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懶惰
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らんだ
ふりがな文庫
“
懶惰
(
らんだ
)” の例文
懶惰
(
らんだ
)
で、大酒に淫し、弓と矢とを用いて狩猟することと、漁とによって生計を立てているのであることは、容易に了解出来なかった。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
この五、六年田舎で
懶惰
(
らんだ
)
に日を暮した父親は、ほかに何か気苦労のない仕事があるならばと、もうそれを考えているらしくも見えた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
欠伸
(
あくび
)
一つしてもだ——苦の中に潜心した人間のあくびと、
懶惰
(
らんだ
)
な人間のそれとはまったく違う。数ある人間のうちには、この世に生を
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私はその志を
嬉
(
うれ
)
しくは受けるが、この書を読まれるならば大方の誤解は解け去るであろう。私は宗教の真理に
懶惰
(
らんだ
)
であったのではない。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
何といふ思ひまうけぬ悦びであらうか! 流されるだけ流されてやれ! 彼はさういふ
懶惰
(
らんだ
)
の底へ蟇のやうに腰を据ゑたわけであつた。
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
現に、騎西家の人達は、その
奇異
(
ふしぎ
)
な
掟
(
おきて
)
の
因虜
(
とりこ
)
となって、いっかな涯しない、孤独と
懶惰
(
らんだ
)
の中で朽ちゆかうとしていたのであった。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
その人たちというのは、主に
懶惰
(
らんだ
)
、
放蕩
(
ほうとう
)
のため、世に見棄てられた医学生の落第なかまで、年輩も相応、
女房持
(
にょうぼうもち
)
なども
交
(
まじ
)
った。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかるに学問の道において、談話、演説の大切なるはすでに明白にして、今日これを実に行なう者なきはなんぞや。学者の
懶惰
(
らんだ
)
と言うべし。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
時代遅れの寄生的気分に満ちた、こういう
懶惰
(
らんだ
)
な遊民的女子の将来が如何に不幸であるかは平塚さんも認められるでしょう。
平塚さんと私の論争
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
ことに心の平静をこぼちほしいままな荒々しさや働きのない
懶惰
(
らんだ
)
な気分のなかに住むことは、もっとも不幸に感ぜられます。
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
放蕩
(
ほうとう
)
と
懶惰
(
らんだ
)
とを
経緯
(
たてぬき
)
の糸にして
織上
(
おりあがっ
)
たおぼッちゃま方が、
不負魂
(
まけじだましい
)
の
妬
(
ねた
)
み
嫉
(
そね
)
みからおむずかり遊ばすけれども、文三はそれ等の事には
頓着
(
とんじゃく
)
せず
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
当時緑雨は『国会新聞』廃刊後は
定
(
きま
)
った用事のない人だったし、私もまた始終ブラブラしていたから、
懶惰
(
らんだ
)
という事がお互いの共通点となって
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
一、第二期は浅学なる者、
懶惰
(
らんだ
)
なる者、なほ能くこれを修むべし。第三期は
励精
(
れいせい
)
なる者、篤学なる者に非れば入る能はず。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
そして
齷齪
(
あくせく
)
と生活してる人々の悪口を言いながら、自分の
懶惰
(
らんだ
)
を慰めていた。その多少重々しい皮肉な冗談は、人を笑わせずにはおかなかった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
これらの事を
綜合
(
そうごう
)
して考えると、日本の下層階級の
懶惰
(
らんだ
)
で無責任な事は、とても救済する方法がないように思われる。
独居雑感
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
新しい生甲斐のある生活をつくることに、ぼくは
懶惰
(
らんだ
)
であり、不信であり、自分の体力を考え、絶望してもいたのだ。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
そして心身ともに以前に倍しておすこやかになり、ともすれば
懶惰
(
らんだ
)
に、
億劫
(
おっくう
)
になりがちなわたしたちのために、発奮させる原素となって下さいまし。
