トップ
>
恥辱
>
ちじょく
ふりがな文庫
“
恥辱
(
ちじょく
)” の例文
こんどこそ、みごとに二十面相をとらえて
恥辱
(
ちじょく
)
をそそがなければなりません。名探偵のまゆには深い決意の色がただよっていました。
少年探偵団
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
町の見物人たちのひとりが、春吉君のことを、まあ、じょうぶそうな色をしてと、つぶやいたとしても、春吉君は
恥辱
(
ちじょく
)
に思うのである。
屁
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
その、「学校はよくできる」という調子に全く平たい説明だけの意味しか
響
(
ひび
)
くものがないのを聞いて復一は
恥辱
(
ちじょく
)
で顔を
充血
(
じゅうけつ
)
さした。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
元来が引力に逆らっての無理な事業だから出来なくても別段の
恥辱
(
ちじょく
)
とは思わんけれども、蝉取り運動上には少なからざる不便を与える。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「僕も君のような痴な奴とは、絶交だ、六十の婆あと、
女
(
むすめ
)
の区別がつかないような奴なんかと、
朋友
(
ともだち
)
になってるのは
恥辱
(
ちじょく
)
だ」
草藪の中
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
然し、私があの人の影におびえて立ちすくむとき、私自身の恐怖の中には、あの人に苦痛と
恥辱
(
ちじょく
)
を与えたくない思いやりが常にこめられていたのだ。
二十七歳
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
しかもきっと不幸と
恥辱
(
ちじょく
)
との中に。有王よ、わしは妻子の
安否
(
あんぴ
)
を気づかった時、いつもお前のことを頼みにしていた。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
その外幾人となく取てかかる者この有様なれば、
終
(
つい
)
には大関
某
(
なにがし
)
自ら大勢の
恥辱
(
ちじょく
)
を
雪
(
そそ
)
がんとのさりのさりと歩み出づ。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「わたしが、殺されかけたあの男、あなたが、いかに油断とは言え、あんな
恥辱
(
ちじょく
)
を取ったあの男を、いつまで、あのまま放って置くのですよう、先生」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
金と
詭計
(
きけい
)
とで納得させ、とうとう琢堂にとっては一代の
恥辱
(
ちじょく
)
とも言うべき極彩色の
普賢菩薩
(
ふげんぼさつ
)
を作らせたのでした。
銭形平次捕物控:134 仏師の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ぼくらは独立の第一歩において、かれのやっかいになった、そしていままたかれの力をたのむために、頭をさげなければならないとなると、大なる
恥辱
(
ちじょく
)
だ」
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
なるほど弱輩なものが突拍子もないまずい質問をしたりしては失礼にもなるしまた日本の学界の
恥辱
(
ちじょく
)
になるという心配もあることであろうと思われたことであった。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「やがて、信長が来て、検分のとき、
醜
(
みぐる
)
しくも、取り乱したるものかな——などといわれては
恥辱
(
ちじょく
)
ぞ」
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「アレだ! 何かってえとヤレ手前、やれ
恥辱
(
ちじょく
)
——ふん! お
武士
(
さむらい
)
さんは違ったもんですよウ、だ!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
其事
(
それ
)
をセラ大寺の壮士坊主が聞いて居てすぐパルポ商人に向い、どうも無礼だ、嫌だと言う女を無理に裸体にして
恥辱
(
ちじょく
)
を与えるというのは実に不届き千万な訳である。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
それゆえ人に笑われても
恥辱
(
ちじょく
)
とは思わぬ。けれども、ああ、信じて成功したいものだ。この歓喜!
かすかな声
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
しかしかかる行いのために苦しむ民がここにあるなら、それは一国の
恥辱
(
ちじょく
)
であり、また人類への侮辱であろう。正しい日本はかかる行いを改めるのに
憚
(
はばか
)
る事があってはならぬ。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
華冑
(
かちゅう
)
の公子、三男ではあるが、伯爵の萩原が、ただ、一人の美しさのために、一代鐘を守るではないか——既に、この人を
手籠
(
てご
)
めにして、牛の背に縄目の
恥辱
(
ちじょく
)
を与えた諸君に
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
唯の一度もやっていなかったということは、何という遺憾、何という
恥辱
(
ちじょく
)
だったでしょう
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一家の
不名誉
(
ふめいよ
)
と、
恥辱
(
ちじょく
)
は、このうえもないし、飼い主にとっても、大きな損害さ
ほんとにそのとおり!
