トップ
>
溜飲
>
りゅういん
ふりがな文庫
“
溜飲
(
りゅういん
)” の例文
旧字:
溜飮
締め殺してでもやったら、どんなにいい気持ちでおもしろくて
溜飲
(
りゅういん
)
が下がるかわからねえ。あの金持ちの奴らをよ、みんな残らずさ。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
中には、不義の富を積んでいる者を襲って、有り金を奪い取り、それを正統の持主に
還
(
かえ
)
して
溜飲
(
りゅういん
)
を下げたりすることもありました。
銭形平次捕物控:096 忍術指南
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お使いにたって持ってくときもありましたが、見ていてグッと
溜飲
(
りゅういん
)
がさがっちゃうので、かまうもんですか、やっちゃいなさいよ。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
たとい自分に何とも云わないまでも、お秀には
溜飲
(
りゅういん
)
の
下
(
さが
)
るような事を一口でいいから云ってくれればいいのにと、腹の中で思った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
常に大藩の誇りを鼻にかけて、尊大で
倨傲
(
きょごう
)
な振舞のおおい京極方の惨敗は反動的に無暗に群集の
溜飲
(
りゅういん
)
を下げて鳴りもやまぬ歓呼となった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
こりゃよくよく寝坊だわイ、といいながら、チョキリ! チョキリ! とうとう四角とも切り落し、まずこれで
溜飲
(
りゅういん
)
が下がった。
三角と四角
(その他)
/
巌谷小波
(著)
ずばりと
大喝
(
だいかつ
)
一声! いいつつぱらりと雪ずきんをかなぐりすてると、うって変わって、すうと
溜飲
(
りゅういん
)
のさがる伝法な啖呵でした。
右門捕物帖:21 妻恋坂の怪
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
毎年の元旦に玄関で
平突張
(
へいつくば
)
らせられた
忌々
(
いまいま
)
しさの
腹慰
(
はらい
)
せが
漸
(
やっ
)
とこさと出来て、
溜飲
(
りゅういん
)
が
下
(
さが
)
ったようなイイ気持がしたと
嬉
(
うれ
)
しがった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
こっちあぐッと
溜飲
(
りゅういん
)
が下って、おさらばを
極
(
き
)
めてフイとなって、ざっぷり朝湯を浴びた気さ、我ながら男振を上げて、や、どんなもんだい。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いくらかの
溜飲
(
りゅういん
)
を下げて、屋根の上からおりて来ましたけれど、鰡八大尽は言うばかりなき不快を感じて、病気も忘れて荒々しく寝床を立って
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
はっきりした言葉でそれをすぱりと云って
退
(
の
)
ければ、世界中の学者は一度に
溜飲
(
りゅういん
)
が下がったような気がするであろう。
スパーク
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
今までのちゃんばらに一新紀元を
劃
(
かく
)
したからでもあり、机
龍之介
(
りゅうのすけ
)
や月形半平太が、ことにも観衆の
溜飲
(
りゅういん
)
を下げていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
面喰った課長の前に、小学生のお
清書
(
せいしょ
)
の様な大文字の辞表を投げつけて、ぐっと
溜飲
(
りゅういん
)
を下げた宗三は、まだ午前十一時というに、大手を振って帰って来た。
接吻
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そうだとしても、おそくも明日か明後日のうちには無事に戻って行くであろう。するとあの二人がどんな喜びようをするか。そしてどんなに
溜飲
(
りゅういん
)
を下げるか。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「まあいい、一つまいろう」七十郎は盃をさした、「今日は気がふさいでしょうがなかったが、船岡の館主がきめつけられるのを見て、きれいに
溜飲
(
りゅういん
)
がさがった」
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ひそかに
溜飲
(
りゅういん
)
をさげているんだから私という三十五歳の男は、いよいよ日本一の大馬鹿ときまった。
鉄面皮
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
みんなにかわって
溜飲
(
りゅういん
)
をさげたようなこの事件は、近ごろの
珍談
(
ちんだん
)
として大石先生の耳にもはいった。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
葉子の心のすみからすみまでを、
溜飲
(
りゅういん
)
の下がるような小気味よさが小おどりしつつ
走
(
は
)
せめぐった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
