のり)” の例文
随竜垣に手を掛けて土庇どびさしの上へ飛上って、文治郎鍔元つばもとへ垂れるのりふるいながら下をこう見ると、腕が良いのに切物きれものが良いから、すぱり
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
もう、一面に算を乱して、溝泥どぶどろ擲附たたきつけたようなのりの中に、伸びたり、縮んだり、転がったり、何十人だか数が分りません。——
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なにさまこれは負傷したのに相違ないが、それにしても重傷おもで擦創かすりかと、傷所いたみしょへ手をってみれば、右も左もべッとりとしたのり
をさめずやとかゝをりにも老功なれば物に動ぜず理非りひ明白めいはくのべさとせし父が言葉ことばにお光はやう/\承知してやいばのり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「お見事。……まず……これでのりを……」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と宗觀も音助もびっくり致しました。絶え/″\に成っていました新吉はのりに染った手を突き、耳をたって聞いております。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
うたひながら悠々いう/\大宮村おほみやむらへと行けるをりから畔倉は少し遣過やりすごしつゝうかゞよつて後より大袈裟掛おほげさがけに切付れば流石さすがの金兵衞も手練てなみの一刀にたまり得ずアツと一こゑさけびしまゝ二ツに成てはてたりけり重四郎は呵々から/\と打笑ひ仕てやつたりと云ながら刀ののり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
にベッタリ黒いものが付いて有るのはのりじみサ、取上げて見ると丸に三の字の焼印が捺して有る、宜うがすか、旦那のうちの鎌、ひょっとしてほかの奴が
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と気丈な殿様なればたもとにて疵口きずぐちしっかと押えてはいるものゝ、のりあふれてぼたり/\と流れ出す。
大藏はのりだらけになりました手をお菊の衣類きもので拭きながら、そっと庭伝いに来まして、三尺のしまりのある所を開けて、密っと廻って林藏という若党のいる部屋へまいりました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
甚「此の鎌で殺しゃアがった、ひどい雨で段々のりは無くなったが、見ねえ、が滅多におちねえ物とみえて染込しみこんで居らア、磨澄とぎすました鎌で殺しゃアがった、是でりゃアがった」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ウーンと云う処へ、プツーリッとた一とかたなあびせ、胸元へとゞめを差して、庄左衞門の着物でのりぬぐって鞘へ納め、小野庄左衞門の懐へ手を入れて見ましたが何もございません
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
のりぬぐってさやに納め、額の疵へ頭陀の中より膏薬こうやくを出して貼付け、後鉢巻うしろはちまきをして
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
百姓はキャーと悲鳴を上げる間もなくドンと足下そっかに掛けたから、百姓もモンドリを打ってドブンと落入りました様子を見て、懐から小菊を取出し、大刀ののりを拭って鐘ヶ淵へ投げ込み
と布団を引剥ひっぱいで見ますと、今年二十五になります現在おのれの実子早四郎が俯伏うつぷしになり、のりに染って息が絶えているのを見ますと、五平は驚いたのなんのではございません、真蒼まっさおになって
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
春見は人が来てはならんと、助右衞門の死骸を蔵へ運び、葛籠つゞらの中へ入れ、のりらんようにこもで巻き、すっぱり旅荷のようにこしらえ、木札きふだを附け、い加減の名前を書き、井生森に向い。
引払ひっぱらって突きにかゝる途端に、ころり足がすべって雪の中へ転ぶと一杯ののり
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何う成るか此方こちらも怖いのに心急こゝろせくから、其の儘に藤川庄三郎は、五百円と時計と持って御成街道おなりかいどうかたに参りますと、見送った新助はのりに染ったなりひょろ/\出て、向うの中坂下なかざかしたについて
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
水色染の帷子へぽたり/\と血が流れるを見て文治郎はっとひたえを押え、てのひらを見ると真赤にのりみましたから、此奴こやつ不埓至極な奴、文治郎の面部へ疵を付けるのみならず、重々じゅう/\悪口雑言あっこうぞうごん
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
死骸で庭がのりだらけに成ってるから、泥の処は知れぬように取片付とりかたづけて置いた、なそれ、縁の下への様に入れて置いたから知れやアせん、江戸と違って犬は居ず、うずめるはまアあとでも
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
非道にも谷川へごろ/\/\/\どんと突落し、餞別に貰いました小豆あずきひえは邪魔になりますから谷へ捨て、のりを拭って鞘に納め、これから支度をして、元来た道を白島村へ帰って来ました。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
の虚無僧は刀ののりを拭って刃に障りはせんかと刃を見て鞘に納め
小平は刀ののりを死骸の着物で拭い、鞘に納め、暗夜くらやみながらぴか/\する黄金こがねの光を見当みあてに掻き集め、無茶苦茶に手拭に包んだりたもとへ入れたりして、丹治の死骸を川中へ蹴落し、又悪党でも親子の情で
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)