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
外
(
ほか
)
に対しては卑屈これ事とし、国家の
恥辱
(
ちじょく
)
を
賭
(
と
)
して、
偏
(
ひとえ
)
に一時の栄華を
衒
(
てら
)
い、百年の
患
(
うれ
)
いを
遺
(
のこ
)
して、ただ一身の
苟安
(
こうあん
)
を
冀
(
こいねが
)
うに
汲々
(
きゅうきゅう
)
たる有様を見ては、いとど感情にのみ
奔
(
はし
)
るの
癖
(
くせ
)
ある妾は
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
内証
(
ないしょ
)
で教えることも聞くことも書生間の
恥辱
(
ちじょく
)
として、万々一も
之
(
これ
)
を犯す者はない。
唯
(
ただ
)
自分
一人
(
ひとり
)
で
以
(
もっ
)
てそれを
読砕
(
よみくだ
)
かなければならぬ。読砕くには文典を土台にして辞書に
便
(
たよ
)
る
外
(
ほか
)
に道はない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
かれらはただいま
追跡
(
ついせき
)
中であると
検事
(
けんじ
)
が言った。そうすると、わたしはその男とならんで、
囚人席
(
しゅうじんせき
)
に入れられて、
巡回裁判官
(
じゅんかいさいばんかん
)
の前に出る
恥辱
(
ちじょく
)
と
苦痛
(
くつう
)
をしのばなければならないのであろう。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
敵に捕えられて
恥辱
(
ちじょく
)
の死につく運命をまぬがれしめ給え、とのことである。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
勝手に歩くということはおれの
恥辱
(
ちじょく
)
だ。いいからひっくくってしまえ。
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
一度ならずも二度までも、汝のために
恥辱
(
ちじょく
)
を受け、おめおめ引き退っておられようや! 法術破れし上からは刀の目釘つづくまで、切って切って切り合おうぞ! 吾、刀を抜くからはいざ汝も刀を
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
また一方に種族の階級が隔たるほど、女が劣等な男子を聟にすることは
恥辱
(
ちじょく
)
である。自然男子を選択する風が行われて、前代の如く男子の我儘に従って雑婚することが少くなって行ったに違いない。
私の貞操観
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
そうした
恥辱
(
ちじょく
)
をあとにもさきにもうけたことがなかったのである。
雷門以北
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
恥辱
(
ちじょく
)
のごとく考えしは盲人の思い過しとや云わん
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「ここに起立しているのは
恥辱
(
ちじょく
)
であります。」
三つの窓
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そのことがどんな人殺しよりも
窃盗
(
せっとう
)
よりも
恥辱
(
ちじょく
)
だという気持、しかしついにそれをうちあける場面の描写、あれには実に深い心理的恐怖が含まれている。
探偵小説の「謎」
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
黒門町のお初というものが、下り役者にうしろを見せるのは、一生の
恥辱
(
ちじょく
)
とも思っているのであろう——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
その競争は、必然、寸時でも秀吉の側を離れては
恥辱
(
ちじょく
)
とする小姓組のあいだに、最も猛烈であった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしかかる行いのために苦しむ民がここにあるなら、それは一国の
恥辱
(
ちじょく
)
であり、また人類への侮辱であろう。正しい日本はかかる行いを改めるのに
憚
(
はばか
)
る事があってはならぬ。
朝鮮の友に贈る書
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
大里貫之助の素直な調子には、
恥辱
(
ちじょく
)
を打ち開ける努力で痛々しいものさえありました。
銭形平次捕物控:174 髷切り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
現今の教育の結果は自分の特点をも露骨に正直に人の前に現わす事を非常なる
恥辱
(
ちじょく
)
とはしないのであります。これは事実という第一の物が一元的でないという事を
予
(
あらかじ
)
め許すからである。
教育と文芸
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
祇園精舎
(
ぎおんしょうじゃ
)
に在す
釈迦牟尼
(
しゃかむに
)
仏よ。あなたのあわれな弟子は、今危難の淵に
溺
(
おぼ
)
れかかって居ます。
恥辱
(
ちじょく
)
の縄に亡びかかって居ります。どうぞ
憫
(
あわ
)
れなこの声をお聴き取り下さい。お救い下さい。
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
康頼 いつもは私の車の
先払
(
さきばら
)
いの声にもふるえあがった
青侍
(
あおざむらい
)
が、急に征服者のように
傲慢
(
ごうまん
)
な態度をもってのぞみだした。彼らと車を同じくすることだけでも
堪
(
た
)
えられない
恥辱
(
ちじょく
)
と思っていたのに!
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
あるいは磯山自ら
卑怯
(
ひきょう
)
にも
逃奔
(
とうほん
)
せし
恥辱
(
ちじょく
)
を
糊塗
(
こと
)
せんために、かくは
姑息
(
こそく
)
の
籌
(
はかりごと
)
を
運
(
めぐ
)
らして我らの行を
妨
(
さまた
)
げ、あわよくば
縛
(
ばく
)
に就かしめんと
謀
(
はか
)
りしには
非
(
あら
)
ざる
乎
(
か
)
と種々評議を
凝
(
こら
)
せしかど、
終
(
つい
)
に要領を得ず
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
「そうだ、ぼくらは
野蛮人
(
やばんじん
)
の命令に服することは
恥辱
(
ちじょく
)
だ」
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
「主人に
恥辱
(
ちじょく
)
を
蒙
(
こうむ
)
らせた罪は!」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あとで小林君に笑われたりしては、少年探偵団の
恥辱
(
ちじょく
)
です。信雄君は死にものぐるいの勇気をふるいおこして、おずおずとふたりのあとにしたがいました。
妖怪博士
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
何ら、御無念とも、
恥辱
(
ちじょく
)
とも、またかくて自滅の
淵
(
ふち
)
へ追いやらるるとも、お感じになりませぬか
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よし主人が小供をつらまえて
愚図愚図
(
ぐずぐず
)
理窟
(
りくつ
)
を
捏
(
こ
)
ね廻したって、落雲館の名誉には関係しない、こんなものを
大人気
(
おとなげ
)
もなく相手にする主人の
恥辱
(
ちじょく
)
になるばかりだ。敵の考はこうであった。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ああ、かれは帰朝そうそう、はやくもこの大盗賊のとりことなり、探偵にとって最大の
恥辱
(
ちじょく
)
を受けなければならない運命なのでしょうか。ああ、ほんとうにそうなのでしょうか。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「おん大将に死におくれたと聞えては、弓矢の
恥辱
(
ちじょく
)
、天下の笑われもの」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを知ると青年は
恥辱
(
ちじょく
)
の為に一層青くなった。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“恥辱”の意味
《名詞》
恥 辱(ちじょく)
恥。辱しめ。不名誉なこと。
(出典:Wiktionary)
恥
常用漢字
中学
部首:⼼
10画
辱
常用漢字
中学
部首:⾠
10画
“恥辱”で始まる語句
恥辱日