かねて金兵衛が秘蔵
子息
(
むすこ
)
のために用意した狂言用の大小の刀も役に立つ時が来た。彼は
鶴松
(
つるまつ
)
ばかりでなく、上の伏見屋の
仙十郎
(
せんじゅうろう
)
をも舞台に立たせ、日ごろの
溜飲
(
りゅういん
)
を下げようとした。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「偉いぞさすがは鏡家の養子」葉之助
贔屓
(
びいき
)
の連中はさもこそとばかり
溜飲
(
りゅういん
)
を下げた。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
土器色
(
かわらけいろ
)
になった、お
祖母
(
ばあ
)
さんの時代に買ったのを取出してチョク/\しめるんでしょう、実に面白うげす……此の
家
(
うち
)
の
饀
(
あん
)
ころ餅が旨いから
私
(
わたくし
)
は七つ食べましたら少し
溜飲
(
りゅういん
)
に
障
(
こた
)
えました
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そういわれて、私はせっかくうまく食べかけていた朝飯が
溜飲
(
りゅういん
)
になってしまった。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
それとも昔お前を捨てた女が、今は亭主に捨てられている姿をみて
溜飲
(
りゅういん
)
がさがった気がするのかね。どっちにしてもお前の考えは間違っている。
当
(
あて
)
が外れて、お気の毒さまという他ないね。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
保吉は
溜飲
(
りゅういん
)
を下げながら、物売りを
後
(
うし
)
ろに歩き出した。しかしそこへ買いに来た朝日は、——朝日などはもう吸わずとも
好
(
い
)
い。
忌
(
いま
)
いましい物売りを
一蹴
(
いっしゅう
)
したのはハヴァナを吸ったのよりも愉快である。
十円札
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「秘書が二人首になると言って、
皆
(
みんな
)
溜飲
(
りゅういん
)
を下げている」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
想像するだけでも
溜飲
(
りゅういん
)
がさがるというものだ。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
これで寺はミソをつける、ざまを見やがれと、復讐の
溜飲
(
りゅういん
)
をさげたのだろうが、ヒドい目にあったのは寺ではなく、私たちの一行だった。
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、きょうの江戸っ子は同じ江戸っ子でも少しばかり品が違っているので、その
啖呵
(
たんか
)
がまた聞いていても
溜飲
(
りゅういん
)
の下がるくらいなのです。
右門捕物帖:05 笛の秘密
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
正太夫は
緑雨
(
りょくう
)
の別号をもつ皮肉屋である。浪六はちぬの浦浪六と号して、
撥鬢奴
(
ばちびんやっこ
)
小説で
溜飲
(
りゅういん
)
を下げてしかも高名であった。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「井筒屋重兵衛は
疝癪
(
せんしゃく
)
で
溜飲
(
りゅういん
)
持だ。気の毒だが金に不自由はなくなっても大福餅には縁がありませんよ——浅ましいことに重兵衛は
骨董
(
こっとう
)
に
凝
(
こ
)
り始めた」
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ほんとうに米友の
口惜
(
くや
)
しがる通りです。尋常に自分も道庵先生のともをして歩きさえすれば、こういうところには、思いきり
溜飲
(
りゅういん
)
が下げられたものを。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これで幾分か
溜飲
(
りゅういん
)
が下りたような気のした津田には、相手の口から出た最後の言葉などを考える余地がなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
可
(
い
)
い、可い、ああ
溜飲
(
りゅういん
)
の下る話だ、五千疋の顔を見りゃ、知事公の令嬢で歌所の奥方が、床屋の
役介者
(
やっかいもの
)
——まあそうしておけよ——役介者を
煽
(
あお
)
ごうという当世に
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かれらの
跋扈跳梁
(
ばっこちょうりょう
)
はあたかも黄金境の観を呈し、幽霊もののけ妖怪変化、死霊いきりょう
魑魅魍魎
(
ちみもうりょう
)
、
狐狸
(
こり
)
草木のたぐいまでが人を脅し世を騒がしては
溜飲
(
りゅういん
)
をさげていた。
風流化物屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
明らかに葉子がまっ
紅
(
か
)
になって顔を伏せるとばかり思っていたらしく、居合わせた婦人たちもそのさまを見て、
容貌
(
ようぼう
)
でも服装でも自分らを
蹴
(
け
)
落とそうとする葉子に対して
