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環
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めぐ
ふりがな文庫
“
環
(
めぐ
)” の例文
極楽水の麓を
環
(
めぐ
)
りし細流のほとりには今博文館の印刷工場聳え立ちたれば、その頃仰ぎ見し光円寺の
公孫樹
(
いちょう
)
も既に望むべからず。
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そのビール瓶は、この島のまわりを
環
(
めぐ
)
る、
潮
(
うしお
)
の流れに連れられて、ズンズンと
海中
(
わだなか
)
遠く出て行って、二度とこの島に帰って来ませんでした。
瓶詰地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
我亦斯の如くになりき、かくなりて、かの岩の裂け登る者に路を與ふるところを極め、
環
(
めぐ
)
りはじむる處にいたれり 六七—六九
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
話聖東
(
ワシントン
)
のこと起り、蘭夷の報ずるところを聞けば則ち曰く、「
未
(
いま
)
だ
礮台
(
ほうだい
)
海潯
(
かいじん
)
を
環
(
めぐ
)
らすを見ざれば、南風四月
甚
(
はなは
)
だ心に
関
(
かか
)
る」。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
ある人が
葡萄園
(
ぶどうえん
)
を造り、
籬
(
まがき
)
を
環
(
めぐ
)
らし、
酒槽
(
さかぶね
)
の穴を掘り、物見の番小屋をたて、すっかり仕度をして農夫どもに貸しておいて、遠くに旅立ちした。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
▼ もっと見る
いかにも何万年となく何万回となく、一旦
環
(
めぐ
)
り出したらいつまでも同じ歩みで環つてゐるものの冷やかさを持つてゐた。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
春夏秋冬がほどよく
環
(
めぐ
)
って来て、変化に富んでいて、春夏秋冬の草木
禽獣
(
きんじゅう
)
虫魚、天文地理の諸現象、それらの変化を楽しむことが出来るということは
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
虚譚のようだが全く
所拠
(
よりどころ
)
なきにあらず、『
旧唐書
(
くとうじょ
)
』に
払菻国
(
ふつりんこく
)
に
羊羔
(
ひつじのこ
)
ありて土中に生ず、その国人その
萌芽
(
ほうが
)
を伺い垣を
環
(
めぐ
)
らして外獣に食われぬ防ぎとす。
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
一人ありてその前に立ち、
道化役
(
プルチネルラ
)
の
偶人
(
にんぎやう
)
を踊らせ、且泣き且笑ひ、又
可笑
(
をか
)
しき演説をなさしめたり。衆人は
環
(
めぐ
)
り視て笑へり。向ひの家の石級には一僧あり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
別山方面の登路は、平蔵谷の雪渓の上部を
環
(
めぐ
)
る長い岩壁を辿るのが尤も危険で、悪い場所が三ヶ所程ある。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
なるほど
天地玄黄
(
てんちげんこう
)
を三寸
裏
(
り
)
に収めるほどの霊物だけあって、到底吾輩の手に合わない、尻尾を
環
(
めぐ
)
る事
七度
(
ななた
)
び半にして
草臥
(
くたび
)
れたからやめにした。少々眼がくらむ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
折々クサンチスは台から下へ降りて来て、大勢が感嘆して
環
(
めぐ
)
り視てゐる真中に立つて、昔アルテミスの
祠
(
ほこら
)
の、
円柱
(
まるばしら
)
の並んだ廊下で踊つた事のある踊を
浚
(
さら
)
つて見る。
クサンチス
(新字旧仮名)
/
アルベール・サマン
(著)
一面に海を
環
(
めぐ
)
らし、一面の市外には丘陵を持つ桑名城は、長島よりは守るによく、敵を撃つに利がある。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この詩人の身うちには年わかき血
温
(
あたた
)
かく
環
(
めぐ
)
りて、冬の
夜寒
(
よさむ
)
も物の数ならず、何事も楽しくかつ悲しく、悲しくかつ楽し、自ら詩作り、自ら歌い、自ら泣きて楽しめり。
星
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
杉を磨いた丸柱の前に
団
(
かた
)
まって、移庁論の影弁慶が、南部だとか北部だとか、鮭の鑑定でもないことを云って居るのがあれば、その後を
環
(
めぐ
)
る
椽
(
えん
)
の
欄干
(
らんかん
)
に
凭
(
もた
)
れかゝって
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
海を
環
(
めぐ
)
っている潮流のこまごまとした
枝分
(
えだわか
)
れ、常吹く風の季節ごとの移動など、やがては綿密な学者の調査が、一々の地区について説明してくれる日がくるのだろうけれども
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
初秋
(
はつあき
)
の夜気が、しみ/″\と身うちに
環
(
めぐ
)
つて、何となく心持ちが引緊り、さあ「これからだぞ——」といふやうな気がするにつけても、訳もなく、灯とそれから人の匂ひが懐しい。
散歩
(新字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
窓の外は容々と
煙
(
けむ
)
るような景色でしたが、若いお染と向い合って、膝と膝とを摺り合せた車の中の情緒は、まことにホカホカと五体を
環
(
めぐ
)
る血潮の温か味を感ずるような心持でした。
奇談クラブ〔戦後版〕:17 白髪の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
十九日、朝起きて、
顔
(
かお
)
洗
(
あら
)
うべき所やあると問えば、家の前なる
流
(
ながれ
)
を指さしぬ。ギヨオテが伊太利紀行もおもい出でられておかし。温泉を
環
(
めぐ
)
りて立てる家数三十戸ばかり、
宿屋
(
やどや
)
は七戸のみ。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
論は無益と思うけれども、衆人
環
(
めぐ
)
り
視
(
み
)
る中において、淑女の
衣
(
ころも
)
を奪うて、月夜を引廻すに到っては、主、親を殺した五逆罪の極悪人を罪するにも、洋の東西にいまだかつてためしを聞かんぞ!
