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ごまか
ふりがな文庫
“
胡麻化
(
ごまか
)” の例文
「相変らず元気がいいね。結構だ。君は十年前と
容子
(
ようす
)
が少しも変っていないからえらい」と鈴木君は柳に受けて、
胡麻化
(
ごまか
)
そうとする。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしそれは特別手当とか、実際はやらない夜勤手当とかで
胡麻化
(
ごまか
)
して、金を払ったので、正式に勅任官待遇にしたわけではない。
六三制を活かす道
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
暈
(
ぼか
)
して
胡麻化
(
ごまか
)
してしまう。偉いぞお菊、その呼吸だ。
御台所
(
みだいどころ
)
に成れるかもしれねえ。俺はお前の弟子になろう、ひとつ俺を仕込んでくれ
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
女学生なら、先生に泣き付いて出欠を
胡麻化
(
ごまか
)
す。色仕掛で落第を喰い止める。職業婦人だと、会計を軟化させて前借をして逃げる。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「曲者は、板倉屋のお絹が
狙
(
ねら
)
ひだつたのさ。他の三人の若い女は、狙ひの當人を
胡麻化
(
ごまか
)
すための氣の毒な道連れだつたに違ひない」
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
よもやそれ程の金入とも存じませんから
好加減
(
いゝかげん
)
に
胡麻化
(
ごまか
)
し掛けたを問詰められ、
流石
(
さすが
)
の悪人も
顔色
(
がんしょく
)
が変って返答に差詰りました。
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「そんな、
寝惚
(
ねぼ
)
けたふりしたかて、
胡麻化
(
ごまか
)
されまつかいな。リヽー
遣
(
や
)
んなはるのんか
孰方
(
どっち
)
だす? 今はつきり云うて頂戴。」
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
掛けた当座は腰の
業物
(
わざもの
)
を奉納しようと思ひながら、願が叶ふとついそれが惜しくなつて、飛んだ
贋物
(
にせもの
)
で
胡麻化
(
ごまか
)
してしまふ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
談話するにさえ一言一句を考え考え腹の底から
搾出
(
しぼりだ
)
し、口先きでお
上手
(
じょうず
)
や
胡麻化
(
ごまか
)
しをいう事が決して出来なかった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
乗船切符を偽らず右様な大金の話でない、
極々
(
ごくごく
)
些細の事でも
一寸
(
ちょい
)
と
胡麻化
(
ごまか
)
して
貪
(
むさぼ
)
るようなことは私の虫が好かない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「なァ、おみねさん。
胡麻化
(
ごまか
)
しちゃいけないよ。敷っぱなしの寝床か、人が寝ていた寝床か、ぐらいは、警視庁のおまわりさんにも見分けがつくんだよ」
ネオン横丁殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あいにく今は四月の
陰
(
くも
)
った日の午後五時近くであった上に、きょうはほとんど日光を見なかったことに気がついたので、なんとかそれを
胡麻化
(
ごまか
)
そうとしたが
世界怪談名作集:12 幻の人力車
(新字新仮名)
/
ラデャード・キプリング
(著)
たまさんは二十二になり、兄弟とは七つも違ひ、呼びとめられると孝一は素早く外に出て行つた弟を、わざと大聲に呼んで見て、氣持を
胡麻化
(
ごまか
)
さうとあせつた。
めたん子伝
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
(四)真面目 彼は
詐
(
いつは
)
らんには余り聡明なり、
胡麻化
(
ごまか
)
さんには余り多感なり。自ら見る明故に詐る能はざる也。良心の刺撃太だ切、故に胡麻化す能はざるなり。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
「高輪の家ですか。あれは君、実に馬鹿々々しい話サ……好い具合に人に
胡麻化
(
ごまか
)
されて了いました……」
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そんないやがらせ云ったって、素直に私帰りませんけれど、もし寝言のふりしてあたしを
胡麻化
(
ごまか
)
すつもりなら、はっきりお断りしときますが、どうせあたしはね。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
解散のどさくさで誰が何を持ち出した、誰がいくら
胡麻化
(
ごまか
)
したと、酔いが廻るにつれて暴露し合い出して、最後の時分は宴席のあちこちで
殴
(
なぐ
)
り合いさ。浅間しいもんだ。
蜆
