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白粉
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しろい
ふりがな文庫
“
白粉
(
しろい
)” の例文
紹介もなしに
傍
(
そば
)
へ寄って来て、無理に彼女と一緒に踊った、あのずうずうしい、お
白粉
(
しろい
)
を塗った、にやけた男がそれだったのです。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「なるほどな、真白なお多福さんが出来上ったな、あはははははは、だがな、女の子だもの、お
白粉
(
しろい
)
ぐれいはな、いいやなあ あはははは」
かやの生立
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そう言って、さも
嘲
(
あざ
)
けるように笑っている。事実、顔の浅黒い娘が
頸
(
くび
)
にだけ真白にお
白粉
(
しろい
)
をつけているのが変てこだと思っているのである。
三つの挿話
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
その稚児さんは、お
白粉
(
しろい
)
をぬりこくって顔をいろどっているけれど、よく見ると、お
多福湯
(
たふくゆ
)
のトネ子でありましたので
狐
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
むらさき色の
単衣
(
ひとえ
)
、赤い帯はしめておりますが、顔をみると、目も鼻も口もなく、お
白粉
(
しろい
)
をぬったしゃもじに、着物をきせたようなノッペラ坊です。
幻術天魔太郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
一寸奥の六畳へ行って徳に逢ってやっておくれ、徳が今日はお
白粉
(
しろい
)
を
粧
(
つ
)
けて待っていたのだから、お前に逢わないと粧けたお白粉が
徒
(
むだ
)
になってしまう
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私は伊藤の鏡台を見て、それが笠原の鏡台よりもなか/\立派で、黄色や赤や緑色のお
白粉
(
しろい
)
まで
揃
(
そろ
)
っているので
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
スミルノーフ わが身を生きながら埋めてしまった人が、やっぱりお
白粉
(
しろい
)
だけは忘れなかったってね!
熊:笑劇 一幕
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
『
鍋
(
なべ
)
のお
白粉
(
しろい
)
を施けたとこは
全然
(
まるで
)
炭団
(
たどん
)
へ霜が降ッたようで御座います』ッて……
余
(
あんま
)
りじゃア有りませんか、ネー貴君、なんぼ私が不器量だッて余りじゃアありませんか
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
頤
(
あご
)
や、襟すじに、ほの白い青味がかって参りますと、お
白粉
(
しろい
)
なぞはちっともつけないままに、そのあたりがお母様と生きうつしの恰好に見えて来るので御座いました。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お
白粉
(
しろい
)
で刺青をした……お白粉で入れたやつは、ふだんはわからないけれど風呂に這入ったり
蝱の囁き:――肺病の唄――
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
この騒動中比較的静かであったのは、次女のすん子嬢である。すん子嬢は向うむきになって棚の上からころがり落ちた、お
白粉
(
しろい
)
の
瓶
(
びん
)
をあけて、しきりに御化粧を
施
(
ほどこ
)
している。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
越智がまだしげしげ動坂の家へ来て母が客間に永い間とじこもっているような頃、保が、伸子に向って、越智さんが来るとお母様どうしてお
白粉
(
しろい
)
をつけるんだろう、と云ったことがあった。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
田打櫻
(
タウヂざくら
)
の
花
(
ハナコ
)
でも、
蕗臺
(
バキヤタヂ
)
の
花
(
ハナコ
)
でも、
彼處
(
アコ
)
の
田畔
(
タノクロ
)
ガラ見れバ
好
(
エ
)
エ
花見
(
はなみコ
)
だデバせ。
弘前
(
フロサギ
)
の
公園地
(
こうゑんち
)
の
觀櫻會
(
くわんあうくわい
)
だけヤエにお
白粉
(
しろい
)
臭
(
カマリコ
)
アポツポドするエンタ物で
無
(
ネエ
)
ネ。フン!
二十六
(
にじふろく
)
の
夫
(
オド
)
有
(
も
)
タテ何ア目ぐせバ。
地方主義篇:(散文詩)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
とお
白粉
(
しろい
)
を塗つた給仕の女は少年を見て挨拶した。
貝殻追放:013 先生の忠告
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
ナオミは両手にお
白粉
(
しろい
)
を溶き、まだ湯煙の立っている肉づきのいい肩から
項
(
うなじ
)
を、その手のひらで右左からヤケにぴたぴた
叩
(
たた
)
きながら云いました。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
お
白粉
(
しろい
)
は屋敷だから常は薄うございますが、
十九
(
つゞ
)
や
二十
(
はたち
)
は色盛り、器量
好
(
よし
)
の娘お照、親の前へ両手を突いて
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
キヌちゃんはその手紙を
貰
(
もら
)
ってから、急にお
白粉
(
しろい
)
が濃くなったとか、
円
(
まる
)
鏡に
紐
(
ひも
)
をつけて帯の前に
吊
(
つる
)
し、仕事をしながら終始
覗
(
のぞ
)
きこんでいるとか、際限がない。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
母親は、死ぬ間際に顔が汚ないと言って、お
白粉
(
しろい
)
などで薄く刷き、戸棚の中から
琴柱
(
ことじ
)
の箱を持って来させて
家霊
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
三平は鏡をのぞきながらそこにあるお
白粉
(
しろい
)
を真白に塗り付けた。
黛
(
まゆずみ
)
で眉と生え際を塗った。お神さんの着物を着て帯を締めた。次にスキ毛を頭に載せて手拭いを冠った。
黒白ストーリー
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