平塚明子(らいてう)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
懶惰
(
らんだ
)
な者、巧妙でない者、浪費者のために与えるものであり、すべての人々から、各自の目的の追求が適当であったか否かの責任を奪うものであり
純粋経済学要論:01 上巻
(新字新仮名)
/
マリー・エスプリ・レオン・ワルラス
(著)
だんだん田舎深く
入込
(
いりこ
)
めば、この道中一行の呆れ返らざるを得なかったのは、この地方住民の
懶惰
(
らんだ
)
極まる事である。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
強者の
傲慢
(
ごうまん
)
と
懶惰
(
らんだ
)
、弱者の無学と畜生暮し、どこを見てもおそろしい貧乏と窮屈、堕落と泥酔、偽善と虚偽ばかり。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
惰力の為めに面白くもない
懶惰
(
らんだ
)
な生活を、毎日々々繰り返して居るのが、堪えられなくなって、全然
旧套
(
きゅうとう
)
を
擺脱
(
はいだつ
)
した、物好きな、アーティフィシャルな
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
岸本君、僕はもう黙して
可
(
い
)
い頃であろう。倦怠と
懶惰
(
らんだ
)
は僕が僕自身に
還
(
かえ
)
るのを待っている。眼も疲れ心も疲れた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
親不孝と流浪と
懶惰
(
らんだ
)
と遊酒と、そのほかに何をなしたであろう。まことに、取るに足らぬ人生であった。有害無益の人生であった。実に意味なき人生であった。
利根川の鮎
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
当時、私は極めて
懶惰
(
らんだ
)
な帝国大学生でありました。一夏を、東海道三島の宿で過したことがあります。
老ハイデルベルヒ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼らをその有害な
懶惰
(
らんだ
)
から脱却せしめ得るあらゆる企図に対して、頑固な反抗を続けているのである3
人口論:01 第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
ベシイ・マンディから
捲
(
ま
)
きあげた金で、彼らのうえに、またとうぶん
情痴
(
じょうち
)
と
懶惰
(
らんだ
)
の生活が続いた。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
人もどれほど「
王佐棟梁
(
おうさとうりょう
)
」の才であっても、これを利用もせず
懶惰
(
らんだ
)
に日を送れば、
小技
(
しょうぎ
)
小能
(
しょうのう
)
なるいわゆる「
斗筲
(
とそう
)
の
人
(
ひと
)
」で正直に
努
(
つと
)
める者に比して、一人前と称しがたく
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
その見ぬ幸福を想像しながら、のびのびと
懶惰
(
らんだ
)
をむさぼった。一時十分、いよいよ赤石の登りにかかる。アイゼンがよく利くようになった。百間平では鷹の飛ぶのを見た。
春の遠山入り:(易老岳から悪沢岳への縦走)
(新字新仮名)
/
松濤明
(著)
正しい仕事を選び得たものは
懶惰
(
らんだ
)
であることが出来ないのだ。私は嘗て或る卒業式に列した。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
私の生活が生気のない、
懶惰
(
らんだ
)
なものとは思わないで下さい。私も
漸
(
ようや
)
く戦うという気持がどんなものだか、わかりかけてきたような気がします。そうです、私も一人の戦士なのです。
聖アンデルセン
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
かように豕の性質について善い点を探れば種々多かるべきも、豕が多食・好婬・
懶惰
(
らんだ
)
で
穢
(
きたな
)
い事を平気というは世に定論あり。『西遊記』の
猪八戒
(
ちょはっかい
)
は最もよくこれを表わしたものだ。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
救いようのない貧窮、安逸と
懶惰
(
らんだ
)
に馴れた女にはそれだけでも耐えきれなかったろう、はたし合いが事実になれば、結果のいかんにかかわらず係り合はまぬかれない、逃げるのは当然だ。
葦
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
こういう余儀ない事情はかれらを駆って
放縦
(
ほうじゅう
)
懶惰
(
らんだ
)
の高等遊民たらしめるよりほかはなかった。かれらの多くは道楽者であった。退屈しのぎに何か事あれかしと待ち構えている
徒
(
やから
)
であった。
半七捕物帳:01 お文の魂
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
新らしいと云うのは内容のかわった恋愛と云う意味ではなく、整理のついた恋愛を云うのかも知れないけれども、すぐ泥にまみれたかたちになってしまう。——
懶惰
(