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
女給さんの方がとにかく
表面
(
うわべ
)
だけは
素人
(
しろうと
)
なんですからね。何をするにも
胡麻化
(
ごまか
)
しがききますよ。わたし、つくづくそう思っているのよ。わたしの家のすぐ
隣
(
となり
)
が待合さんなのよ。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「仕方ないからよそへ原稿書きに行っていたと言って
胡麻化
(
ごまか
)
して、
御馳走
(
ごちそう
)
して帰したわ。」
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
現世の
真面目
(
まじめ
)
な勤勉が、何らそれに正比例する報いを保証しない。案外に人目を
胡麻化
(
ごまか
)
して追従贈賄を行うと
利目
(
ききめ
)
がある。そのような事実は人心を極度に自棄的にするものである。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
何しろ口が旨いから、空疎な講義の内容も、十分
胡麻化
(
ごまか
)
されるし、学者仲間には兎も角、世間に対しては、いかにも学殖のある篤学の士のように見せかける事は、
易々
(
いい
)
たる事である。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
この事が大津絵に限りない美しさを産むのである。どの線にも
胡麻化
(
ごまか
)
しはない。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
しかしラードの時は大概手軽な
胡麻化
(
ごまか
)
し料理にする
方
(
かた
)
が多いようです。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
刻限一杯は、姪の処へでも行って油を売って
胡麻化
(
ごまか
)
そう。
沓掛時次郎 三幕十場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
「イヤ、
胡麻化
(
ごまか
)
してはいかん、娘はもう白状して居る。花房君、何を遠慮して居るんだ、
其奴
(
そやつ
)
を縛り上げて、
謄本
(
コピー
)
を取り上げてくれ給え」
女記者の役割
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「そんな、
寝惚
(
ねぼ
)
けたふりしたかて、
胡麻化
(
ごまか
)
されまっかいな。リリー
遣
(
や
)
んなはるのんか
孰方
(
どっち
)
だす? 今はっきり云うて
頂戴
(
ちょうだい
)
。」
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
爆弾船
(
ドンぶね
)
の連中が持っている一本釣の道具が、本物かそれとも
胡麻化
(
ごまか
)
し用の役に立たないものかといったような鑑別が一眼で出来よう筈がない。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかも犯人は十分もかかりながら
遽
(
あわ
)
てくさってライターを落とし、おみねさんは
胡麻化
(
ごまか
)
すにことかいて、ゆかりの寝床を直すことさえ気がつかなかった。
ネオン横丁殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「何だか
厭世
(
えんせい
)
の様な呑気の様な妙なのね。
私
(
わたし
)
よく分らないわ。けれども、少し
胡麻化
(
ごまか
)
していらっしゃる様よ」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こんな言い方は
胡麻化
(
ごまか
)
しであって
悉皆
(
しっかい
)
の表現がおよばないようだが、全くそれはすぐれた
綺倆
(
きりょう
)
をもった女の人に、その類似をもとめてみると楽に現わせるものに思えた
陶古の女人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
歴史上の英雄豪傑は
悉皆
(
みんな
)
婦人
(
をんな
)
で世間体を
胡麻化
(
ごまか
)
すために男装をしてゐたまでです。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
丸次の手前を
胡麻化
(
ごまか
)
し、その次は時節柄さる御贔屓の別荘へお伴をすると云いこしらえて、三日ばかりとまって、何喰わぬ顔で新橋へ帰って来ますと、イヤハヤ、隠すより
顕
(
あらわ
)
るるはなし。
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私は段々不安な気持になって来るのを
胡麻化
(
ごまか
)
す為に、力一杯鍬を打ちおろしていたら、急に手ごたえがぶよぶよすると思った時、私の鍬の先に、白いふやけたような人間の脚首がくっついて来た。
風宴
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
葉子はそう言って、寂しさを
胡麻化
(
ごまか
)
していた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
禁ぜられていたし