そのうちに、香川礼子の
身扮
(
みなり
)
が、見違えるほど美しくなって行きました。髪のウエーヴが新しくなり、お
白粉
(
しろい
)
がフランス製になり、——いやそれどころではありません。
新奇談クラブ:04 第四夜 恋の不在証明
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
餡と一緒にお
白粉
(
しろい
)
までも洗い落して了ったと見え、却って前よりは冴え/″\として、つやのある玉肌の
生地
(
きじ
)
が一と際透き徹るように輝いて居る。
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
又は茶色に変色した虐待致死の
瘢痕
(
はんこん
)
を
砥
(
といし
)
の粉で
蔽
(
おお
)
うて、皮膚の皺や、繃帯の
痕
(
あと
)
を押し伸ばし押し伸ばしお
白粉
(
しろい
)
を施して行く手際なぞは、実に驚くべきもので、多分遊廓の
遣手婆
(
やりてばば
)
が
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
およそ
和
(
あ
)
えものの和え方は、女の化粧と同じで、できるだけ
生地
(
きじ
)
の新鮮味を
損
(
そこな
)
わないようにしなければならぬ。掻き交ぜ過ぎた和えものはお
白粉
(
しろい
)
を塗りたくった顔と同じで
気韻
(
きいん
)
は生動しない。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
外の女給のようにお
白粉
(
しろい
)
もつけず、お客や
朋輩
(
ほうばい
)
にも
馴染
(
なじみ
)
がうすく、隅の方に小さくなって黙ってチョコチョコ働いていたものだから、そんな風に見えたのでしょう。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかもその身分違いをハッキリさせるために、平民が寄付けないようなドエライ扮装を
凝
(
こ
)
らしやがる。薄黒いドーナツ
面
(
づら
)
へ
蒟蒻
(
こんにゃく
)
の
白和
(
しらあ
)
えみたいに
高価
(
たか
)
いお
白粉
(
しろい
)
をゴテゴテと塗りこくる。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しめっぽい匂いのする
幌
(
ほろ
)
の上へ、ぱらぱらと雨の注ぐ音がする。疑いもなく私の隣りには女が一人乗って居る。お
白粉
(
しろい
)
の薫りと暖かい体温が、幌の中へ蒸すように
罩
(
こも
)
っていた。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
全体に赤黒く日に焼けてはいるが
肌目
(
きめ
)
の細かい、丸々とした肉付の両頬から首筋へかけて、お
白粉
(
しろい
)
のつもりであろう灰色の泥をコテコテと塗付けている中から、切目の長い
眦
(
めじり
)
と、赤い唇と
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そのままにしていたのであったが、
生憎
(
あいにく
)
今日のように厚化粧をすると、
却
(
かえ
)
ってそれがお
白粉
(
しろい
)
の地の下から浮き上って、斜めに透かした時に検温器の水銀のように際立つのであった。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「———わたし、電車の中でコムパクトを開けて、隣の人に嚏されたことが二三度ございます。わたしの経験を申しますと、上等の
匂
(
におい
)
のするお
白粉
(
しろい
)
ほどそう云うことが起りますの」
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
姉の
襟頸
(
えりくび
)
から両肩へかけて、妙子は
鮮
(
あざや
)
かな
刷毛目
(
はけめ
)
をつけてお
白粉
(
しろい
)
を引いていた。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
黄色い
生地
(
きじ
)
の鼻柱へ
先
(
ま
)
ずベットリと練りお
白粉
(
しろい
)
をなすり着けた瞬間の
容貌
(
ようぼう
)
は、少しグロテスクに見えたが、濃い白い粘液を平手で顔中へ万遍なく押し
拡
(
ひろ
)
げると、思ったよりものりが好く
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その
翳
(
かげ
)
りが現れている期間は、お
白粉
(
しろい
)
を濃くすると、斜めに光線を透かした時に、
却
(
かえ
)
って真っ白な
地肌
(
じはだ
)
の下に鉛色の部分がくっきり
沈澱
(
ちんでん
)
して見えるので、
寧
(
むし
)
ろその期間はお白粉を薄くして
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
あんまり色が白すぎると思ったのも道理、顔にも襟にも濃いお
白粉
(
しろい
)
がくっきりと毒々しいまでに塗られている。———けれど、そのために彼女の
美貌
(
びぼう
)
が少しでも割引されると云うのではない。
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そのくせ当人は例の
如
(
ごと
)
く無関心で、今朝もいつもの厚化粧をしようとするので、雪子ちゃん、少し濃過ぎるようやないかと、拵えを手伝ってやりながらそれと云わずにお
白粉
(
しろい
)
を薄くさせたり
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
満洲朝の官服に似せた
刺繍
(
ししゅう
)
のあるパジャマの
上衣
(
うわぎ
)
だけを、ようよう
臀
(
しり
)
と擦れ擦れに着ている下はパンツの代りに
脛
(
すね
)
一面のお
白粉
(
しろい
)
を
穿
(
は
)
いた脚の先へ、仏蘭西型の
踵
(
かかと
)
の附いた浅黄色の絹の
上靴
(
パントウフル
)
を
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
妙子の
奴
(
やつ
)
は真っ黒な顔をしていて一番汚いと、父親に云われ云われしたことを覚えているのであるが、それはその
筈
(
はず
)
で、父親の晩年時代には、まだ女学校在学中であったから、紅お
白粉
(
しろい
)
も着けず
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
“白粉(おしろい)”の解説
おしろい(白粉)は、顔や首筋などに塗布して肌を色白に見せるために使用する化粧品である。その種類に応じて、粉おしろい、水おしろい、練りおしろいなどに分類される。
(出典:Wikipedia)
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
粉
常用漢字
小5
部首:⽶
10画
“白粉”で始まる語句
白粉気
白粉刷毛
白粉焼
白粉垢
白粉花
白粉壺
白粉草
白粉焦
白粉下
白粉首