らんだ
)
で無気力な恋愛がある。
恋愛の微醺
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
魂は決して
安逸
(
あんいつ
)
懶惰
(
らんだ
)
を願わない。魂は永遠に知識の前進に対する欲求を棄てない。人間的慾情、人間的願望は肉体と共に失せるが、魂には純情と進歩と愛との伴える、浄き、美しき生活が続く。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
それは何代に亙る父系の
懶惰
(
らんだ
)
と不道徳と、母系の無智と淫蕩との蓄積であつたには違ひありませんが、世間並の評價から言へば、相當以上の美貌で、立派に——小日向
業平
(
なりひら
)
——で通る金之進でした。
銭形平次捕物控:186 御宰籠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
思ひ切つて此の土地を今の間に立ち去ることが
軈
(
やが
)
てよき運命の端緒ともなり、そして
何処
(
どこ
)
かへ行きさへすれば自分の
懶惰
(
らんだ
)
は新たな忍耐力と入れ代つて勇気に満ちた生活が出来さうに思へるのだつた。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
これは
懶惰
(
らんだ
)
な勉強をしない人の口実にするところであるが、しかしその中にも一分の真理はある。身体さえ強くなっておれば読んだものを
直
(
す
)
ぐ消化する、直ぐ理解する。そうして記憶力が盛んになる。
始業式に臨みて
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
自分の
懶惰
(
らんだ
)
がもはや許せぬという想いがぴしゃっと来た。
道
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
そして、パンヤのやうにふはふはと舞ひたつ
懶惰
(
らんだ
)
は
藍色の蟇
(新字旧仮名)
/
大手拓次
(著)
だらしもなく
懶惰
(
らんだ
)
のおそろしい夢におぼれた。
定本青猫:01 定本青猫
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
これから高尚な
懶惰
(
らんだ
)
の価値を分からせて上げる。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
なにしろ私はそんなおりもメモとか写真とか、また日記をつける習慣さえないので、ほとんど忘れ去るにまかすといった
懶惰
(
らんだ
)
なんです。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その学者は決して
懶惰
(
らんだ
)
無為
(
むい
)
に
日月
(
じつげつ
)
を消する者に非ず、生来の習慣、あたかも自身の熱心に
刺衝
(
ししょう
)
せられて、勉強せざるをえず。
学問の独立
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
安逸を
貪
(
むさぼ
)
る者は、この仕事に堪えることができぬ。工藝は
懶惰
(
らんだ
)
を許さない。労働のみが豊富な経験とそうして確実な結果とを約束するのである。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
知己の者はこの男の事を
種々
(
さまざま
)
に評判する。
或
(
あるい
)
は「
懶惰
(
らんだ
)
だ」ト云い、或は「
鉄面皮
(
てつめんぴ
)
だ」ト云い、或は「
自惚
(
うぬぼれ
)
だ」ト云い、或は「
法螺吹
(
ほらふ
)
きだ」と云う。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
随
(
したが
)
って土佐出身の名士には
親昵
(
ちかづき
)
があったが、文人特有の
狷介
(
けんかい
)
と
懶惰
(
らんだ
)
とズボラが累をなして同郷の先輩に近づかず
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
やがてシューベルトは、自分の情熱的な感傷をそれに交えた。シューマンは、小娘めいた
懶惰
(
らんだ
)
さをそれに交えた。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
いつか我が
懶惰
(
らんだ
)
の習ひにや馴れ染めけん、かつは日頃親しく
尋来
(
たずねきた
)
る向島の隠居
金子
(
かねこ
)
翁といふ老人のすすめもありてや、浮世の夢をよそに、思出多き一生を大久保の里に
埋
(
うず
)
め
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
獅子をも
斃
(
たお
)
す白光鋭利の
牙
(
きば
)
を持ちながら、
懶惰
(
らんだ
)
無頼
(
ぶらい
)
の腐りはてたいやしい根性をはばからず発揮し、一片の
矜持
(
きょうじ
)
なく、てもなく人間界に屈服し、
隷属
(
れいぞく
)
し、同族互いに敵視して
畜犬談:―伊馬鵜平君に与える―
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
懶
漢検1級
部首:⼼
19画
惰
常用漢字
中学
部首:⼼
12画
“懶惰”で始まる語句
懶惰者
懶惰人
懶惰女
懶惰漢
懶惰卑猥
懶惰放縦