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かやはら
ふりがな文庫
“
萱原
(
かやはら
)” の例文
「ここは背も
埋
(
うず
)
む
萱原
(
かやはら
)
。あれまでお運びたまわれい。おなじことなら、ご
最期
(
さいご
)
には、人の聞えにも、おすずやかがよろしゅうおざろう」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
斯
(
か
)
うして
殆
(
ほとん
)
ど
毎日
(
まいにち
)
の
如
(
ごと
)
く
掘
(
ほ
)
つて
居
(
ゐ
)
る
間
(
うち
)
に、
萱原
(
かやはら
)
を三
間
(
げん
)
幅
(
はゞ
)
で十
間
(
けん
)
ばかり、
南
(
みなみ
)
から
北
(
きた
)
まで
掘進
(
ほりすゝ
)
んで、
畑
(
はた
)
の
方
(
はう
)
まで
突拔
(
つきぬ
)
けて
了
(
しま
)
つた。
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
そうであろう、顔色は青く、目は光を失い、頭髪は
萱原
(
かやはら
)
のように乱れ、そして艶のない頬の上にどろりと、赤黒い血痕が附着しているのであったから。
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
折られてどうしてまあすぐ飛べませう。あの
萱原
(
かやはら
)
の中に落ちてひいひい泣いてゐたのでございます。それでも昼の間は、
誰
(
たれ
)
も気付かずやっと夕刻、私が顔を
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
昔の武蔵野は
萱原
(
かやはら
)
のはてなき光景をもって絶類の美を鳴らしていたようにいい伝えてあるが、今の武蔵野は林である。林はじつに今の武蔵野の特色といってもよい。
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
皮を
剥
(
は
)
いだ痕があったとか、五六尺もある
萱原
(
かやはら
)
に、腰から下だけが隠れていたとか、または山小屋を
跨
(
また
)
いでゆさぶったとか、いろいろな珍しい話を伝えているかと思うと
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
鴨が
声
(
ね
)
を聞いたのだっけ。そうだ。
訳語田
(
おさだ
)
の家を引き出されて、
磐余
(
いわれ
)
の池に行った。堤の上には、
遠捲
(
とおま
)
きに人が一ぱい。あしこの
萱原
(
かやはら
)
、そこの
矮叢
(
ぼさ
)
から、首がつき出て居た。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
向日葵
(
ひまはり
)
、
向日葵
(
ひまはり
)
、
百日紅
(
ひやくじつこう
)
の
昨日
(
きのふ
)
も
今日
(
けふ
)
も、
暑
(
あつ
)
さは
蟻
(
あり
)
の
數
(
かず
)
を
算
(
かぞ
)
へて、
麻野
(
あさの
)
、
萱原
(
かやはら
)
、
青薄
(
あをすゝき
)
、
刈萱
(
かるかや
)
の
芽
(
め
)
に
秋
(
あき
)
の
近
(
ちか
)
きにも、
草
(
くさ
)
いきれ
尚
(
な
)
ほ
曇
(
くも
)
るまで、
立
(
たち
)
蔽
(
おほ
)
ふ
旱雲
(
ひでりぐも
)
恐
(
おそろ
)
しく、
一里塚
(
いちりづか
)
に
鬼
(
おに
)
はあらずや
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
源内先生は、堤の高みへ上り
手庇
(
てびさし
)
をして、広い
萱原
(
かやはら
)
をあちらこちらと眺めながら
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
行くてに当って、大きな炎が、真っ赤に、大地を
焦
(
や
)
いていた。この風であるし、
萱原
(
かやはら
)
であるし、まるで、油をそそがれたように火はまわる。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
萱原
(
かやはら
)
准尉は、自分が運転をしているかのように、
額
(
ひたい
)
に汗をにじませて少佐と並んで、地下戦車のうしろから
覗
(
のそ
)
く。
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
折られてどうしてまあすぐ飛べましょう。あの
萱原
(
かやはら
)