溜飲
(
りゅういん
)
を
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
俺の気持を察してくれ、十数年来の
溜飲
(
りゅういん
)
がグーッと一度に
下
(
さが
)
った様な気がするぜ。可哀相になあ、世界にその名をうたわれた大盗賊も、この極東の異境に、あえなく汚名を止めるのか。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
たゞさうすると品子に
溜飲
(
りゅういん
)
を下げさせることになるのが、いかにも残念でたまらないので、その方の意地が
昂
(
こう
)
じて来ると、猫のことぐらゐ辛抱しても誰があの女の計略なんぞにと、云ふ風になる。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
何十年来の
溜飲
(
りゅういん
)
が一時に
下
(
さが
)
った。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
啖呵
(
たんか
)
をきっていたかと思いましたが、もう横っとびで——まもなく、そこへあつらえの二丁をすえると、いかにも
溜飲
(
りゅういん
)
の下がったようにいったものです。
右門捕物帖:07 村正騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
思い通りに筋を運んで、途方もない結末にもって行って
溜飲
(
りゅういん
)
を下げたこともあり、ひじょうに兇悪な犯人を許してやって、いい気持になったこともある。
平次と生きた二十七年
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お銀様は、そこでホッと息をついて、同時に胸の
溜飲
(
りゅういん
)
を下げました。ははあ、これだなと思ったのでしょう。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「あの
小僧
(
こぞう
)
も、あとで家へかえって見たら、さだめしびっくりして泣きわめくにちがいない。それだけでも、まアまア、いちじの
溜飲
(
りゅういん
)
がさがったというものだ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いやもう
久
(
ひさし
)
ぶりで
癇癪
(
かんしゃく
)
をお起しなすって、こんな心持の可いことはござりません。
私
(
わたくし
)
ゃ変な癖で、大旦那と貴方の癇癪声さえ聞きゃ、ぐっとその
溜飲
(
りゅういん
)
の下りますんで。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
仕返しをして
溜飲
(
りゅういん
)
をさげたところで、それっきりのはなしじゃあないか、ふん、金持喧嘩せずだ、おかねの仕事にしろおくにの仕事にしろ、どうせすぐに放り出す女だ、二人とも
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
今日の新聞なんか、おれのまいた種で、三面記事が
埋
(
うず
)
まってるんだ。今度こそ、いくらか
溜飲
(
りゅういん
)
が下ったてえものだ。だが、断るまでもねえ、人になんかこれから先もいうんじゃねえぜ。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
急に
溜飲
(
りゅういん
)
が起って
咽喉
(
のど
)
の所へ、大きな
丸
(
たま
)
が上がって来て言葉が出ないから、君に
譲
(
ゆず
)
るからと云ったら、妙な病気だな、じゃ君は人中じゃ口は利けないんだね、困るだろう、と聞くから
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
たゞさうすると品子に
溜飲
(
りゅういん
)
を下げさせることになるのが、いかにも残念でたまらないので、その方の意地が
昂
(
こう
)
じて来ると、猫のことぐらゐ辛抱しても誰があの女の計略なんぞにと、云ふ風になる。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「そいつは
有難
(
ありがて
)
え、俺は
溜飲
(
りゅういん
)
を下げたくてウズウズしているんだ。あの悪党親子の前でフンぞり返らしてくれるなら、命なんか二つ三つ投げ出してもいい」
銭形平次捕物控:012 殺され半蔵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
聞いて、すっかり
溜飲
(
りゅういん
)
が下がりやした。じゃ、なんですね、だれかほかに下手人があって、そやつが江戸錦に罪をきせるため印籠の細工をしたというんですね
右門捕物帖:12 毒色のくちびる
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
流鏑馬の競技があまり上品に取り行われて、期待したほどの興味を
齎
(
もたら
)
さなかったのを飽かず思っていた大向うは、これで充分に
溜飲
(
りゅういん
)
を下げようとするのであります。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“溜飲”の意味
《名詞》
胃の中に食物が滞り、酸っぱい液が込み上げること。
(出典:Wiktionary)
溜
漢検準1級
部首:⽔
13画
飲
常用漢字
小3
部首:⾷
12画
“溜”で始まる語句
溜
溜息
溜池
溜飮
溜塗
溜間
溜涙
溜漉
溜場
溜桶