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
婢
(
ひ
)
あり別れを惜みて
伏水
(
ふしみ
)
に至る。兵士
環
(
めぐ
)
つて之を
視
(
み
)
る。南洲輿中より之を招き、其背を
拊
(
う
)
つて曰ふ、
好在
(
たつしや
)
なれと、金を
懷中
(
くわいちゆう
)
より出して之に與へ、
旁
(
かたは
)
ら人なき若し。兵士
太
(
はなは
)
だ其の情を
匿
(
かく
)
さざるに服す。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
水
環
(
めぐ
)
る環水荘は降る雨のいろとりどりに夏いたりつつ
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
白雲環草堂 白雲草堂を
環
(
めぐ
)
る。
閉戸閑詠
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
諸
(
もろ/\
)
の
御弟子
(
みでし
)
之を
環
(
めぐ
)
る。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
上を
環
(
めぐ
)
れる夕暮や
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
バロンと名乗るものの城を構え
濠
(
ほり
)
を
環
(
めぐ
)
らして、人を
屠
(
ほふ
)
り天に
驕
(
おご
)
れる昔に帰れ。
今代
(
きんだい
)
の話しではない。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その滑り行く
態
(
さま
)
河の曲れるに似、その尾を
噛
(
か
)
むの状大河が世界を
環
(
めぐ
)
れるごとく、辛抱強く物を見詰め守り、餌たるべき動物を
魅入
(
みい
)
れて動かざらしめ、ある種は飼い
馴
(
な
)
らしやすく
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
かゝる時にこそ、我脈絡にカムパニアの野なる山羊の
乳汁
(
ちしる
)
循
(
めぐ
)
らずして、温き血
環
(
めぐ
)
れるを人に示すべきなれ、我が世馴れたることのベルナルドオにもフエデリゴにも劣らぬを示すべきなれ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
一八三三年
綛糸
(
かせいと
)
製造高は一ヵ年にしてもって五十億里に達すべく、もって地球の表面をば二十万回
環
(
めぐ
)
らすを得べく、もって地球より太陽に達するに五十一回するを得べく、もって地球の軌道をば
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
この意気は、もとより彼ら箇々のものに違いないが、大きく
観
(
み
)
ると、秀吉の意気の投映であり、秀吉という主体を得て、初めて、太陽系を
環
(
めぐ
)
る諸衛星のような勢いと
燦
(
かがや
)
きを持ったということもできる。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
八洲
(
やしま
)
を
環
(
めぐ
)
る
大瀛
(
おほわだ
)
の
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
只ウィリアムの見詰めたる盾の内輪が、例の如く
環
(
めぐ
)
り出すと共に、昔しながらの
微
(
かす
)
かな声が彼の耳を襲うのみである。「盾の中に何をか見る」と女は水の向より問う。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
四川
(
しせん
)
の大輪山、〈群峰
環
(
めぐ
)
り列なる、異人奇鬼のごとし、あるいは車に乗り蓋を張る、あるいは
衣冕峩冠
(
いべんがかん
)
す、あるいは帯甲のごとく、あるいは躍馬のごとく、勢い奔輪のごとき故に名づく〉。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
深き湖あり。暗き林はそを
環
(
めぐ
)
れり。湖の畔なる巖は
聳
(
そばだ
)
ちて天を摩せんとす。こゝに
暴鷲
(
あらわし
)
の巣あり。母鳥は雛等に教へて、
穉
(
をさな
)
き翼を振はしめ、またその目を鋭くせんために、日輪を睨ましめき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
本丸の左右に懸け離れたる二つの櫓は本丸の二階から家根付の橋を渡して
出入
(
しゅつにゅう
)
の便りを計る。櫓を
環
(
めぐ
)
る三々五々の建物には
厩
(
うまや
)
もある。兵士の
住居
(
すまい
)
もある。乱を避くる領内の細民が隠るる場所もある。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
環
常用漢字
中学
部首:⽟
17画
“環”を含む語句
循環
指環
環境
花環
環視
金環
鉄環
環礁
耳環
苧環
首環
佩環
環状星雲
環状
環麺麭
玉環
結婚指環
珮環
鼻環
渦環
...