の中に落ちてひいひい泣いていたのでございます。それでも昼の間は、
誰
(
たれ
)
も気付かずやっと夕刻、私が顔を
二十六夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
初
(
はじ
)
めて
萱原
(
かやはら
)
に
分入
(
わけい
)
つた
時
(
とき
)
に
居
(
ゐ
)
た
活東子
(
くわつとうし
)
は
死
(
し
)
んだ。
望蜀生
(
ぼうしよくせい
)
は
如何
(
どう
)
したのか、
寄
(
よ
)
りつきも
仕
(
し
)
ない。
狹衣子
(
さごろもし
)
は
役者
(
やくしや
)
に
成
(
な
)
つて、あの
泥
(
どろ
)
を
渫
(
しやく
)
つた
手
(
て
)
でお
白粉
(
しろしい
)
を
解
(
と
)
きつゝあり。
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
萱原
(
かやはら
)
の一端がしだいに高まって、そのはてが天ぎわをかぎっていて、そこへ
爪先
(
つまさき
)
あがりに登ってみると、林の絶え間を国境に連なる
秩父
(
ちちぶ
)
の諸嶺が黒く横たわッていて
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
峰の松原も、
空様
(
そらざま
)
に枝を掻き上げられた様になって、悲鳴を続けた。谷から
峰
(
お
)
の
上
(
へ
)
に生え
上
(
のぼ
)
って居る
萱原
(
かやはら
)
は、一様に上へ上へと
糶
(
せ
)
り昇るように、葉裏を返して
扱
(
こ
)
き上げられた。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
萱原
(
かやはら
)
の中に寝たために萱の葉で尻を切り、それで今でもイテテテと啼いて、そういう処を飛びまわるのだという笑話であって、殺されたのではないが切ったという条はなお残っている。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そして、ほとんど半死半生のすがたになった彼を、
萱原
(
かやはら
)
の枯れ木の幹に賊たちは
縛
(
くく
)
りつけて、やがて、範宴の身も、朝麿の身も、同様に、うしろ手に
縛
(
いま
)
しめて
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
少佐のそばに目を丸くして立っていた
萱原
(
かやはら
)
という
古強者
(
ふるつわもの
)
の小隊長が、少佐に向っていったことである。
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今日
(
けふ
)
は
天氣
(
てんき
)
が
快
(
い
)
いからとて、
幻花子
(
げんくわし
)
が
先導
(
せんだう
)
で、
狹衣
(
さごろも
)
、
活東
(
くわつとう
)
、
望蜀
(
ばうしよく
)
の三
子
(
し
)
が、
鍬
(
くわ
)
を
擔
(
かつ
)
いで
權現臺
(
ごんげんだい
)
に
先發
(
せんぱつ
)
した。
後
(
あと
)
から
余
(
よ
)
も
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
ると、
養鷄所
(
やうけいじよ
)
の
裏手
(
うらて
)
の
萱原
(
かやはら
)
の
中
(
なか
)
を、四
人
(
にん
)
て
連
(
しき
)
りに
掘散
(
ほりち
)
らして
居
(
ゐ
)
る。
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
「梢が——梢が——」と、必死になって、道もない
萱原
(
かやはら
)
の中へまろび入った。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
実は
朱実
(
あけみ
)
は恐かったのである。そう
罵
(
ののし
)
ると、彼の手を払って、
驀
(
ま
)
っしぐらに走ってしまった。そのむかし
燈籠
(
とうろう
)
の
大臣
(
おとど
)
といわれた小松殿の
館
(
やかた
)
があった跡だという
萱原
(
かやはら
)
を、彼女は、泳ぐように逃げてゆく。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御薬園裏の
萱原
(
かやはら
)
で——と場所まで
指
(
さ
)
して。
御鷹
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
萱
漢検準1級
部首:⾋
12画
原
常用漢字
小2
部首:⼚
10画
“萱原”で始まる語句
萱原准尉