酔
(
よ
)
っては
肝腎
(
かんじん
)
の手曳きの役が
忽諸
(
こつしょ
)
になるから飲む真似をして
胡麻化
(
ごまか
)
しているのを利太郎が
眼敏
(
めざと
)
く見つけ
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
おれの眼は
胡麻化
(
ごまか
)
せないと思ったから訊かれるとすぐ身の上を打ち開けて正直そうに持ちかけ、しんみりさせて自分を信用させるつもりだったのさ。
銭形平次捕物控:168 詭計の豆
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「実は自分の亡くなった妻が好きだったので尺八を吹くものが来ると引き止める事にしているのだ」と
胡麻化
(
ごまか
)
した。
黒白ストーリー
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
彼
(
かれ
)
は
此
(
この
)
心細
(
こゝろぼそ
)
い
解答
(
かいたふ
)
で、
僥倖
(
げうかう
)
にも
難關
(
なんくわん
)
を
通過
(
つうか
)
して
見
(
み
)
たい
抔
(
など
)
とは、
夢
(
ゆめ
)
にも
思
(
おも
)
ひ
設
(
まう
)
けなかつた。
老師
(
らうし
)
を
胡麻化
(
ごまか
)
す
氣
(
き
)
は
無論
(
むろん
)
なかつた。
其時
(
そのとき
)
の
宗助
(
そうすけ
)
はもう
少
(
すこ
)
し
眞面目
(
まじめ
)
であつたのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ねえ、ポーニンさん、ともかくも、そのすじの奴等に雑草園をしらべられると困りますから、それを
胡麻化
(
ごまか
)
すため、例の
骨折賃
(
ほねおりちん
)
の
饗宴
(
きょうえん
)
を、すぐさま雑草園で始めてはどうでしょう。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それ故
矢
(
ヤア
)
さんからひやかされたのを、なまじ
胡麻化
(
ごまか
)
すよりも
明
(
あから
)
さまに打明けてしまった方が、結句面倒でなくてよいと思ったのである。
矢
(
ヤア
)
さんは内心むっとしたらしいのを笑いにまぎらせて
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「へつ、自動車の奴め、俺を
胡麻化
(
ごまか
)
さうたつて、さうは
往
(
ゆ
)
くもんかい。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「こら
胡麻化
(
ごまか
)
しちやいけない。」
チビの魂
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「どうなさいましたの」と芸者が尋ねると、「どうもリュウマチでね」とか何とか
胡麻化
(
ごまか
)
していたが、その手で飲んだ杯を平気で誰にでも差した。
文壇昔ばなし
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
、知らないはずはないのに、何かと
胡麻化
(
ごまか
)
すことばかり考えているようで、あの総七という
主人
(
あるじ
)
は油断がなりません
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
大勢連れで露店を掻きまわしたり、飲食店の皿数を
胡麻化
(
ごまか
)
したりするのは、東京に限らぬ学生たちのわるさである。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
こう云う場合に顔を利かして我が
儘
(
まま
)
を云い、順番を
胡麻化
(
ごまか
)
して貰う手があったが、ここではそう云う手を使う余地がなく、待合室に待っている間も
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
胡麻化
(
ごまか
)
すのは、番頭の外にない。が、有金千三百四十八兩と書いてあるのに、清松の盜んだ三百兩を勘定することを
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
当てもない妻の霊に対して、おんなじような
詫
(
わ
)
びごとを繰返し繰返し良心の
呵責
(
かしゃく
)
を
胡麻化
(
ごまか
)
しているのであった。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
母親の方は明かに
遣
(
や
)
り込められている様子で、たまに一と言二た言ぐらい口返答をするけれども、
胡麻化
(
ごまか
)
すようにコソコソと云うので、よく聞えない。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
、知らない筈は無いのに、何彼と
胡麻化
(
ごまか
)
すことばかり考へて居るやうで、あの總七といふ
主人
(
あるじ
)
は油斷がなりません
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
胡
漢検準1級
部首:⾁
9画
麻
常用漢字
中学
部首:⿇
11画
化
常用漢字
小3
部首:⼔
4画
“胡麻化”で始まる語句
胡麻化手段