いぶかしげにあたりを見まわした左膳、横の床に、まだあおい顔をして死人のごとく昏々とねむっている柳生源三郎に眼が行くと
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
銭形平次捕物控:020 朱塗の筐 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そして今、饑えにおとろえはて、血は寒さに凍りクリスマス前夜の夜あかしのたのしさを思い浮べながら、昏々と死んで行こうとするのです。
フランダースの犬 (新字新仮名) / マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー(著)
中国怪奇小説集:09 稽神録(宋) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
大尉は昏々と死んで行きました。娘のことを口走りながら——が、その娘のためには、一文も残さずに。
小公女 (新字新仮名) / フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット(著)
笑い草ですが、余り頭が苦しくて昏々と眠るからね、もしかしたらこの頃流行の嗜眠性脳炎ではないかと思って、もしそういう疑いがあれば正気なうちにあなたに手紙を書いて置こうと思ったの。
獄中への手紙:03 一九三六年(昭和十一年) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
「ちょッとしたイタズラじゃアないのかなア。あの人ならそれぐらいのイタズラはやりかねないよ。浮気封じに昏々と眠らせてやろうてんで、チョイとフラスコへイタズラする、面白そうなことだからな」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
折竹は、もうその時は昏々とねむっていたのだ。
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それらのすべての機関が働かないにしても、眼だけでも動けば、多少ものを言うのであろうけれど、その眼も昏々として眠ったままでいるのであります。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)