは、昇りし二の光のみ、汝これを汝等の世に傳ふべし。 一二七—一二九
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
縁の上から
転
(
まろ
)
び落ちた泰子は、紅梅の
袿衣
(
うちぎ
)
や、白、青の
襲
(
かさね
)
衣も、またその黒髪もふり乱して、大地にうつぶし、どうかしたのか、そのまま起きもしないのである。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、ひどく礼を言った後で、きれいな着物一
襲
(
かさね
)
に
貂
(
てん
)
の
帽
(
ぼうし
)
と履物を添えてくれ、孔生が手足を洗い髪に櫛を入れて着更えをするのを待って、酒を出して
饌
(
めし
)
をすすめた。
嬌娜
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
僧等は幾
襲
(
かさね
)
の美しき衣を脱がせて、姫を
柩
(
ひつぎ
)
の上に臥させまつり、下に白き
希
(
きれ
)
を覆ひ、上に又
髑髏
(
どくろ
)
の
文樣
(
もんやう
)
ある黒き布を重ねたり。忽ち鐘の音聞えて、僧等の口は一齊に
輓歌
(
ばんか
)
を唱へ出しつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
包みを解いて見ると、中から出たのは一
襲
(
かさね
)
の衣類、羽二重の白無垢である。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
... 紋服を一
襲
(
かさね
)
くれたのだからな」チラリと長方形の箱を見たが「アッハハハ何んという態だ、ひどくその時の俺と来たら、しんみりとした気持になり、切ってかかろうともしなかったのだからな」
首頂戴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
道具の持ち出されてしまった部屋には、二人の礼服の
襲
(
かさね
)
に、長襦袢や
仕扱
(
しごき
)
などの附属が取り揃えられ、人々は高い声も立てずに、支度に取りかかった。
厳
(
おごそ
)
かな静かさが、部屋の空気を占めていた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
一陽
(
いちよう
)
を
襲
(
かさね
)
正月はやり来て
清風
(
せいふう
)
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
基経は姫の
棺
(
ひつぎ
)
に、
香匳
(
こうれん
)
、
双鶴
(
そうかく
)
の鏡、
塗扇
(
ぬりおうぎ
)
、
硯筥
(
すずりばこ
)
一式等をおさめ、さくら
襲
(
かさね
)
の
御衣
(
おんぞ
)
、薄色の
裳
(
も
)
に、
練色
(
ねりいろ
)
の
綾
(
あや
)
の
袿
(
うちぎ
)
を揃えて入れた。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
紫の
襲
(
かさね
)
の片袖、紋清らかに革鞄に落ちて、
膚
(
はだ
)
を裂いたか、女の片身に、
颯
(
さっ
)
と流るる
襦袢
(
じゅばん
)
の
緋鹿子
(
ひがのこ
)
。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
着ているのは黒い
袷
(
あわせ
)
の一
襲
(
かさね
)
で、初めの人と同じような姿であったが、この人には人を
惹
(
ひ
)
きつけるような柔らかさ、
艶
(
えん
)
なところが多くあった。また弱々しい感じも持っていた。
源氏物語:48 椎が本
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
筒井のために作られた衣裳はまるで御娘子と同じ模様の
襲
(
かさね
)
も青い
練絹
(
ねりぎぬ
)
であった。筒井はそれを携えた御娘子に辞退して、押しやって
勿体
(
もったい
)
ながった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
白衣
(
びゃくえ
)
に
緋
(
ひ
)
の
襲
(
かさね
)
した
女子
(
おなご
)
を馬に乗せて、黒髪を
槍尖
(
やりさき
)
で縫ったのは、かの国で引廻しとか
称
(
とな
)
えた罪人の姿に似ている、私の
手許
(
てもと
)
に迎入るるものを、
不祥
(
ふしょう
)
じゃ、
忌
(
いま
)
わしいと言うのです。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
普通の絹や
綾
(
あや
)
も下のほうには詰め敷かれてあって、女王がたにと思ったらしい二
襲
(
かさね
)
の特に美しく作られた物の、その一つのほうの
単衣
(
ひとえ
)
の
袖
(
そで
)
に、次の歌が書かれてあった、少し昔風なことであるが。
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
生絹はその僅かな留守居のあいだにも、何度か
聞耳
(
ききみみ
)
を立て、何度か往来の道ばたに出て行った。きゅうに春めいた田や畠は
萌
(
も
)
えた青い粉を
雑
(
ま
)
ぜた、
襲
(
かさね
)
の色に見えた。
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
襲
(
かさね
)
を透いた空色の
絽
(
ろ
)
の色ばかり、すっきりして、
黄昏
(
たそがれ
)
の
羅
(
うすもの
)
はさながら幻。そう云う自分はと云うと、まるで裾から煙のようです。途端に横手の縁を、すっと通った
人気勢
(
ひとけはい
)
がある。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
平生からこの人の夏物、冬物を幾
襲
(
かさね
)
となく作って用意してある養母であったから、香の
唐櫃
(
からびつ
)
からすぐに品々が選び出されたのである。朝の
粥
(
かゆ
)
を食べたりしたあとで夫人の居間へ夕霧ははいって行った。
源氏物語:39 夕霧一
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
唖の娘はさまざまな海の貝、衣裳の断ちぎれ、造花を筒井におくり、宮腹の主人は紅梅色の
襲
(
かさね
)
を生きがたみとして贈り、亡妻のこまごまとした女物を筒井にあたえた。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
白の
角通
(
かくとお
)
しの
縮緬
(
ちりめん
)
、かわり色の
裳
(
もすそ
)
を払って、
上下
(
うえした
)
対の
袷
(
あわせ
)
の
襲
(
かさね
)
、
黒繻珍
(
くろしゅちん
)
に金茶で
菖蒲
(
あやめ
)
を織出した丸帯、
緋綸子
(
ひりんず
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
、冷く絡んだ雪の
腕
(
かいな
)
で、
猶予
(
ため
)
らう色なく、持って来た銚子を向けつつ
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とある庭のある構えの内からよき
襲
(
かさね
)
をひからせた物好きな男が一人、
銭
(
ぜに
)
乞
(
こ
)
うにはあらざるふうに細い笛を吹いて、生絹の顔をみつめていた。男の顔は粉のように白かった。
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
あなたさまのご都合よきときに紅梅色の一
襲
(
かさね
)
なりとも送りくださいませ。
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
同じ武家の姫となぞらえて迎えるような
手筈
(
てはず
)
は、とうに、はぎ野は知っているはずだった、母からの衣裳や髪化粧の具、
袿
(
うちかけ
)
や
襲
(
かさね
)
の数々もひそかに母からわたされていることを知っている経之は
野に臥す者
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
“襲(襲の色目)”の解説
襲の色目(かさねのいろめ)は、女房装束の袿の重ね(五衣)に用いられた襲色目の一覧。
狩衣の表裏で表す重ねの色目は「色目」を
当時の絹は非常に薄く裏地の色が表によく透けるため、独特の美しい色調が現れる。
一覧の見方は、各小見出しごとに着用時期を、太字が名称を表し、一番上に重ねる衣から順に表(裏)の色を書いて行き最後が単(ひとえ)の色になる。
(出典:Wikipedia)
襲
常用漢字
中学
部首:⾐
22画
“襲”を含む語句
襲撃
襲衣
世襲
踏襲
夜襲
襲來
逆襲
下襲
襲来
一襲
空襲
襲着
因襲
什襲
因襲的
山吹襲
襲重鱗茎
来襲
御襲
熊襲
...